回復期リハビリテーションでケアコラボを導入したら、ご家族の動画視聴やコメントが大幅に増加

ケアコラボは、年間約300人が入退院する三九朗東リハビリテーション病院で利用中。
同院は地域連携医療 ・社会復帰支援なども行っている。
- 動画共有のために作られていないサービスは使いにくかった
- 患者さんごとのアカウントを作るのに非常に手間がかかっていた
- せっかく動画をアップしても、ご家族にあまり見てもらえていなかった
- ご家族への動画共有が簡単にできるようになった
- らくらく患者さんごとのアカウントを作れるようになった
- 予想以上にご家族に見てもらえるようになり、ご家族の反応も確認できるようになった
動画共有サービスでやりたかったこと
― まずは三九会様について教えてください。
私ども医療法人三九会(さんきゅうかい)は、愛知県豊田市にて三九朗病院と三九朗東リハビリテーション病院を運営しています。2病院の総職員数は約500人です。ほかに系列施設として、リハビリデイサービスが2か所、通所リハビリテーションが1箇所あります。
三九会が大事にしてるのは、「『ここに来て良かった』と思ってもらえる施設でありたい」という理念です。「思いやりと信頼を大切にします」「あなたの笑顔が私の幸せです」「大切なのはどれだけ心を込めたかです」「相手を認め受け入れます」の4つを行動指針としてケアにあたっています。
ケアコラボは、動画の共有を主な目的として、三九朗東リハビリテーション病院に先行導入しました。現在は機能を絞っているため、管理職とリーダークラスの職員が中心に操作しています。
― 以前の動画共有サービスを利用し始めた理由は、どのようなものだったのでしょうか?
当初は、ご自宅で自主トレーニングを行っていただくために、トレーニング動画を撮影して患者さんご自身でご覧いただくサービスを導入しました。
それまでは、自主トレーニングのやり方を紙に書いてお渡し、自宅でやってもらう形だったんです。
しかし、身体の動きを伝えるには紙よりも動画のほうがわかりやすい上に、ネット環境があればどこでも見られるところが利点だと考え、サービスを導入することに決めました。
― サービスを導入して、患者さんの反応はいかがでしたか?
うまく活用してくれる方もいるにはいたのですが、正直あまりうまくいきませんでした。スマホやタブレットで動画を見るシステムだったため、デバイスを使いこなせる人にとってはいいツールだったのですが、回復期の患者さんは70〜80代の方が多く、後遺症が残ってしまう方もいるので、スマホやタブレットの操作がむずかしい方が多かったんです。
そのため、撮った動画をご自宅で再生して見てもらうことは難しく、当院の患者さんに自主トレーニングをしてもらうという使い方は浸透しませんでした。
その少し後、コロナの流行で面会が制限されるようになったため、「それならこのサービスを使って、自主トレだけでなく、普段のリハビリテーションの様子を撮影した動画をご家族に共有して見てもらうのはどうだろう」と考えました。
ちょうどシステムがアップデートされ、第三者(患者さんのご家族)のデバイスからも閲覧できるようになっていたので、新たな活用方法を見つけた気持ちでした。

求める条件を満たすのはケアコラボだけだった
― ご家族に患者さんの動画を見てもらう試みはうまくいきましたか?
システムのアップデートにより機能が追加され、ご家族が閲覧できるようになったものの、実際には、操作性が悪いという理由であまり見てもらえませんでした。
そもそも自主トレーニング用に動画を撮って残すことを主目的として作られたサービスなので、第三者の閲覧を想定したつくりになっていなかったんです。
ご家族からも使い方がわからないというお声を結構いただきましたし、職員も操作を覚えるのに苦労していました。実際に共有サービスに登録してくれたご家族は、かなり少なかったですね。
職員が患者さんの動画を撮って保存することは続けていましたが、ご本人に時系列順に動画を見せてフィードバックするという使い方にほぼ限られていました。
― ケアコラボの導入を検討したきっかけを教えてください。
そのサービスはまだ製品化される前の段階だったので、当院では開発に協力しながら数年間使っていました。しかし、残念ながら収益化が難しかったようで、サービス終了となってしまったのです。
2024年4月に通知があり、サービス終了の6月末までに代替手段を見つける必要がありました。インターネットで「病院 患者 動画 共有」などのキーワードで検索して探しましたが、電子カルテと連携させるサービスはたくさんあっても、動画共有に特化したツールは少ないんです。
当院で採用している電子カルテはあまりメジャーなものではないため、そういったサービスが連携の対象外でした。それなら電子カルテとは切り離して、動画共有のために独立したツールを導入するほうがいいと考えました。
― 最終的にケアコラボを選ばれた決め手は何でしたか?
動画を撮ってご家族にしやすいこと、利用料金がリーズナブルであること、使い勝手がよいこと。その条件に当てはまるサービスはケアコラボしかなかったので、問い合わせた時点で、ほぼケアコラボに決めていました。
特によかったのは、患者さんの人数に応じた料金体系ではなく、使用する職員の人数に応じた料金体系だったことです。
当院は年間で約300人が入退院しており、同じ方が入退院を繰り返すことも珍しくありません。退院してもまた入院する可能性を考えるとアカウントを消せないので、アカウント数がどんどん増えてコストがかさんでしまいます。
その点、使用する職員の人数で料金が決まるケアコラボはとても良心的だと感じました。
使い勝手においても、離れて住むご家族に簡単に動画を共有できるだけでなく、ご家族からのコメントを入れてもらえるのも魅力でした。動画の共有やコメントのやりとりで、ご家族との信頼関係を強めることができると思ったからです。

ケアコラボを導入してよかったこと
― ケアコラボを導入して、どのような部分が使いやすいと感じましたか?
第一に、とてもスムーズに患者さんごとのアカウントを作れたことです。
前のシステムでは、患者さんのアカウントを作るのに毎回個別のメールアドレスを登録する必要がありました。ご高齢の患者さんはメールアドレスを持っていないことが多いので、当院で代わりにメールアドレスを作成していました。。ケアコラボを導入して、そうした面倒な作業も不要になりました。
第二に、動画の撮影と共有がとてもしやすいことです。
前のシステムでは、アプリを起動して、患者さんのアカウントを選択してからそのアプリで動画撮影をする必要がありました。
しかし、ケアコラボはタブレットで撮影した動画をカメラロールの中から選んでアップロードできるので、他の職員に撮っておいてもらうことも、撮りためておいてまとめてアップすることもできます。
アプリを開いた状態でしか撮影できないという制約がなくなったので、アップロードが完了する前に次の動画を撮り始めてアプリが固まってしまうことや、通信状況によるアップロードエラーもなくなり、誰もが気軽に撮影できるようになりました。
以前のサービスのときは、職員やご家族から「使い方がわからない」という訴えがありましたが、ケアコラボ導入後はそれがなくなり、職員からは「動画は簡単に撮影できるようになった」、ご家族からは「動画がとても見やすくなった」と好評をいただいています。

― 導入において、何か工夫したことがあれば教えてください。
患者さんが入院されるとき、ご家族に対して「当院ではケアコラボというシステムを使って動画を記録として残しています」と説明し、利用同意書にサインしてもらっています。
そして、一週間後にご家族が再度来院されるので、そのときに撮っておいた患者さんの動画を見せ、「メールアドレスを登録すると、お家でもこのような動画を見ることができます。登録されますか?」と尋ねています。
このやり方なら、希望される方にはタブレットを渡してその場で入力してもらうだけで済むので、職員がご家族のメールアドレスを含む個人情報を知ることも、管理する必要もありません。
一度登録していただければすぐに動画共有ができるので、とてもラクですね。
― ケアコラボに切り替えて、導入前の課題は解決されましたか?
8割方、解決されたと思います。ケアコラボの機能で確実に業務が効率化できていますし、動画共有のしやすさも満足していて、やりたかったことはほぼやれている状態です。
残りの2割は当院側の事情で、リハビリスタッフと病棟看護師の職員間で患者さんの状態を共有するのに使いたいと考えているのですが、病棟にケアコラボを導入するところまでたどり着いていません。その部分は、今後工夫して解決していければと思っています。
― そのほか、導入してみてよかった効果はありますか?
退院された患者さんを一覧で見られるように、ケアコラボで退院者だけをまとめたリストを作っています。再入院する場合は、退院者のチームからリハビリのチームに戻すだけなので、管理の手間や余計なコストを発生させることなく、記録を保管できるので助かっています。
また、予想以上にご家族からコメントをいただけるようになったのも、嬉しい効果でした。前のシステムは、ご家族がログインしているかどうかも把握できず、「アカウントを渡したものの、本当にご家族はこれを見てくれているのかな?」という不安が常にありました。
しかし、ケアコラボはご家族のログイン状況がわかるので安心感がありますし、皆さん熱心に見てくださって、動画にコメントをしてくれる方も多いんです。ご家族の招待率も大幅に上がり、現在、5割ぐらいのご家族に利用してもらっています。

また、ご家族からのコメントは職員のモチベーションアップにも寄与していると感じます。やはり、撮影してアップした動画をご家族が見てくれれば嬉しいし、コメントがあれば「ご家族はこんなふうにとらえてくれているんだな」と感じて前向きな気持ちになれますから。
患者さんにもご家族にも喜んでもらえるサービス
― これから導入を検討している方にメッセージをお願いします。
ケアコラボは、患者さんごとに入院時から退院時までの情報を時系列順に整理できるので、患者さんご自身も変化がわかりやすく、効果を実感してもらいやすいです。当院では導入して本当によかったと思っています。
遠方に住んでいてなかなか面会には来られないけれど、患者さんのことを気にかけているご家族は多いです。ですので、動画を撮ってご家族と共有するサービスは、患者さんの満足度を高め、ご家族に安心感を与えるという意味で、とても良いものだと感じています。
ケアコラボ内ですべてが完結するので個人情報を管理する煩わしさもなく、患者さん、ご家族、職員で情報をオープンに共有できるので安心です。満足度が高いので、動画共有の方法に悩んでいる回復期リハビリテーション病棟におすすめします。
― 今後の展望をお聞かせください。
回復期の患者さんは、リハビリスタッフが見ることのできる日中と、病棟看護師しか見ることのできない夜間とで、どうしても状態に差がでてしまうものです。リハビリスタッフと看護師が保持する情報の差をいかに少なくしていくかが、私たちの課題だと考えています。
リハビリスタッフと看護師とで患者さんの情報を共有して、病棟での生活の様子も含めてご家族に見てもらうような使い方もしていけたらと思っています。