シリーズケアコラボの視点
高齢者の日常生活自立度(寝たきり度)の判定基準をわかりやすく紹介|ランクJ1~CとⅠ〜Ⅳ・Mの違いとは
こんにちは!ご利用者の「ありのままの日常」を可視化し、チームでのケアの質向上やご家族との絆に変えるケア記録ソフト「ケアコラボ」の佐藤です。
高齢者の日常生活自立度とは、身体の不自由さや認知症の程度に基づき、高齢者ご本人が日々の生活をどの程度自分で行えるかを客観的に評価する、厚生労働省が定める重要な指標です。しかし調査時の様子だけでは「普段の姿」が見えにくく、実態に即した判定が難しいことも少なくありません。
本記事では、障害高齢者の日常生活自立度(寝たきり度)と認知症高齢者の日常生活自立度、それぞれの判定基準や要介護度との相関関係、そして正確な判定のために欠かせないポイントを詳しく解説します。
高齢者の日常生活自立度とは
高齢者の日常生活自立度とは、身体の不自由さや認知症の進行度合いに応じて、日常生活をどの程度自分で行えるかを、客観的に評価する指標です。厚生労働省が定める全国共通の基準であり、介護保険制度における認定調査や、ケアプラン作成時の重要な判断材料として幅広く活用されています。
日常生活自立度の2つの指標
高齢者の日常生活自立度には、身体機能の障害を評価する「障害高齢者の日常生活自立度(寝たきり度)」と、認知機能の低下を評価する「認知症高齢者の日常生活自立度」の2つの指標が存在します。
■ 障害高齢者の日常生活自立度(寝たきり度)とは
障害高齢者の日常生活自立度(寝たきり度)は、在宅や施設といった介護の現場において、何らかの障害をお持ちの高齢者の自立状況を、客観的かつ迅速に把握するために作られた指標です。 この指標の大きな特徴は、単に「何ができるか」という身体能力そのものを評価するのではなく、特に「移動の範囲」を中心とした生活の「状態」を重視している点にあります 。 生活の広がりや活動範囲に応じて4つのランクに分類することで、その方に今どのような支援が必要なのかを評価します。
■ 認知症高齢者の日常生活自立度とは
認知症高齢者の日常生活自立度は、認知症の方お一人おひとりに最適なケアを届けるための指針として、客観的かつ迅速に把握するために作られた指標です。 判定の軸となるのは、「周囲との意思疎通の度合い」や「日常生活に支障をきたす症状・行動」がどの程度見られるかという点です 。 これらを5つの区分に当てはめて評価することで、本人の自立の度合いと、周囲に必要とされる見守りや介護の必要性を可視化します 。
| 障害高齢者の日常生活自立度 | 認知症高齢者の日常生活自立度 | |
| 対象 | 何らかの障害をお持ちの高齢者 | 認知症をお持ちの高齢者 |
| 着目する点 | 「能力」ではなく「状態」 | 意思疎通の程度、見られる症状・行動 |
日常生活自立度と要介護認定
日常生活自立度は、要介護認定の一次判定において非常に重要な役割を果たしています。
認定調査員が本人の状態を確認する際、この自立度の基準を用いて心身の状況をスコア化し、コンピュータによる判定の基礎データとして利用します。ただし、要介護度は「介護にかかる時間(介助量)」を評価するものであるのに対し、日常生活自立度は「本人の状態そのもの」を評価する指標という違いがあります。
そのため、自立度が同じランクであっても、家族のサポート体制や居住環境によって最終的な要介護度が異なる場合がありますが、自立度が高いほど要介護度は低くなるという一定の相関関係が見られます。
日常生活自立度の指標が活用される場面とは
日常生活自立度は、介護保険の認定以外にも多岐にわたる場面で活用されます。
例えば、ケアマネジャーがケアプランを策定する際、本人の自立度を正確に把握することで、デイサービスや訪問介護の頻度、リハビリの内容を最適化できます。また、特別養護老人ホームなどの施設入居を検討する際も、この指標が受け入れ可否の判断基準や優先順位に影響することがあります。
障害高齢者の日常生活自立度(寝たきり度)の判定基準
障害高齢者の判定基準は、ベッドの上で過ごすことが多いのか、ベッド以外の屋内で過ごすことが多いのか、外出はするのか等、活動範囲の広さに着目しています。何らかの障害を抱えつつも、どれだけ自立して生活を継続できているかを客観的に評価するため、歩行の安定性や座位の保持能力なども重要なチェックポイントとなります。
■ 生活自立「ランクJ」
ランクJは、何らかの身体的障害等を抱えてはいるものの、基本的には日常生活がほぼ自立しており、一人で外出できる状態を指します。具体的には、公共交通機関を利用して遠出ができる「J1」と、近所の店への買い物など近隣への外出が可能な「J2」に細分化されます。
■ 準寝たきり「ランクA」
ランクAは「準寝たきり」と分類され、屋内での生活は概ね自立していますが、近場への外出には介助が必要な状態です。日中は主にベッドから離れて過ごし、着替えや食事も自分で行えるものの、一人で屋外に出ることは難しい状態です。介助があれば比較的多く外出できる「A1」と、外出頻度が低く、主に家の中で過ごす「A2」に分かれます。
■ 寝たきり「ランクB」
ランクBは、「寝たきり」に分類されるグループです。屋内での生活にも何らかの介助が必要であり、日中の大半をベッドの上で過ごす状態を指します。車椅子にご自身で移乗して食事や排泄を行うことができる「B1」と、介助があれば車椅子への移乗が可能ですが、食事や排泄にも介助を要する「B2」があります。
■ 寝たきり「ランクC」
ランクCもランクBと同様「寝たきり」に分類されますが、ランクBよりも程度が重いグループです。終日ベッド上で過ごし、食事、排泄、着替えなど日常生活のすべての動作において全面的な介助を必要とする状態を指します。自力で寝返りが打てる程度の「C1」と、寝返りすら困難で全く動けない「C2」に区分されます。

★参考 障害高齢者の日常生活自立度(寝たきり度)について(厚生労働省)
認知症高齢者の日常生活自立度の判定基準
認知症高齢者の判定基準は、症状の重さだけでなく「どれほど周囲のサポートが必要か」という実質的な介護の必要性や安全性を重視しています。評価に当たっては、介護にあたっているご家族等からの情報も参考にします。また、このランクは介護の必要度を示すものであり、認知症の程度の医学的判定とは一致するものではありません。
■ ランクⅠ
ランクⅠは、認知症としての診断は下りているものの、日常生活はほぼ自立しており、周囲への支障がほとんど見られない状態を指します。多少の物忘れや、新しいことを覚えるのが難しくなるなどの症状はありますが、適切な判断ができ、自力で買い物をしたり身の回りのことをこなしたりすることが可能です。
■ ランクⅡ(Ⅱa・Ⅱb)
ランクⅡは、家庭外や家庭内での生活に支障を来すような症状や行動が見られるものの、誰かが注意していれば自立できる状態です。「Ⅱa」は家庭外での支障(道に迷う、金銭管理のミスなど)が主で、「Ⅱb」は家庭内での支障(服薬管理ができない、火の不始末など)が見られる場合に判定されます。
■ ランクⅢ(Ⅲa・Ⅲb)
ランクⅢは、日常生活に支障を来す症状や行動が頻繁に見られ、サポートが必要となる状態です。具体的には、着替えや排泄の失敗、徘徊、興奮などが目立ち始めます。「Ⅲa」は主に日中にこうした症状が見られ、「Ⅲb」は夜間にも症状が見られるため、介護者の睡眠不足や精神的な疲弊が深刻化しやすい傾向にあります。
■ ランクⅣ
ランクⅣは、日常生活に支障を来す症状や行動が常に頻繁に見られ、常に誰かの目が離せない状態にあります。自身の安全を確保することが難しく、食事や排泄、衛生管理のすべてにわたり、介助が必要になります。暴力的な行動や激しい興奮、強いこだわりなどが見られることもあり、在宅での介護を維持するには限界に近い状況と言えます。
■ ランクM
ランクMは、著しい精神症状(幻覚、妄想、強い興奮など)や重篤な問題行動(自傷他害、不潔行為など)が見られ、専門的な医療機関での治療が必要な状態です。認知症そのものの進行に加え、精神科的な介入が必要な場合に判定されるため、一般的な介護施設での対応が困難になることも少なくありません。

★参考 「認知症高齢者の日常生活自立度判定基準」の活用について(厚生労働省)
日常生活自立度を正しく判定するためのポイントと注意点
正確な判定を行うためには、単なるチェックリストの確認作業に留まらない、深い観察が必要です。判定結果は利用できるサービスや入居条件に直結するため、過不足のない評価が求められます。
「できること」ではなく「普段の状態」で判断する
最も多い間違いが、調査の瞬間に一時的にできた動作を「できる」と判断してしまうことです。高齢者は調査員の前では緊張やプライドから、普段以上の能力を発揮したり、「自分は大丈夫だ」と申告したりする傾向があります。しかし、判定の基準とすべきは、特別な努力をして一度だけできたことではなく、普段の生活の中で「安定して、無理なく、継続的に行えているか」という点です。
一定期間(概ね1ヶ月)の状況に基づいて評価する
身体や認知の状況は日々変動します。特定の1日だけで判断せず、概ね過去1ヶ月間の状況を総合的に振り返ることが原則です。特に認知症の場合は、調子の良い「まだら状」の状態があるため、一番良い時ではなく、最も頻繁に見られる症状や生活に支障を来している平均的なレベルを抽出する必要があります。日々の変化を客観的な記録として残しておくことは、この「1ヶ月の平均」を正確に算出するために極めて有効です。
二次判定を左右する「主治医の意見書」の役割とは
要介護認定の二次判定において、主治医の意見書は一次判定の統計的な推計を補完し、個別の状況を反映させるための重要な根拠となります。一次判定はデータに基づき平均的な介護時間を算出しますが、統計では測りきれない個別の支援実態を吟味するのが二次判定の役割です。
この際、単に「症状がある」という状態だけでなく、「具体的な困りごとに対し、どのような介助をどの程度行っているか」という具体的な記述が不可欠です。認定調査と意見書で結果が異なる場合もありますが、それは評価の視点が異なるためであり、むしろ多角的に状態を捉える利点となります。
★参考 認定調査員テキスト(厚生労働省)
日常生活自立度と「要介護度」の関係・分布
日常生活自立度は「本人の状態」を表し、要介護度は「どれくらいの介護量が必要か」を推計したものです 。この2つの指標を組み合わせた「参考指標」は、判定の妥当性を検証するデータとして活用されています 。
日常生活自立度の組み合わせによる要介護度別分布
厚生労働省のデータによると、自立度が低下するほど要介護度も高くなる相関が見られます。
※認知症高齢者の日常生活自立度 = 認知症
障害高齢者の日常生活自立度(寝たきり度)=寝たきり度 と表現
- 認知症「自立」×寝たきり度「ランクJ」
- 要支援1が約59%、要支援2・要介護1が約35%と軽度に集中
- 認知症「ランクIV」×寝たきり度「ランクC」
- 要介護5と判定される割合が約93%と極めて高い

★参考 介護認定審査会における参考指標の取り扱いについて(厚生労働省)
なぜ「自立度」が比較的軽度でも「要介護度」が高いケースがあるのか
金銭管理の介助や、物忘れによる周辺症状への頻繁な対応など、動作そのものは可能でも介護者が実際に費やす労力が大きい場合は、二次判定で重度側に修正されることがあります 。統計的な推計になじまない、その方固有の支援ニーズが判定を左右します。
まとめ:正確な判定が「その人らしい生活」を支える
本記事では、高齢者の日常生活自立度(障害高齢者の日常生活自立度・認知症高齢者の日常生活自立度)の判定基準から、要介護度との関係についてお伝えしました。
日常生活自立度を正しく把握することは、適切な介護サービスを提供するための第一歩であると同時に、高齢者ご本人の尊厳を守ることにも直結します。
共通の指標でしっかりと判定するためには、一過性の観察ではなく、日常の継続的な記録が何よりも大切になります。
根拠のある判定と質の高いケアのためのケアコラボの活用
適切な判定を質の高いケアに結びつけるためには、日々の変化を「見える化」し、記録し続けることが必要です。文字だけでは伝わりにくいADLの変化や、認知症による行動も、ケアコラボなら写真や動画を用いて「ありのまま」を記録できます。これにより、認定調査員や主治医に対し、言葉だけでは伝わりきらない「根拠のある情報」を具体的に提示することが可能になります。
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