シリーズケアコラボの視点
バーセルインデックスとは?全10項目の評価基準・よくある質問を解説
こんにちは!ご利用者の「できること」や「日々の変化」を可視化し、チームの成長やご家族との信頼に変えるケア記録ソフト「ケアコラボ」の佐藤です。
介護施設やリハビリの現場で働く皆さま、ADL評価の評価方法の1つである「バーセルインデックス(BI)」の運用において、「職員によって評価がズレてしまう…」「見守りの点数判断が難しい… 」と悩んでいませんか?
バーセルインデックスは、適切なケアプランの作成や加算の算定に必要なだけでなく、ご利用者の「できること」をチーム全体で正しく把握するための大切な評価方法です。
本記事では、バーセルインデックスとは?から、全10項目の詳細な採点基準、現場で判断に迷いやすい事例までを、わかりやすく解説します。
バーセルインデックス(BI)とは?ADL評価における特徴と目的
バーセルインデックス(Barthel Index:BI)とは、一言で表すと、「日常生活動作を評価する指標」です。食事、車いすからベッドへの移乗、整容、トイレ動作、入浴、歩行、階段昇降、更衣、排便コントロール、排尿コントロールの全10項目から構成される、ADL※1の評価法です。
各項目「自立」「部分介助」「全介助」の3段階で評価※2し、100点満点としています。点数が高いほど、動作の自立度が高いことを示しています。
※1 ADLとは.. 人間が日常生活を送る上で不可欠な「基本的動作」の総称です。
※2 3段階ではない項目もあります。
このバーセルインデックスの最大の目的は、ご利用者が「できること」を客観的な数値で把握し、適切なケアプランやリハビリ計画の立案につなげることです。世界共通の評価基準であるため、病院から在宅、施設へと生活の場が移る際にも、職種を超えて身体の状況や情報を正確に共有できます。
介護現場でBIが重要視される理由と導入のメリット
介護現場でバーセルインデックスによって評価するメリットは、短時間でかんたんにADLを数値化・把握できることにあります。観察評価が基本であるため、ご利用者に負担をかけずに普段の生活状況から採点が可能です。スタッフ・多職種間での認識のズレを防ぐ共通の物差しとなるだけでなく、ご家族に対して現在の身体状況や必要な介助量を説明する際の根拠としても非常に有効です。
FIM(機能的自立度評価法)との違い
バーセルインデックスとFIM(機能的自立度評価法)は、評価の視点に明確な違いがあります。バーセルインデックスは「できるADL」を評価し、身体的な自立度を測るのに適している一方、FIMは「しているADL」を評価し、認知機能やコミュニケーション能力まで含めて詳細に採点します。BIは採点が早く、スクリーニングに適しており、FIMはより細やかな介入が必要な回復期リハビリ病棟などで利用されます。
| 項目 | バーセルインデックス(BI) | 機能的自立度評価法(FIM) |
|---|---|---|
| 評価の視点 | できるADL(能力) | しているADL(実行状況) |
| 評価内容 | 身体面のみ | 身体面+認知面 |
| 評価項目数 | 10項目 | 18項目 |
| 点数範囲 | 0点~100点(5点刻み) | 18点~126点(1点~7点) |
| 評価者 | 医療・介護職全般 | 医療・リハビリ職(専門性が高い) |
| 所要時間 | 短い(数分程度) | 長い(詳細な観察が必要) |
| 主な用途 | 介護現場での現状把握、維持期 | 回復期リハビリ、詳細な効果測定 |
生活機能チェックシートとの違い
生活機能チェックシートは、高齢者の生活機能の低下を早期に発見し、介護予防につなげるための主観的なアンケート形式のツールです。ご本人が「はい・いいえ」で回答するのに対し、バーセルインデックスは専門職が動作を観察して採点する他者評価の指標である点が異なります。前者は地域の健康づくりや総合事業の対象者把握に用いられ、後者はすでに介護やリハビリが必要な方の具体的な能力評価として、医療・介護保険サービスの中で活用されます。
| 項目 | バーセルインデックス(BI) | 生活機能チェックシート |
|---|---|---|
| 評価方法 | 動作観察による他者評価 | 質問紙(アンケート)による自己評価 |
| 評価内容 | 基本的ADL(食事・排泄・移動など) | 生活機能全般 |
| 評価項目数 | 10項目 | 25項目 |
| 評価者 | 医師・看護師・介護職など | ご本人(または家族・支援者) |
| 主な用途 | 自立度の判定、ケアプラン作成 | 虚弱(フレイル)の早期発見、介護予防 |
★厚生労働省の出している様式は下記よりダウンロードいただけます。
「令和6年度介護報酬改定について」>別紙様式3-2(生活機能チェックシート)
【全10項目】バーセルインデックスの評価基準・採点方法を徹底解説
バーセルインデックスは、全10項目の動作を「自立」「部分介助」「全介助」などに分類し、5点刻みで採点します。満点は100点、最低点は0点です。評価する際は、食事の場面や入浴の場面など、実際の場面で評価することが望ましいですが、難しい場合は聞き取りでも構いません。
★参考 バーセルインデックス(BI)の評価方法について(厚生労働省)

1.食事の評価・採点
食事の動作は、配膳された食べ物を口に運ぶ過程を評価します。手が届く範囲に食事が用意された状態からスタートし、スプーンや箸を使って口に入れ、食べ終わるまでが含まれます。自助具を使用しても、ご自身で完食できれば自立となります。ただし、配膳や下膳の動作は評価に含まれません。きざみ食やミキサー食などの食事形態の加工が必要な場合でも、食べる動作自体が自立していれば減点対象にはなりません。

2.移乗(車椅子からベッドへ)の評価・採点
移乗は、ベッドから車椅子への乗り移りを評価します。この項目は、単に移動するだけでなく、ブレーキをかける、フットレストを上げる、ベッドに移る、ベッドに横になるという一連の動作を含みます。最も転倒リスクが高く、介護負担も大きいため、配点は15点と高く設定されています。完全に寝たきりで起き上がれない場合は0点となりますが、端座位が保てる場合は、移乗ができなくても一部点数がつくことがあります。

3.整容の評価・採点
整容は、洗面、整髪、歯磨きの動作を総合して評価します。男性は髭剃りが、女性は、もし普段から化粧をしていれば、化粧も含めた動作が評価対象に含まれます。これらは身だしなみを整える基本的な動作であり、一つでも介助が必要であれば0点となるのが特徴です。

4.トイレ動作の評価・採点
トイレ動作は、トイレへの出入り、ズボンの上げ下ろし、お尻を拭く、水を流すといった排泄に伴う一連の動作を評価します。ポータブルトイレや尿器を使用している場合でも、使用後の洗浄まで一人でできれば自立とみなされます。手すりを使用することは問題ありませんが、衣服の着脱やお尻を拭く動作でバランスを崩し、介助が必要な場合は減点されます。

5.入浴の評価・採点
入浴は、身体や髪の毛を洗う、シャワーを使用する、浴槽に入る動作を評価します。この項目も整容と同様に、配点が「5点」か「0点」の二択となります。浴槽へのまたぎ動作が危険で介助が必要な場合や、機械浴に入浴している場合は0点となります。

6.歩行・移動の評価・採点
平地を45メートル以上歩けるかどうかを基準に評価します。歩行器(車輪付きでないもの)の使用は自立の範囲に含まれます。車椅子を使用している場合でも、自分で操作して45メートル以上移動できれば点数がつきますが、歩行に比べて点数は低くなります。

7.階段昇降の評価・採点
1階分の昇降を安全に上り下りできるかを評価します。手すりや杖を使用しても構いません。日常生活で階段を使わない環境にいる場合でも、能力として可能かどうかで判断します。一段ごとの足運びが安定しているかが重要で、途中で休憩しても問題ありませんが、監視や見守りが必要な場合は点数が下がります。

8.更衣の評価・採点
普段着ている衣服(上着、ズボン、下着、靴下)の着脱と、靴の履き替えを評価します。コルセットや装具を使用している場合は、それらの着脱も評価対象です。時間がかかっても一人でできれば自立ですが、服の前後を間違えたり、ボタンを掛け違えたりして修正が必要な場合は部分介助となります。

9.排便コントロールの評価・採点
排便の自立度を評価します。これには、便意を感じてトイレに行けるかだけでなく、浣腸や坐薬を自分で使用してコントロールできているかも含まれます。時々失敗がある場合や、浣腸や坐薬の利用に介助を要する場合は減点となります。

10.排尿コントロールの評価・採点
排尿の自立度を評価します。排便と同様に、尿意の有無や失敗の頻度が基準となります。バルーンカテーテルを使用している場合でも、バッグの処理や管理を自分一人で完結できれば自立とみなされます。

現場で判断に迷いやすい事例とQ&A
バーセルインデックスの採点は、マニュアル通りにいかないことも時としてあります。特に「見守り」をどう点数化するかや、特定の道具を使用している場合の判断は、評価者によってブレが生じやすいポイントです。ここでは、多くのスタッフさまが疑問に感じる具体的なケースについて、Q&A形式で解説します。
Q.「食事」で自助具を使う場合や見守りの判断は?
A. スプーン、箸、滑り止めマットなどの「自助具」を使用していても、誰の手も借りずに適切な時間内に食べ終えることができれば「自立」と判定します。道具の使用は減点対象にはなりません。一方で、食事を口に運ぶ前に食べ物を切る介助が必要な場合などは、身体的な介助がなくても「部分介助」となります。
Q.「移乗」と「歩行」における介助・見守りの境界線は?
A. 移乗や歩行において「自立」と判定できるのは、他者の監視や声かけが不要で、かつ安全に行える場合に限ります。「転倒の恐れがあるため、職員が横について歩く」「ブレーキをかけるように毎回声をかける」といった場合は、身体に触れていなくても「見守り」が必要な状態とみなされ、「部分介助」となります。リスク管理のために少しでも人が関わっていれば、満点をつけることはできません。
Q.「排泄」のおむつ交換や坐薬使用時の点数は?
A. 紙おむつやリハビリパンツを使用していても、自分で新しいものを用意し、汚れたものを丸めて指定の場所に捨て、衣服を整えるまでを完結できれば「自立」として評価されます。坐薬や浣腸についても同様で、自分で使用し排便コントロールができれば点数はつきますが、介助が必要な場合(看護師が坐薬を挿入している場合)は「部分介助」または「全介助」となります。
Q.「階段昇降」で手すりやエレベーターを使う場合はどうなる?
A. 階段昇降は、手すりや杖を使用しても安全に上り下りができれば「自立」です。手すりに掴まること自体は減点になりません。よくある疑問として「普段はエレベーターを使っている場合」がありますが、エレベーターでの移動は階段昇降の評価には含まれません。あくまで「階段を使う能力があるか」を評価するため、リハビリ場面などで階段昇降が可能であれば採点します。
Q.「更衣」におけるコルセット・装具の着脱やボタンの扱いは?
A. 着替えの評価には、衣服だけでなく、処方されている医療用コルセットや下肢装具の着脱も含まれます。服は着られても、コルセットの装着に介助が必要な場合は「部分介助」となります。
合計点数による自立度判定と評価用紙(PDF)の使い方
バーセルインデックスの合計点数は、ご本人の生活がどの程度自立しているか、あるいはどの程度の介護を必要としているかを示す客観的な指標となります。一般的に、点数が高いほど自立度が高く、低いほど介護が必要と判断されます。ここでは、点数ごとの一般的な判定の目安などについてお伝えします。
100点満点中何点?点数ごとの判定目安
リハビリテーション医学の臨床現場では、研究などに基づく以下の基準が広く用いられています。特に「60点」というラインは重要で、一般的に60点以上であれば起居動作(起き上がりや移乗)が自立し、これより低いと日常生活に多くの介助を要すると判断される傾向にあります。ただし、これらはあくまで目安であり、実際の自立度は本人の認知機能や居住環境によっても変化することに留意が必要です。
| 合計点数 | 生活のイメージ |
|---|---|
| 100点 | すべての動作が可能。介助なしで生活できる。 |
| 85点以上 | ほぼ自立しているが、調理などの家事や複雑な動作には支援が必要な場合がある。 |
| 60点~80点 | 起き上がりや車椅子への移乗はできるが、入浴やトイレなどで介助が必要。 |
| 60点未満 | 生活の主要な動作(移乗・歩行・排泄)の大部分に介助が必要。 |
| 40点以下 | ほぼすべての場面で全介助が必要。 |
厚生労働省のマニュアル・評価表のダウンロードと参照先
バーセルインデックスの評価用紙や詳細なマニュアルは、厚生労働省が推進する「科学的介護情報システム(LIFE)」の関連資料として公開されています。これらは誰でも無料でダウンロード可能です。公的な様式を使用したり、判定基準を理解したりすることで、加算算定時の記録としても不備がなく、他の医療機関との情報連携もスムーズになります。
参考
★科学的介護情報システム(LIFE)について(厚生労働省)
★Barthel Index(BI)の評価方法について
★Barthel Index(BI)の評価表
まとめ
ここまで、バーセルインデックスの各評価項目の詳細や、現場で迷いやすい判断基準、点数が持つ意味について解説してきました。
バーセルインデックスは「点数」ではなく「生活」を見るツール
正しく評価することは、ご利用者の「できる能力」を理解し、適切なケアを届けるための大切な第一歩です。しかし、私たちは、点数をつけること自体がゴールではないと考えています。
大切なのは、その評価の背景にある「日々の暮らし」や「変化」に目を向け、チーム全体で共有し、ケアにつなげていくことであると考えています。
評価の先にある「信頼」と「つながり」をケアコラボで
バーセルインデックスの点数は、客観的な指標として非常に有用です。しかし、数字だけでは、その裏側にあるご利用者の努力や、ふとした瞬間の笑顔までは伝えきれません。 私たち「ケアコラボ」は、そうした点数には表れない「日々の様子」をご家族やチームで共有することこそが、信頼関係を築くための鍵だと考えています。
例えば、歩行が「自立」になったという結果だけでなく、リハビリに取り組む真剣な眼差しや、歩けた時の嬉しそうな表情を写真や動画で共有する。そうすることで、離れて暮らすご家族にも深い安心を届け、ケアに関わるすべての人たちとのつながりをより強固なものにできると信じています。

数字という「客観的な指標」と、そこにある「温かい日々の様子」。その両方を大切にする、開かれたケアの環境を作るためのアプローチの一つとして、もし私たち「ケアコラボ」にご興味をお持ちいただきましたら、いつでもご連絡いただけると幸いです。

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