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SPDCAサイクルとは?介護・リハビリ現場で「S(調査)」が不可欠な理由と事例の紹介

佐藤 ありさ 佐藤 ありさ

目次

こんにちは!ご利用者の「ありのままの日常」や「小さな変化」を可視化し、チームの成長やご家族との絆に変えるケア記録ソフト「ケアコラボ」の佐藤です。

介護現場やリハビリ現場で働く皆さま、「立てた計画が、なかなか成果に繋がらない…」「いつも似たようなケアプランになってしまう…」とお悩みではありませんか?

ご利用者一人ひとりの心身状態や価値観が異なる現場では、画一的な計画ではなく、その方の「今」をしっかりと捉えることが何より重要です。そこで活用したいのが、従来のPDCAに「Survey(調査)」の視点を加えた「SPDCAサイクル」です。

本記事では、SPDCAとは?から、SPDCAの基本定義、具体的な5つのステップ、現場での活用事例までを分かりやすく解説します。

「SPDCAサイクル」が介護・リハビリ現場で必要な理由

SPDCAサイクルの読み方と基本的な定義

SPDCAサイクルは「エス・ピー・ディー・シー・エー サイクル」と読みます。従来のPDCAサイクル(計画・実行・評価・改善)の先頭に、Survey(調査・測定)の「S」を加えたフレームワークで、ケアやリハビリテーションの質を継続的に高める目的があります。

介護・リハビリ現場における「S」は、ケアプランを立てる前に行う前の現状把握を指します。「何をするか」という計画ありきではなく、ご利用者の心身の状態を起点にサイクルを動かすことで、根拠のある個別ケアを支える仕組みとなります。

介護・リハビリ現場で「S(Survey)」が必要な理由

介護現場やリハビリテーション現場において「S」が不可欠なのは、ご利用者の心身状態は常に変化しており、前例を踏襲した画一的な計画では、ご利用者一人ひとりの本当の課題にアプローチできないからです。アセスメントが不十分なまま計画(P)を立ててしまうと、現状の機能と提供サービスに乖離が生じ、効果が得られにくくなってしまいます。

SPDCAとは、PDCAサイクルなどで使われる従来の単語に調査、SurveyのSをつけたものです

SPDCAサイクルの5つのステップと具体的な進め方

S(Survey:調査)|心身機能・生活環境・ご本人の希望の把握

最初のステップでは、食事や入浴、排泄などのADL(日常生活動作)だけでなく、家事や趣味といった「活動・参加」の状況を調査します。あわせて、居宅環境や「どのような生活を送りたいか」というご本人の意向も具体的な事実として収集します。

厚生労働省が公表している「興味・関心チェックシート」を活用し、ご利用者の興味や関心のあることについて把握することも大切です。

出典:厚生労働省
科学的介護情報システム(LIFE)について > 興味・関心チェックシート

P(Plan:計画)|計画の作成と説明・同意

アセスメント結果に基づき、介護職、看護師、ケアマネ、リハビリ職などの多職種で計画を策定します。ご本人ができることを活かし、どのような生活を目指すのかという目標立てをします。この際、なぜこのアプローチが必要なのかという根拠を明確にし、ご本人やご家族に分かりやすく説明して同意を得ることが不可欠です。

D(Do:実行)|計画に基づいた具体的なサービス提供と記録の共有

同意を得た計画に沿って、日々のアプローチを実践します。介護スタッフは、ただケアを提供するだけでなく、なぜこの計画が組まれたのかを理解しながら関わることが重要です。ご本人の反応や体調の変化、お話された言葉などはその都度しっかりと記録します。

この現場での「気づき」が、次のステップである評価を行うための貴重な一次情報となります。情報は溜め込まず、多職種や他スタッフがいつでも確認できるよう、リアルタイムに情報共有することも大切です。

C(Check:評価)|会議を通じたモニタリングと評価

計画したケアが適切に提供され、目標に対してどのような変化があったかを振り返ります。介護現場では定期的なカンファレンスなどがこの役割を担います。主観的な「良さそう」という感想ではなく、調査(S)時と比べて動作がどう変わったか、食事の摂取量や意欲に変化があったかなど、客観的な事実や数値に基づいてモニタリングを行い、ケアの妥当性を検証します。

A(Action:改善)|評価結果に基づく計画の修正と次期サイクルへの反映

評価の結果、目標に近づいていれば現在のケアを継続し、課題が見つかればアプローチを修正します。もし設定した目標を達成できていた場合は、ご本人のさらなる意欲や可能性を引き出すために、次の新しい目標を設定するのが良いでしょう。

一方で、状態の変化や予期せぬ反応があれば、再び「S(調査)」に立ち返り、新たな気づきをもとに次のサイクルへ繋げます。この改善を止めないことで、ご利用者の小さな変化を見逃さず、常に「今の状態」にベストなケアの提供ができます。

【各ステップで確認すべきチェックリスト】

  • S:身体機能だけでなく、活動・参加や生活環境の調査をしたか
  • P:ご本人・ご家族の希望に沿った目標設定と、説明同意があるか
  • D:多職種間でご利用者の反応や記録をリアルタイムに共有できているか
  • C:事実に基づいた客観的な指標でモニタリングを行っているか
  • A:評価結果から計画の継続・変更を具体的に判断したか

介護現場で役立つ!SPDCAサイクルの活用事例

事例①:転倒が増えたご利用者への生活環境の整備と自立支援

室内での転倒が増えたご利用者に対し、住環境と身体機能の両面からアプローチした事例です。

(S)Survey:ケアスタッフが移動時の動線と実際の動作を調査。筋力低下だけでなく、床の色と段差の判別が難しくなっていることや、特定の場所で足が止まる傾向があることが判明した。

(P)Plan:安全な移動のため、手すりの増設と視認性の高い段差解消ステップの設置、さらに下肢の維持訓練を計画。ご本人へは「一人でトイレに行けること」という目標を伝え、同意を得た。

(D)Do:計画に基づき環境を整え、ケアスタッフは見守り歩行を継続。日々の歩行時のふらつきやご本人の安心感を細かく記録し、チームで共有。

(C)Check:1ヶ月後のカンファレンスで、設置後の転倒がゼロになったことを数値で確認。

(A)Action:「安心して一人で歩ける」という自信が、ご本人の「外に出たい」という意欲につながった。そこで次は、庭の散策など活動範囲をさらに広げることを目標に設定。より安定した歩行を維持するための筋力トレーニングを日常のプログラムに組み込んだ。

事例②:BPSDの緩和とケア方法の見直し

夕方の不穏が目立つご利用者に対し、その原因を特定し、精神的な安定を図った事例です。

(S)Survey:不穏になる時間帯の周囲の状況を調査。夕食を準備する際の食器の音や、スタッフの慌ただしい動きが刺激となり、ご本人の不安を煽っている可能性があると判断。

(P)Plan:夕方の時間帯は静かな個室で過ごすなど、個別の対応を計画。なじみのスタッフが寄り添い、ご本人の好きな音楽を流すなど、安心感を与える関わりを実施することに。

(D)Do:全スタッフが計画を共有し、静かな環境を提供することを徹底。不穏になるときはどんなことを話されるのかや、表情の変化をリアルタイムに記録し、チームで共有。

(C)Check:モニタリングの結果、不穏になる頻度が大幅に減少し、夜間の入眠もスムーズになったことを確認。

(A)Action:対応が有効であると判断し、標準的なケア手順として正式にケアプランへ反映。他職種にも共有し、同様の配慮を継続することに決定した。

事例③:適切な調査に基づいた入浴・排泄支援の改善

全面的な介助が必要と思い込まれていたご利用者に対し、残存機能を活かして自立支援を促進した事例です。

(S)Survey:全介助だった動作を再度調査。ズボンの上げ下ろしや、立ち上がった状態を5秒間保持できる力を発見。

(P)Plan:「全介助」から「一部介助」へ変更。ご本人ができる部分は手を出さずに見守り、立ち上がり動作を自立支援の機会とするケア手順を策定。

(D)Do:現場のケアスタッフが手順を遵守。ご本人が自力でできた際にはチーム内で共有し、ご本人の意欲の変化や表情なども記録。

(C)Check:実施から3ヶ月後、保持時間が延び、ズボンの引き上げがほぼ自力で可能になったことを評価。

(A)Action:身体機能の向上に合わせて、今後はポータブルトイレから室内のトイレへの移行を目指すなど、さらに生活の範囲を広げるアプローチへと拡大。

ケアカンファレンスでC(Check)をしている写真

SPDCAサイクルを「形だけ」で終わらせないための注意点

サイクルを回すこと自体が「目的」化するリスク

SPDCAサイクルは、ご利用者の生活を良くするための「手段」であり、計画書をつくることが「目的」ではありません。書類を完成させることだけに意識が向くと、現場での実践と記録が乖離し、実のない運用になってしまいます。

情報の属人化を防ぐ:多職種でリアルタイムに共有する

特定のスタッフしかご利用者の変化を知らない状態では、SPDCAサイクルは機能しません。調査結果や日々の気づきが個人のメモに留まってしまうと、適切な評価(C)や改善(A)が遅れてしまいます。

リアルタイムで多職種やチームが同じ情報にアクセスできる環境を整えることで、小さな予兆を見逃さず、次のステップへの判断を適切なタイミングで行えるようになります。

SPDCAサイクルに関するよくあるQ&A

Q.  従来の「PDCA」と「SPDCA」の決定的な違いは何ですか?

A. スタート地点が「計画(P)」ではなく「ご利用者の現状の把握(S)」である点です。 従来のPDCAでは、まず「何をやるか(計画)」からスタートしますが、介護の現場ではご利用者の状態を知らずに良い計画は立てられません。SPDCAでは、まず客観的に今の状態をしっかり調査することから始めます。

Q. サイクルはどれくらいの頻度で回せばよいのでしょうか?

A. 大きな見直しは定期的なカンファレンスのタイミングで良いですが、日々の微調整は随時行います。 決して「早く回すこと」が目的ではありません。ご利用者の状態に明らかな変化があったときや、今のケアが合っていないと感じたときが、サイクルを回す(見直す)タイミングです。

Q.ご利用者が現状維持を望んでいる場合も、サイクルを回すべきですか?

A. 「現状維持」という目標を支えるためにこそ、SPDCAが必要です。 介護現場では、身体機能が維持できていること自体が素晴らしい成果であることも多いです。「昨日と同じ生活ができているか」をS(調査)で把握し、それを守るために今のケアをCheck(評価)し続ける。サイクルを回すことは、必ずしも「上を目指す」ことだけではなく、「大切な日常を変わらず支える」ためにも大切なことです。

まとめ:SPDCAサイクルを形にする鍵は「情報共有」のスピード

本記事では、介護・リハビリ現場におけるSPDCAサイクルの重要性や、具体的な進め方、活用事例について詳しくお伝えしてきました。

SPDCAサイクルは、一度回して終わりではなく、継続することでその価値を発揮します。このサイクルを形だけで終わらせず、現場の力として定着させるためには、誰もが正確な情報にアクセスでき、根拠のある振り返りをしっかりと行える環境を整えることが重要です。

質の高いケアは「記録」と「ふりかえり」から

SPDCAサイクルを実効性のあるものにするためには、現場での「記録」が欠かせません。調査(S)で得た情報と、実行(D)した際の結果が具体的な事実として蓄積されていることで、初めて精度の高いふりかえり(C)が可能になります。過去の記録と現在の状態を比較できる環境こそが、次の改善(A)へと導く道しるべとなり、ご利用者の生活を支える質の高いケアを実現します。

SPDCAを支えるケア記録ソフト「ケアコラボ」の活用

現場にある多くの情報を整理し、SPDCAを確実かつスムーズに実践できる環境を提供するのが「ケアコラボ」です。スマホでその場ですぐに入力・確認ができるため、日々の気づきやご利用者の小さな変化が抜け漏れなく記録として蓄積されます。

ケアコラボで日々の気づきが写真つきで記録されているスクリーンショット

他職種の記録もタイムライン形式で把握できるため、カンファレンスでもより多角的な視点からの議論が可能になります。

現場の「気づき」や「変化」などを多職種・チームに円滑に共有できるケアコラボに、少しでもご興味お持ちいただけましたら、ぜひ一度お問合せください。

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佐藤 ありさ

佐藤 ありさ

福祉系の専門学校を卒業後、介護福祉士として勤務。その後新規事業開発の仕事を経験。「これまでの経験を活かして、福祉の現場で働く方々を支援したい」 そんな想いから、2022年にケアコラボへ入社しました。 「こんなケアを実現したい」という想いを持つ一人でも多くの方に「ケアコラボ」を届け、その実現の一助となれたら嬉しいです。

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