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〜ラボCafeレポート〜 1dayシートで個別ケアを深める!先輩ユーザーに学ぶ実践的な活用法と情報共有アイデア

楠本 純平 楠本 純平


1dayシートを作ってみたけれど、うまく現場に定着しない」
「日々の記録とどう繋げればいいのかわからない」

ケアコラボを導入いただいた法人様から、そんなお悩みの声をいただくことがあります。

そこで、第19回目となるケアコラボユーザーのオンライン情報交換会「ラボCafe」では、「教えて!先輩ユーザー 〜1dayシートの活用方法〜」をテーマに、特養、小規模多機能、デイサービスなど様々なサービス種別の法人が参加し、情報交換を行いました。

アイスブレイクでは参加者の皆さんの「推し活(アーティストから釣り、ドラえもんまで!)」の話で和やかな雰囲気に。
今回は、先輩ユーザーとしてご登壇いただいた「永甲会」様と「くらしラボ」様の実践例を中心に、現場ですぐに真似できる1dayシートの活用アイデアをレポートします!

発表事例①:社会福祉法人 永甲会 様

三重県で特別養護老人ホームなどを運営する社会福祉法人永甲会の野呂さんからは、1dayシートの「本質的な価値」と「具体的な書き方のコツ」についてお話しいただきました。

永甲会様では、日本ユニットケア推進センターが推奨する「24時間シート」の考え方を大切に引き継ぎながら、ケアコラボの1dayシートを「アセスメントシート」「ケア統一のツール」「職員育成のツール」という3つの柱で活用されています。

1dayシートの3つの役割

  • アセスメントシートとして
    • ADLだけでなく、「いつどのように過ごしたいか」まで掘り下げて把握する。
    • 施設都合のスケジュール(7時半に朝食だから7時に起こす等)による「集団行動」ではなく、個人の「生活リズム」を可視化する。
  • ケア統一のツールとして
    • 多職種連携や、根拠のあるケア提供に活用。
    • 食事形態、提供量、とろみ材の量、バイタルの平常値、排泄パッドや布パンツの種類などを記載することで、都度確認しなくても誰もが同じケアを提供できる。
  • 職員育成のツールとして
    • 他ユニットからの応援体制時や、新入職員への指導時に活用。
    • 1dayシートを見れば暮らしぶりが一目瞭然であり、「先輩によって指導内容が違う」といった指導のムラを減らすことができる。

「集団生活」が「集団行動」になっていませんか?

野呂さんは、ADLは把握していても、「いつ、どのように過ごしたいか」まで掘り下げていないと、施設都合のスケジュールに合わせた「集団行動(7時に起こして、8時半から順番にトイレへ誘導するなど)」になってしまうと指摘します。
一人ひとりの暮らしのリズムを可視化するために、1dayシートが不可欠なのです。


マニュアル化を防ぐ、書き方のポイントと「主語」の使い分け

1dayシートが単なる業務マニュアルになるのを防ぐため、永甲会様では「主語」を明確に書き分ける工夫をされています。

  • ご利用者(私は)を主語にする項目
    • 対象:生活リズム、意向・好み、自分でできること
    • 例 :「私はコーヒーが好き」「私はお箸でご飯が食べられる」「私は温かいタオルで顔を拭いてほしい」
  • 職員目線で書くと「食事介助(をする)」といった業務ベースの表現になり、誰が誰にするのか曖昧になるため、主語を「ご利用者」にして自立支援の視点を持つ。

  • 職員を主語にする項目
    • 対象:サポートが必要なこと、留意事項
    • 例 :「(職員が)薬の袋を開けて手渡す」「口の中に薬が残っていないかを確認する」
  • 「一部介助」「見守る」といった曖昧な表現ではなく、最終的に職員が何をサポートすればよいのかを具体的に書くことで、ヒヤリハットや事故を防ぐ。

※季節や体調・気分によって異なることを前提とし、必ずしもその通りにしなければならないわけではなく、あくまで「暮らしの中の目安・心地よさ」の共有として用いる。

作成の進め方・運用・見直しのルール

  • 運用体制
    • 居室担当者が素案を取りまとめ、施設ケアマネジャーが最終確認を行う。
    • ユニット会議で内容を確認し、臨時的な変更はケアコラボの申し送り機能で共有して漏れを防ぐ。
  • 見直しのタイミング
    • 状態変化があった時だけでなく、変化がなくてもケアプランの更新時期に合わせて見直す時期を設けている(入居時から内容が全く同じということはあり得ないため)。
  • これから導入・作成する場合のアドバイス:
    • すでに運営している事業所であれば、まずは「既存の記録」を1dayシートに起こしてみることから始める。そこから「この時間はどうしているか」という空白を埋めていく。
    • 対象者全員を一気に作る方法もあれば、「困難事例の方から」「話好きの方に聞き取りをして書き起こす成功体験から」始めるなど、事業所に合ったアプローチがある。

その他の活用方法

  • 記録との連動
    • 1dayシートをベースに「どう暮らされたか」を記録に残し、イレギュラーなトピックス(転倒、発熱、家族来訪など)は別途タイムラインに記載する。
  • ケアプランとの連動
    • 保険者によっては、第3表・第4表を1dayシートに置き換えることが承認されている地域もある。
  • 担当者会議での活用
    • 複数サービス(小多機、訪問、デイなど)を利用している方の担当者会議において、スマホで1dayシートを見ながら、各事業所での取り組みや様子を一枚のシートで確認・共有し、一体的な関わりを持つことができる。

発表事例②:合同会社 くらしラボ 様

青森県で小規模多機能ホーム等を運営する合同会社くらしラボの神保さんからは、
現場の「記録業務」といかに連動させるか、リアルな運用をご紹介いただきました。

1dayシートをベースにした「見てわかる」記録

くらしラボ様では、通い・訪問・泊まりのそれぞれのサービスで1dayシートを作成し、日々の記録は基本的に「1dayシートから記録する」ボタンを使って入力されています。

あらかじめ1dayシートに支援内容が詳細に記載されているため、スタッフはそれに沿ってケアを実施し、記録をするだけになります。
特筆すべきことがあれば追記し、さらに写真や動画を積極的に添付します。

  • 記録内容
    • 通い・訪問・泊まりそれぞれの生活の様子や、外出・レクリエーション・リハビリの実施状況。利用者の体調変化、受診結果、ケアマネや家族とのモニタリング結果などは「重要事項」として記録している。
  • 視覚的な記録
    • 「百聞は一見に如かず」長い文章よりも写真や動画を積極的に添付して記録している。家族公開機能を活用し、記録を通じて家族とコメントでやり取りすることも多い。
  • 1dayシートからの記録
    • 利用者は担当制をとっており、担当者がアセスメントして1dayシートを作成する。
    • あらかじめ1dayシートに支援内容が詳細に記載されているため、スタッフはその流れに沿ってケアを実施し、そのまま記録ボタンを押す。
    • 特筆すべきこと(朝の様子や歩行の様子など)があれば追記する運用。

作成・更新のタイミングと日々の対話

くらしラボ様では、以下のタイミングで1dayシートを作成・修正しています。

  1. 新規利用開始時(担当者がアセスメントして作成)
  2. 利用者の状態変化があった時
  3. 生活リズムに変化があった時


【活用のポイント:日々のコミュニケーション】
1dayシートを効果的に活用するためには、定期的な見直しと介護過程のPDCAサイクルを回すこと、そして「作って使ってみてどうだったか」という日々の対話が重要です。

  • ご本人の病状に変化があった際、「この内容を1dayシートに追加したので活用してください」とすぐに共有する。
  • 毎日決まった時間の申し送りや、カンファレンス時に内容を共有し、変更点をすり合わせる。
  • 家族からの依頼やカンファレンスの決定事項を1dayシートに組み込み、タイムライン上でやり取りしている。

1dayシートを常に最新の「使える状態」にしておくために大切なのが、「スタッフ間の対話」です。カンファレンスで決まったことや、家族からの要望があれば、申し送りですぐに共有します。
「病状に変化があったので1dayシートに追加しました」「カンファレンスで決まった支援内容を記載しました」といったやり取りが、タイムライン上で日常的に行われており、一度作って終わりではなく、日々のコミュニケーションを通じてPDCAサイクルを回していく姿勢が、質の高い個別ケアを生み出していることが伝わってきました。

導入による効果と工夫

1dayシートを活用するようになってから、以下の効果を感じられているそうです。

  • 記録時間の短縮
  • 支援内容の統一化
  • 「生活リズム」「意向・好み」「自分でできること」「サポートが必要なこと」「留意事項」の項目があることで、スタッフが多角的な視点でアセスメントできる視点が養われた。

現場のリアルな悩みにお答え!質疑応答・ディスカッション

後半は、参加者同士のフリートーク。
それぞれの現場が抱えるリアルな悩みに、先輩ユーザー(永甲会様)が答えていく時間となりました。

Q. 病院提出用のサマリーに、食事や睡眠などの詳細なADL項目を含めたい

(質問)ケアコラボから看護サマリーを出す際、別途ADLの項目を手打ちで作っている。病院指定の書式などに合わせるため、項目を追加できないか。

(回答:永甲会 様)永甲会では、1dayシートをそのまま印刷し、既往歴やお薬情報と合わせて病院に提出している。「食事自立」「排泄全介助」といった単語だけでなく、1dayシートで「どんな時間帯に、どんな物品で、どう支援しているか」を見える化して渡すことで、病院の看護師にも普段の暮らしぶりが正確に伝わる。

例えば「普段21時に寝ている人が、病院で19時に寝かされて寝ない」といった生活リズムの違いを理解してもらうためにも役立つ。必要に応じて該当箇所にマーカーを引いて渡すなど、既存の1dayシートの情報を落とさずに外部連携に活用している。

Q. 外国人スタッフの記録業務はどのようにサポートしているか

(質問者)外国人スタッフが2名入社したが、記録業務についてどのように対応・サポートすればよいか。

(回答:永甲会 様)外国人であっても、介護をした者が責任を持って記録に残すことを大前提としている。その上で以下の対応を行っている。

  • 1dayシートに支援内容を細かく入れ込んでおく。支援内容が1dayシートと同じであれば、ボタンを押して「実施した」と記録するだけで済む(何をしたかは1dayシートを見ればわかる状態にする)。
  • ブラウザの翻訳機能等を活用し、母国語ベースで入力したものを翻訳して貼り付けるなどの入力を支援する。
  • ご家族に対しても、外国人スタッフが技能習得のために努力していることや、記録の日本語が拙い場合があることを事前に伝え、理解を求めている。

Q. デイサービスなど、集団行動が多い現場での導入ステップは?

(質問)デイサービスは一斉に利用者が来られるため、どうしても業務優先になってしまい、「一覧からバイタルを入力した方が効率的」など、1dayシートからの個別化が根付きにくい。

(回答:永甲会 様)事業所の特性上、スケジュールの決まった中で一斉に入浴や食事を進めなければならないことは問題ない。無理に全てを個別化するのではなく、まずは「三大介護(入浴・排泄・食事)において、何がその方にとって心地よいか」を共有するところから始めてはどうか。「お風呂は温かいのが好き」「このシャンプーを使っている」といった情報をシートに残すだけでも、十分な活用と言える。

Q. 「みんなのリズム」画面の具体的な活用方法は?

(質問)1dayシートと連動している「みんなのリズム(一覧表)」画面は、具体的にどう活用しているか。

(回答:永甲会 様)ご利用者の暮らしを俯瞰して見るために活用している。

  • ナースコールが同時に鳴った際、それぞれの行動パターンから「トイレに行きたいのか」「少し待っていただけるか」など、優先順位の判断材料になる。
  • 看護師が処置に入るタイミングを、利用者の生活リズムに合わせて検討できる。
  • 介護量の時間帯ごとの偏りが可視化されるため、シフト配置(早番・日勤などの出勤パターン)の調整や、スポットでの人員配置の参考にできる。
  • 同じ時間帯に支援が集中している場合、それが一人ひとりの暮らしぶりの結果なのか、単なる「集団行動」になってしまっているのかを施設として見直す機会にもなる。

おわりに:システムは「対話」のためのツール

今回のラボCafeを通じて見えてきたのは、1dayシートを使いこなしている施設様は「システムを単なる入力ツールにせず、対話のきっかけにしている」ということです。

「私はこう支援したけど、他のスタッフはどうしてる?」
システムを中心にスタッフ同士のコミュニケーションが生まれ、それがケアの質を高めるサイクルへと繋がっています。

ご登壇いただいた永甲会様、くらしラボ様、そしてご参加いただいた皆様、本当にありがとうございました!
ケアコラボでは、今後もユーザーの皆様同士が繋がり、学び合える「ラボCafe」を定期的に開催してまいります。次回のご参加も心よりお待ちしております!

楠本 純平

楠本 純平

ケアコラボでは、インサイドセールス、プロダクトオーナー、企画など、幅広い役割を経験。 現在は「何でも屋」として、福祉の現場で日々奮闘されるユーザーの皆さまが「ケアコラボを使ってよかった」と感じていただける瞬間を少しでも増やすため、さまざまな領域に関わっています。 志高く、あたたかなケアコラボユーザーの皆さまから学ばせていただくことも多く、日々刺激と気づきをもらっています。

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