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多職種連携・多職種協働(IPW)とは?各職種の役割から現場の課題、ICT活用のメリットを解説

佐藤 ありさ 佐藤 ありさ

目次

こんにちは!介護現場の日々のケア記録を「チームの力」に変え、より質の高いケアや支援を提供することをサポートする、ケア記録ソフト「ケアコラボ」の佐藤です。

近年、日本の医療・介護現場では「多職種連携」の重要性がますます高まっています。単なる業務分担ではなく、医師、看護師、介護職、リハビリ職などのさまざまな専門職種が、一人のご利用者の「自分らしい暮らし」を支えるために、それぞれの専門知識を活かしながら協働する「チームケア」への転換が求められています。

しかし、現場では職種間の視点のズレや情報共有の不足といった課題も少なくありません。
本記事では、厚生労働省が推進する「地域包括ケアシステム」の実現に向けた多職種連携の定義や各職種の役割、そして円滑な連携を実践するための具体的な解決策やICTの活用メリットについて解説します。

多職種連携とは?医療・介護現場に欠かせない理由

多職種連携の定義と「チーム医療」から「チームケア」への転換

多職種連携(多職種協働)とは、医師、看護師、介護士、管理栄養士など、専門性の異なる職種が連携し、それぞれの専門知識を活かしながらご利用者を支援する体制のことを指します。Interprofessional Workの略称でIPWと表記、呼ばれることもあります。似たような言葉に「チーム医療」がありますが、チーム医療とは主に医療機関内で、各職種が連携し、1人の患者に対し治療や支援に当たることを言います。

多職種連携は、チーム医療の目指す病状の改善だけでなく、ご利用者が住み慣れた地域でその人らしい生活を継続することを目的としています。

《多職種連携とチーム医療の違い》

特徴多職種連携(チームケア)チーム医療
主な関係職種医療従事者、ケアマネ、介護職、リハ職、地域住民など医師、看護師、薬剤師などの医療従事者
主な目的QOLの向上・セルフケア能力の向上疾患の治療・病状の改善・リハビリテーション
場所在宅・地域など病院・診療所など

身体・精神・社会の三側面から「自立」を支える包括的アプローチ

介護保険法において「自立」とは、ご利用者が可能な限り自宅で、ご本人の持つ能力に応じて自立した日常生活を営むことを指します。

引用:
介護保険法 第二条の4
被保険者が要介護状態となった場合においても、可能な限り、その居宅において、その有する能力に応じ自立した日常生活を営むことができるように配慮されなければならない。
介護保険法 | e-Gov 法令検索

これを実現するためには、WHOが定義する健康の3大要素である「身体的」「精神的」「社会的」な要素をセットで捉えることが大切です。身体的な疾患や障害の把握はもちろん、ご本人の意欲や希望といった精神面、そして家族関係や経済状況、地域コミュニティとの繋がりといった社会的な側面までを包括的に評価し、それぞれの領域における課題を明確にする必要があります。

★参考
多職種協働・地域連携(厚生労働省)

厚生労働省が推進する地域包括ケアシステムの実現

厚生労働省は、団塊の世代が75歳以上となる2025年を目途に、要介護状態となっても住み慣れた地域で自分らしい暮らしを最期まで続けられるよう、住まい・医療・介護・予防・生活支援が一体的に提供される「地域包括ケアシステム」の構築を推進しています。

地域包括ケアシステムの実現に向けた連携は一定の成果を上げていますが、依然として多くの課題が残っています。ここでの連携は単なる業務の分担ではなく、アウトリーチ(積極的な働きかけ)を確実に実行できる体制を整え、必要な支援に合わせて柔軟に役割を果たすことが求められます。

地域包括ケアシステムの姿を図解

★参考
地域包括ケアシステム(厚生労働省)

多職種連携で中心となる各職種の役割と連携のポイント

医師 / 歯科医師

医師や歯科医師は、チームにおいて医学的判断の責任を担い、治療方針や疾患の将来的な予測を提示します。訪問看護や通所リハビリテーションなどの医療系サービスを導入する際は、ケアマネージャーが主治医の指示を確認し、医学的観点からの留意事項を尊重して計画を立てる必要があります。

看護師

看護職は、専門的な知識に基づいてご利用者のセルフケア能力を高めたり、在宅生活を支える家族への教育や心のサポートを行ったりします。入院中や退所時においては、病院の看護師やMSW(医療ソーシャルワーカー)と連携し、医療ニーズが生活にどのような影響を与えるかを予測して在宅側へ情報を繋ぎます。

管理栄養士

管理栄養士は、ご利用者が可能な限り居宅において、その有する能力に応じ自立した生活を営めるよう、栄養面からアプローチします。慢性疾患を持つ方の支援では、栄養状態の改善が身体機能の維持に直結するため、最新の知識に基づいた適切な指導が欠かせません。

リハビリ職

理学療法士、作業療法士、言語聴覚士などのリハビリ職は、身体機能の評価だけでなく、家屋調査や生活活動分析を通じて「どうすれば安全に暮らせるか」を具体的に提案します。リハビリテーション会議などを通じ、チーム全員がリハビリ目標を共有することで、過度な介入を防ぎ、ご利用者の自立支援を最大化できます。

ケアマネ(介護支援専門員)

ケアマネージャーは、各職種によるアセスメント結果を整理・管理し、一つの支援を組み立てる、いわば司令塔のような役割です。ご利用者が抱える課題や不安を把握し、チームの意識形成(コンセンサス)をどう図るかが重要です。初動時のインテーク場面で、ご利用者やご家族が「何に困り」「どうしたいのか」を丁寧に聞き取ることで、その後のチームアプローチの質が決まります。

生活相談員

生活相談員やソーシャルワーカーは、社会資源の活用アドバイスや、複雑な環境の調整を担います。特に退院・退所時には、病院や施設の相談員と在宅側のスタッフが連携し、切れ目のない支援を提供するための橋渡しを行います。

介護職員

ヘルパーなどの介護職員は、ご利用者に最も近い場所で、病状の変化や日々の生活を見守っています。専門職に対しては構えてしまう利用者も、日常的に接する介護職には「本音」を出すことができることが多いため、これらの情報をチームに共有することは、認識に誤りのないアセスメントを進める上でとても大切です。

職種主な役割連携のポイント
医師 / 歯科医師病気の診断、治療計画の策定、医療系サービスの指示医療系サービスの導入には主治医の指示が必須 。医学的な制限事項を具体的に共有する。
看護師療養上の工夫などのアドバイス、ご家族へのサポート、病棟との橋渡し生活環境の変化が病状に与える影響を共有し、ご家族の心理的サポートも担う。
管理栄養士栄養アセスメント、疾患に応じた食事指導ご利用者の好みや調理の能力に合わせた、現実的な栄養改善プランを提案する。
リハビリ職生活活動分析、家屋調査、具体的な動作支援書類だけでなく「直接会って話す」機会を重視し、自立可能な動作を明確にする。
ケアマネージャーチーム全体の整理・管理、目標共有の促進媒介者として各職種の意見をまとめ、ご利用者本人の意向に沿ったプランを構築する。
生活相談員社会資源の活用相談、入院・入所時の調整経済的困窮や複雑な人間関係などの環境要因を分析し、地域のサポートに繋ぐ。
介護職員直接サービスの提供、本音や細かな変化の把握日常の関わりから得られるご本人の本音や変化をフィードバックし、プランを修正する。

現場で直面する多職種連携の課題と「連携がうまくいかない」理由

職種間の「視点のズレ」により、困りごとが放置される

チームアプローチにおける大きな課題は、各専門職が自らの領域における価値観や指標をそのままチームに持ち込み、自分の専門分野の視点のみで対応してしまうことです。相談の背景には様々な問題があり、それらを単純に専門職分野ごとに切り分けることはできません。各職種が「自分たちの責任範囲内」のみに固執すると、職種間で溝ができてしまい、課題を見落としたり、真の課題を把握できなかったりする可能性があります。

主治医やリハ職と直接話す機会が少ない

ケアマネージャーは連携の必要性を強く感じているものの、主治医やリハビリ専門職と直接話し合う機会が少ないという実態があります。連携場面は通院時の同行などが中心で、地域連携室や看護師を介した間接的なものになりがちです。十分な時間を確保することが難しく、情報の共有を書類のみに頼ると、作成にかかる時間や内容の解釈、伝達の遅れなどが双方にとって大きな負担となります。

家族関係の悪化や経済不安など、病気以外の複雑な背景

多くのケアマネージャーが現場で抱えているのが、「多問題ケース」です。多問題ケースは病状の不安定さだけでなく、日中に独居だったり、生活に困窮していたりなど、周囲の環境に大きく影響されます。

《ケアマネージャーが直面している「困難事例」の現状》

対応が困難と考えられる要因回答割合
老老介護(要介護者・介護者共に高齢)97.2%
要介護者と介護者の人間関係が悪い82.6%
要介護者と介護者の双方の経済的な困窮72.4%
介護者と他の親族の人間関係が悪い71.1%
認認介護(要介護者と介護者の双方に認知症症状がある)62.7%

具体的な連携の場:会議・カンファレンスの種類

サービス担当者会議:専門的な見地からケアプランの原案を検討

サービス担当者会議は、ケアマネージャーの開催により、ご利用者の状況に関する情報を担当者間で共有し、ケアプランの原案について専門的な視点から意見を求める場です。この会議は単に立てた計画への協力を要請する場ではなく、各担当者が自分の意見や発想を述べ、計画策定に関与する場として機能します。

引用:
(指定居宅介護支援の具体的取扱い方針)
九 介護支援専門員は、サービス担当者会議の開催により、利用者の状況等に関する情報を担当者と共有するとともに、当該居宅サービス計画の原案の内容について、担当者から、専門的な見地からの意見を求めるものとする。

多職種が集まり、カンファレンスをしている様子

退院時(合同)カンファレンス:病院から在宅生活へのスムーズな移行

病院から自宅や施設への移行期には、病院側スタッフ(医師、看護師、MSW等)と、在宅側のケアマネージャーやサービス提供者が合同でカンファレンスを行います。ここでは「治療・看護・介護計画」が共有され、病院内での計画から、在宅での計画への橋渡しがなされます。

リハビリテーション会議:個別サービス計画の共通理解を深める場

リハビリテーション会議は、訪問・通所リハビリテーション事業所が主催し、個別サービス計画書の内容について共通理解を深めるために行われます。

地域ケア会議:個別事例の積み重ねから地域の政策提言へつなげる

地域ケア会議は地域包括支援センターが中心となって開催され、個別の困難事例の検討を通じて、その背後にある地域共通の課題を認識することを目的とします。単に目の前のご利用者の支援方針を決めるだけでなく、社会資源の不足や制度の狭間を政策提言として行政に届け、地域全体のケアシステムを向上させる機能を持っています。

多職種連携を促進する「ICT活用」のメリット

連絡体制の一本化により、多職種が介入しやすい環境をつくる

地域における多職種連携を円滑にするための有効な手段として、連絡体制の一本化が挙げられます。現状、医療者と介護者の間では連絡手段がバラバラであることも多く、これが介入の心理的・物理的な壁となっています。ICTを活用して連絡先や連絡ルートを整理することで、双方がアクセスしやすい環境を整えることできます。

ICT導入による情報共有のメリット

  • 情報の一元管理
    病院の診断情報や居宅でのケア記録を一つのプラットフォームで閲覧可能にする
  • 二重入力の削減
    居宅サービス計画書と個別サービス計画書の共通項目を連動させ、作成負担を軽減する
  • 伝達ミスの防止
    書類(紙)ベースのやり取りで生じる解釈の相違や紛失のリスクを低減する
  • 透明性の向上
    誰がどのようなケアや支援を行っているかリアルタイムで可視化する
ケアコラボで記録をチアルタイムで読んでいるところ

カンファレンス時間の短縮と、専門職の事務負担軽減の実現

多職種が一同に集まるカンファレンスは重要ですが、多忙な専門職にとって、頻繁な会議は大きな負担となります。ICTを活用して日頃から情報を共有できていれば、会議の場は「情報の報告」ではなく「方針の決定や今後の相談」に重きを置くことができ、会議自体の回数や時間を必要最低限に抑えることができます。

リアルタイムな状況共有が、利用者の急変時における「初動の早さ」を変える

いつでも情報の共有ができる体制を整えることは、現場のケアや支援の質を高めることもできます。ICTツールにより、「入浴」時の体調変化や、服薬後の様子といった生活現場の情報をリアルタイムで医師や看護師に共有できれば、病状が悪化する前の早期対応が可能になります。

各職種がリアルタイムで情報共有をしているところ

まとめ:多職種連携の質を高めるのは、リアルタイムな情報共有

多職種連携はご利用者の人生を支える「チームケア」

多職種連携の本質は、単なる専門職の集まりではなく、ご利用者のセルフケア能力を高め、自分らしく生活をするための「チームケア」の実践にあります。医師、看護師、ケアマネージャー、介護職員などがそれぞれの役割を果たしつつ、目標を共有して有機的に関わることが重要です。

現場からその場で記録・共有できる強み

現場での支援やケアの情報をリアルタイムに共有することは、全員で同じ方向を向き、適切なケアを提供するために欠かせません。スマホやタブレットなどを活用すれば、訪問先やサービス提供の合間に、その場で「ご利用者の変化」や「生活の様子」を記録し、即座にチームへ共有できます。

機能訓練指導員がタブレットを使いリハビリの様子を動画で撮影しているところ

ケアコラボが実現する、職種の壁を超えたスムーズなコミュニケーション

ICTツールの中でも私たち「ケアコラボ」は、スムーズな情報共有を実現し、各専門職が介入しやすくなるような情報基盤を整えることができます。

  • タイムライン形式の共有: 日々の変化を手軽に投稿し、多職種がいつでも確認できる
  • 写真や動画の活用: 言葉では伝わりにくいご利用者の状態や、動作の様子を視覚的に伝達できる
  • 各会議の効率化: 事前に経過を把握しておくことで、対面の会議の質を向上
  • 効率的なケアプランの策定: 各専門職のアセスメントや個別サービス計画書をリアルタイムに集約し、共通理解に基づいた精度の高いケアプランの原案を作成できる
ケアコラボで写真や動画つきで記録し、リアルタイムで共有しているスクショ

チームの力を引き出すICTツールの導入相談・お問合せはこちら

多職種連携を単なる「努力目標」で終わらせないためには、まずは仕組みを整えることが大切です。ICTの活用により、連絡体制を一本化し、医療情報と介護情報の橋渡しをシンプルにすることは、チームに関わる全ての専門職、そして何より利用者本人へのケアや支援の質向上につながります。

効率的かつ効果的な情報共有を実現し、真の「チームケア」を加速させるためのICTツールの導入にご興味がある方は、ぜひ一度私たちケアコラボの資料をご覧ください!

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佐藤 ありさ

佐藤 ありさ

福祉系の専門学校を卒業後、介護福祉士として勤務。その後新規事業開発の仕事を経験。「これまでの経験を活かして、福祉の現場で働く方々を支援したい」 そんな想いから、2022年にケアコラボへ入社しました。 「こんなケアを実現したい」という想いを持つ一人でも多くの方に「ケアコラボ」を届け、その実現の一助となれたら嬉しいです。

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