一方通行の「伝達」から「情報共有」へ。病院付き添いサービスにおけるケアコラボ活用方法

病院付き添いサービスは全国的には少しずつ増えているものの、まだ珍しく、先駆け的存在として注目されている。
- 情報共有のためにかかるコストと時間の負担が大きかった
- ご家族や関係者に対して、一方通行の伝達をしている感覚だった
- 複数のツールを組み合わせて使い、紙も併用する必要があった
- 外部との情報共有が容易になり、報酬の対象外である事務作業時間が削減
- ご家族や関係者と双方向の情報共有ができるようになった
- ケアコラボですべてが完結するようになった
ご利用者に向き合えるよう、事務作業を軽減したかった
― まずはhareruya様について教えてください。
私どもhareruya(はれるや)は、「晴れやかな気分で、明るい超高齢社会をいきる」というビジョンを掲げ、沖縄県沖縄市にて、居宅介護支援事業と病院付き添いサービスを提供しています。
2016年に会社を設立した当初は、介護が必要な方に対して、ご本人の望む自立した生活をサポートする制度やサービスをつなげ、ケアプランを作成する居宅介護支援事業事業が中心でした。しかし、仕事を続けるうちに、ご利用者には業務の範囲を超えた深刻な困りごとがあると感じるようになりました。その一つが、病院への付き添いです。
それで、2018年から保険外での病院付き添いサービス「ケア・シェアリング・ポノ」を始めました。医療と介護現場の架け橋となり、要介護者や高齢者が安心して診療を受けられるよう、通院に同行するサービスです。
当時、保険外サービスはまだまだ聞きなれない言葉で、自費でサービスを利用することへの理解は得にくいものでした。しかし、始めてみると、口コミでどんどん利用者が増えていったので、やはり潜在ニーズはあったのだと実感しました。
その後、2022年から仕事と介護の両立サポート「晴れるや」を開始。従業員のご家族が介護が必要になった際に、産業ケアマネが企業と連携してサポートするサービスです。望まない介護離職を防ぎ、仕事との両立を支援します。
2025年現在、hareruyaは、居宅介護支援、病院付き添い、仕事と介護の両立サポートの3本の柱で成り立っており、ケアコラボは主に病院付き添いサービスで使っています。職員数は15名ほどで、ほとんどの職員がケアコラボを操作しています。

― ケアコラボを導入する前には、どのような課題があったのでしょうか?
病院付き添いサービスを始めた当初、法人内ではGoogleカレンダーでご利用者の基本情報や受診に付き添った内容の報告を共有していました。
そして、外部に報告書として提出するときには、GoogleカレンダーをPDFで保存したり、印刷したりして、ご家族にはLINEに添付、福祉関係の事業所にはFAXで送信、後見人にはメールに添付というように、相手に合わせて送り方を変えていたんです。この作業にかなり手間がかかっていました。
病院付き添いサービスでは、ご利用者に接している時間に対してのみ、料金が発生します。つまり、付き添い終了後の事務作業に対する報酬はないわけですが、それでも職員への時給は支払わなければなりません。コスト面のみならず、事務作業が忙しくてご依頼を受けられないこともあり、本末転倒というか、非効率だと感じていました。
しかし、きめ細やかな情報共有が高く評価され、リピート利用につながったり、信頼されて新しいご利用者の紹介につながったりしていたので、負担であっても情報共有をやめることはできません。それで、どうにかして情報共有を楽にしたいと考えていました。

小規模事業者にも「ちょうどいい」ケアコラボ
― ケアコラボの導入を検討したきっかけを教えてください。
情報共有の方法に悩んでいた頃、介護関係の集まりで、社会福祉法人永甲会の施設長から、「ケアコラボという介護記録システムを使ってご利用者のご家族に情報共有している」という話を聞きました。「そのシステムを、どうにかして保険外サービスでも使えないだろうか」と考えたのが、ケアコラボ導入のきっかけです。
Googleカレンダーは無料で使えますが、ご家族や関係する事業所、後見人などへの共有には手間がかかります。かといって、自分たちのような小規模事業者が何百万円もかけて自前のアプリを作るのは現実的ではありません。
それまでもいくつかのツールやサービスを見てはいたのですが、ピンとくるものはなかったのです。でも、ケアコラボを知ったとき、「これだ!」と直感しました。
病院付き添いサービスでの導入事例はなかったものの、使い方次第で、自分たちの負担になっている業務をほとんど置き換えられると思ったのです。
― ケアコラボを選ばれた決め手は何でしたか?
実際にケアコラボを導入して活用している方から話を聞いたことが大きいですが、利用する職員の人数に応じて料金が決まる形だったことが導入の決め手でした。
病院付き添いは、そのサービスの特性上、1人のご利用者に対して、ご家族や後見人など、平均して2〜3人の方が紐づいています。
私どもは小規模事業者なので、ご利用者の人数、共有先の数で料金が決まるとなると、今後どのぐらいの料金がかかるのか予測できず、いつか使えなくなってしまうのではと不安がありました。でも、職員の数はある程度こちらでコントロールが可能ですから、これなら使い続けられそうだと思ったのです。
― 導入にあたり、懸念事項はありましたか?
当社は、ご利用者のご家族だけでなく、居宅介護支援のケアマネージャーや社会福祉協議会、行政機関、後見人など、公的な立場の方々ともやりとりをしています。
そういった方々に、新しいシステムを導入して使ってもらえるのか、「これで情報共有をお願いします」というやり方がどこまで通用するのか、とても心配でした。
しかし、ケアコラボの説明資料を作成して先方の同意を取り、その後、導入手順を解説したスライドをメールで送ったところ、問題なく使ってもらえるようになりました。初期設定という最初のハードルを越えてしまえば、あとは定期的に見てもらうだけでしたから。
その説明資料を作成する際も、ケアコラボ社が記録の公開に関する同意書のフォーマットを用意してくれているので、とても助かりました。実際に導入する側の立場で考えてくれていると感じたのを覚えています。

ケアコラボを導入してよかったこと
― ケアコラボを導入して、職員の皆さんの反応はいかがでしたか?
職員もみんな情報の共有に苦労していたので、ケアコラボを導入するときは「これで楽になるのなら!」とポジティブに受け止めてくれました。それまでも複数のツールを組み合わせて使ってきたので、新しいものに対する抵抗感もありませんでした。
ケアコラボの説明の中に、「SNSのタイムラインのように」というのがありますよね。タイムラインのように自分に関係する人たちの情報が上がってきて、確認したり、コメントしたりできるという説明で、みんなイメージをつかみやすかったようです。
おかげで導入して使い始めるまで、とてもスムーズでした。
― ケアコラボを導入したことで、課題は解決できましたか?
大いに課題解決に役立ちました! どこからでもスマホで入力できるので、情報共有のためにかかっていた時間を大幅に削減できただけでなく、精神的な負担も軽減できました。
以前のように、GoogleカレンダーをPDFで保存したり印刷したりすると、画面で見るときとは微妙にずれてしまってやり直しになることがあります。FAXを送る際は送り状を付ける必要があるし、送り間違いがないように細心の注意を払わなくてはなりません。
また、添付写真はGoogleカレンダーからエクスポートできないので、LINEで送る必要があり、1人のご利用者の情報共有にかなりの労力を費やしていました。
一つひとつは小さくても、それらが日々積み重なり、大きなストレスになっていたのです。
しかし、ケアコラボを導入したことで、そうした悩みはほとんどなくなりました。当社では契約時にご家族へ情報共有をケアコラボで行っていることをお伝えし、同意をいただけたらすぐにメールで招待しています。写真も含めて、情報共有はすべてケアコラボで完結するので、負担が大幅に減りました。
ご利用者のご家族だけでなく、福祉関係の事業所や施設の方、ケアマネージャーなど、関連する方々を「家族」としてケアコラボに招待しているので、皆さんそれを確認して、必要があればコメントを残してくれます。
それまでは一方通行の伝達という感覚でしたが、ケアコラボは反応やコメントがあるので、双方向のやりとりだと感じられ、本当の意味での「共有」ができていると思います。ご家族や関係者も、ケアコラボを見れば経緯や現在の状況がわかるので、間に入って伝達のやりとりをしなくていいんです。
以前は電話で「このご利用者のこの日の受診に関して知りたい」という問い合わせを受けていましたが、今は「ケアコラボに載せています」と伝えるだけで済むので助かっています。
― それ以外にも導入してみてよかった効果はありますか?
先ほど、ご家族がケアコラボを確認して必要であればコメントすると言いましたが、実際には、コメントが入ることはそれほど多くありません。つまり、ご利用者が病院で受診し問題がなかったことをご家族が見て安心する、という部分に価値があるのだと思います。
ご家族から「ケアコラボでの報告を見るとき、自分もその場にいたような感覚になれる」というお言葉をいただいたときは、すごく嬉しかったですね。
仕事などの事情があって病院に付き添えないご家族も、やはり気にはされているので、職員が付き添って問題なく受診ができたとわかると安心できるし、罪悪感を持たずに済みます。
私たちは、それが病院付き添いサービスの提供価値の一つだと思っています。
もう一点、以前は記録を紙で保管していましたが、ケアコラボにデータを残せるので紙での保管をやめました。保管の問題やそれに伴う手間が不要になったのも、よかった効果です。

使えば使うほど、さらによくなっていくサービス
― 対話しながら一緒に機能を開発していく姿勢に関しては、どう感じていますか?
ユーザーと交流してヒアリングし、寄せられた意見を開発に反映していこうという姿勢が、ケアコラボ社の魅力だと感じています。保険外サービスの小規模事業者の導入は前例がなかったと思いますが、親身になってこちらの話を聞いてくださり、心強かったです。
ケアコラボ社の皆さんは、ケアコラボを導入している法人のことをよく把握されているのでしょう。しっかり寄り添ってくれているのを感じますし、サービスに関しても「今あるものを使えるように使って」ではなく、「今はこうですが、何か気づいたらぜひ教えてください!」というスタンスなのが伝わってきます。
― これから導入を検討している方にメッセージをお願いします。
ひと口に保険外サービスといっても、その種類によって情報共有の必要性は変わってくると思います。それでも、ケアコラボを導入することでご利用者とご家族の安心につながるのは間違いありませんし、何より、セキュリティの整った環境で、情報共有をしつつ、自分たちの実績を記録として残していく価値は大きいと感じます。
― 今後の展望やケアコラボ社への期待をお聞かせください。
ケアコラボには満足していますが、それと同時に、まだまだ上限に達していないというか、使っていけばいくほど、さらによくなるんだろうなという可能性も感じています。
この先ケアコラボがもっと有名になって、誰もが知る存在になったとき、「私は結構前から使っていて、ずっと推してきたんです」と自慢したいですね(笑)。
ケアコラボ社にはすごく期待しているので、本当にそんな日が来ると思っています。
