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〜ラボCafeレポート〜 人生録の活用でご利用者を深く知る!先輩ユーザーに学ぶ実践的な活用法とは

楠本 純平 楠本 純平

人生録を使ってみたいけれど、なかなか活用イメージがわかない

ケアコラボを導入いただいた法人様から、そんなお悩みの声をいただくことがあります。

そこで、記念すべき第20回目となるケアコラボユーザーのオンライン情報交換会「ラボCafe」では、「人生録の活用方法」をテーマに、全国から様々なサービス種別の法人が参加し、情報交換を行いました。

今回は、先輩ユーザーとして発表くださった南高愛隣会様とウェルフェア三重様の実践例を中心に、レポートをお届けします。

【参加法人一覧】

1. 支援の歴史をケアに活用

【南高愛隣会様:障害分野の事例】

長崎県で障害者支援を展開する南高愛隣会の福田さんは、ケアコラボの人生録をご利用者を深く知る情報として活用されています。

画面共有で見せていただいたのは、まさに法人としての支援の歴史そのものでした。

同法人には、数十年前からの膨大な紙の記録が残されています。しかし、それは山の上にある書庫まで行き、担当者に鍵を開けてもらわなければ見ることができない、現場からは物理的にも心理的にも遠い存在でした。

「昔の記録は本当に財産なんです。でも、書庫に眠ったままでは誰も読めない。ケアコラボの人生録に移行することで、若い頃の情報や当時の支援員の熱い記録を、現場のスマホからいつでも見られるようになりました。今の姿しか知らないスタッフも、『若い頃はこんなに頑張っていたんだね』と知ることで、ご利用者の理解が深まりました」(福田さん)

この言葉の通り、ご共有いただいたスクリーンショットには、当時の担当者が細かく書き記した「作業の評価」や「本人の葛藤」の記録が、ケアコラボの人生録として丁寧にデジタル化されていました。

新人職員が「人生録」をプレゼンする

南高愛隣会では、新人職員の養成計画の中に「担当利用者の人生録を作る」というカリキュラムが組み込まれています。

  • 情報の深掘り:過去の紙資料を読み解き、重要なエピソードを抜粋。
  • インタビュー:ご家族や、当時を知るベテラン職員に「あの方はどんな方でしたか?」とインタビューを実施。
  • 発表会:他職員の前で、その方の人生の歩みと支援に対する想いを発表する。

このプロセスを経ることで、例えば「特定の行動の背景には、幼少期の家庭環境による強い劣等感があった」といった深い洞察が生まれます。
若手職員が「表面的な課題」ではなく「その人の人生」に向き合う土壌が、人生録を通じて作られていました。

2. ご家族が投稿したくなる温かな関係性

【ウェルフェア三重様:高齢分野の事例】

三重県で有料老人ホーム等を運営するウェルフェア三重様。向井さんと浜口さんは、ご家族との「自然な交流」を大切にしています。

ウェルフェア三重様は職員が無理に情報を聞き出すのではなく、ご家族に「人生録という機能があるんですよ」と緩やかに紹介するスタイルをとっています。

「ご家族に人生録の投稿は強制はしません。でも、ご家族が自ら書き込んでくださった内容に、私たち職員が感動しているんです。ある方は、70歳になってからプールに通い始め、25メートル泳げるようになったというエピソードを写真付きでアップしてくださいました。そんなバイタリティ溢れる一面は、施設での生活だけでは決して知り得なかったことです」(向井さん)

写真がつなぐ「過去」と「今」

ご共有いただいたスクリーンショットには、ご家族がアップロードされた、ご利用者の若かりし頃の写真が並んでいました。

これら人生録の情報は、「この時は〇〇をされていたのですね」といった、ご本人との会話のきっかけを現場にもたらします。

人生録は、ご家族がご利用者の人生を共有する手段となるだけでなく、現場スタッフにとってケアのヒントにもなることがわかりました。

3. 実践!人生録を使いこなすための活用術

会の中盤からは、導入から間もない法人様からのお悩みに対し、先輩ユーザーから具体的な解決策の提案がありました。

運用開始の第一歩:誰がいつ入力する?

これから運用を始めるとらいふ様は、先輩ユーザーの話を聞いて、自施設での具体的な運用案をまとめられました。

  • 現場を巻き込む工夫:登録が相談員だけになってしまうと、情報がそこで止まってしまう。現場の介護職が数名ずつ分担し、居室担当として入力するように決めたい。
  • コミュニケーションの機会に:職員がご本人に直接聞き取ることで、コミュニケーションにもなるし、職員が利用者さんに関心を持つきっかけにもなる。
  • 「写真」をスタートにする:文字を入力するのはハードルが高くても、ご家族に「その頃の写真を1枚持ってきてもらう」ことから始めれば、それを見ながらお話を聞くことができる。

人生録を綺麗に並べるための「数字」のルール

時系列がバラバラになってしまうという悩みに対し、南高愛隣会の福田さんから明確なアドバイスがありました。

  • 数字で並び替えをする
    • 人生録の冒頭に「数字」を入れると、その順に表示されます。
    • 例えば、以下のようにしておくと、投稿がA→Bの順に表示されます。
      • 投稿A:2026.01
      • 投稿B:2026.02
  • 「令和」や「全角半角」の落とし穴
    • 数字は文字として認識されるため、「令和2年」よりも「令和11年」が先に来てしまいます。ウェルフェア三重様でも「令和で入れたら上に来てしまって慌てて消した」というお話が共有されました。西暦の数字を「半角」で統一して入力するのが、人生録を並べるポイントです。

サービス終了後「49日間」が持つ、看取り後のグリーフケア

ウェルフェア三重様から共有された「退去後49日間の閲覧」の話には、多くの法人が頷いていました。
実はケアコラボのご家族共有は、ご利用者のステータスを「終了」を設定すると、設定をしたその時からご家族は記録を閲覧できなくなりますが、「死亡」を設定すると、設定をしてから49日間は記録を閲覧できるようになります。

  • 仏教の四十九日に合わせた設定
    • 亡くなってから四十九日までは記録が見られるという仕様は、ご家族にとって非常に大きな意味を持ちます。「施設に父がいなくなって寂しい」という想いに、記録を介したスタッフとのやり取りがそっと寄り添います。
  • ダイアリーとしての側面
    • 介護記録は単なる義務ではなく、ご家族にとっては大切な「生活の記録」です。この49日間という期間を伝えていくことが、法人の信頼にもつながるという気づきがありました。

スタッフの「人生録」でチームビルディング

ケアコラボの千賀からは、他法人の活用事例のご紹介がありました。

  • スタッフ同士でルーツを知る:スタッフをご利用者として登録し、スタッフ自身の「人生録」を作成している法人様がいらっしゃいます。その法人様では、各スタッフの生い立ちやどんな趣味があるか等の情報を共有しています。
  • お互いを知ることで深まる信頼:同僚の年表を見に行くことで、「あの人、近い趣味を持っているんだ」という相互理解が深まり、チームビルディングに大きな効果を発揮しているそうです。

4. まとめ:未来の福祉へつなぐ「バトン」

会の終盤、各法人の代表者から、今日から人生録を始める仲間たちへエールが送られました。

受念会の江夏さんは、「まだ始めたばかりで先輩方の話に感心するばかりですが……」と控えめにおっしゃりながらも、以下のように語られました。

「人生録に、その方が生前何を食べてきたか、最後はどうありたかったかのヒントがあれば、それは最高の意思決定支援になります。私たちがその方の過去を知ることは、より深く接するために不可欠なプロセスです」

南高愛隣会の福田さんは、人生録を「今いる職員が未来の職員に残せるもの」と表現されました。

「自分はいつか退職したり異動したりするかもしれない。でも、この人生録を残しておけば、未来に入ってくる福祉の仲間たちがその方のことを大切にできる。勉強にもなる。だからこそ、今いる私たちがちょっとずつでも埋めていくことが大事なんです」

ウェルフェア三重の向井さんも、自らのご経験もふまえつつ、こう結びました。

「この機能を活用することで、ご利用者の人生の1ページを私たちが共有させてもらえる。それを若い子たちに継承していきたい。それがこの仕事の素晴らしさだと思います」

今回の第20回ラボCafeを通じて、人生録は「その人をより深く愛し、その想いを未来へとつなぐバトン」であることが見えてきました。

もちろん、一気に完成させる必要はありません。
まずは、今、目の前にいる方の「自慢したい話」を一つ、人生録に記すことから始めてみてはいかがでしょうか?

ご登壇いただいた南高愛隣会様、ウェルフェア三重様、そしてご参加いただいた皆様、本当にありがとうございました!
ケアコラボでは、今後もユーザーの皆様同士が繋がり、学び合える「ラボCafe」を定期的に開催してまいります。次回のご参加も心よりお待ちしております!

楠本 純平

楠本 純平

ケアコラボでは、インサイドセールス、プロダクトオーナー、企画など、幅広い役割を経験。 現在は「何でも屋」として、福祉の現場で日々奮闘されるユーザーの皆さまが「ケアコラボを使ってよかった」と感じていただける瞬間を少しでも増やすため、さまざまな領域に関わっています。 志高く、あたたかなケアコラボユーザーの皆さまから学ばせていただくことも多く、日々刺激と気づきをもらっています。

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