ケアコラボ導入が業界全体の価値向上へ。意識の変化が、新卒7名の採用につながった

- 記録の質や熱量にばらつきがあった
- パソコンの台数制限による記録待ちが発生
- リアルタイムに記録できず、正確性が担保できなかった
- 写真や動画を活用して記録の質が全体的に向上
- 各自がスマホで記録することで待ち時間をゼロに
- スキマ時間での記録や音声入力を活用し、記憶が鮮明なうちに記録
記録の質や熱量にばらつきがあり、大きな課題を感じていた
― ケアコラボ導入前の記録について教えてください。
20年以上前から現場の支援記録はすべて手書きで行っていました。その後、請求に関連する一部の記録だけは請求ソフトに入力していましたが、支援に関する記録はずっと手書きでした。
当時の手書き記録には、担当者によって字のきれいさや記録の熱量に差があり、見栄えや内容にばらつきが生じていました。また、詳細な記録が残っているご利用者と少ないご利用者の差があって、支援をしているのに記録が残らないことに違和感を感じていました。
― その他に記録の方法で抱えていた課題はありましたか?
当時は、その請求ソフトを使用できるパソコンが限られていて、記録などの業務を行うタイミングが重なると、順番待ちが発生することもありました。また、夜勤や宿直の際には、席に座ってパソコンで記録をつけていましたが、リアルタイムでの入力が難しく、正確性に欠ける場合もあるなど、課題の多い状況でした。記録の方法には常に悩みを抱えていて、「この方法で本当にいいのか?」と疑問に感じることがよくありました。
そこで「記録委員会」を立ち上げ、記録の質を統一するための改善に取り組みました。従来の紙の記録をワードで作成するように変更し、担当者がまとめたものを上司に提出する仕組みを導入。当初、この新しい方法には消極的な声もありましたが、今振り返ると、記録の統一と整理を進めるための重要な一歩となりました。
しかし、当初は手書きの記録をそのままデータ入力する形に変わっただけで、大きな変化は感じられませんでした。
― 意味のある記録にするために、具体的にどのようなことに取り組みましたか?
私は以前、住宅会社で働いており、報告書の作成には馴染みがありました。リフォームを担当していた際、施工前後や点検内容を記録する機会が多く、写真を活用して視覚的に伝わりやすいように工夫していました。その点が上司に評価されたことは、今でも印象に残っています。
その後福祉業界に転職したのですが、記録の表現が乏しく、報告の質を向上させる必要性を強く感じました。さらに、役職が上がるにつれ、対応が難しいご利用者を担当する機会が増え、記録の重要性を改めて実感しました。
夜勤では、「一人につき一件の記録を必ず残す」というルールを定め、些細なことでも記録をつける習慣を身につけてもらうようにしました。一方で、日中の主力となるパート職員の負担を軽減するため、書式を毎年見直し、記録をつけやすい環境づくりにも取り組みました。
それでも、日中は業務の忙しさから記録が後回しになり、さまざまな支援を行ったにもかかわらず、記録が残っていないこともありました。
そうした状況を改善するため、前職の成功体験を活かし、ご利用者の記録に写真を取り入れることを提案。おかげでより具体的で分かりやすい記録を残せるようになり、職員やご家族との情報共有の質が改善していきました。

先進的な取り組みに感銘を受け、ケアコラボの導入を決意
― 10年以上と、かなり長い期間にわたって記録方法に課題を抱えていたそうですね。2019年11月にケアコラボへご連絡をいただきましたが、それ以前から、導入に向けて情報収集をされていたのでしょうか?
振り返ってみると、課題解決の糸口を見出せたターニングポイントは、ケアコラボに問い合わせる前の2017年か2018年頃でした。私たちが利用しているリクナビの営業担当者が、埼玉県だけでなく関東全域まで幅広く法人を紹介してくださり、町田のある法人さんと巡り合ったことがきっかけです。
当法人では私が働き始めた頃から、施設見学の機会は多くありました。福利厚生の一環として「施設研修旅行」という制度があり、グループごとに他施設を見学し、積み立てた費用で宿泊や懇親会を行う、社員旅行のような研修が実施されています。そのおかげでさまざまな施設を訪れる機会がありました。
中でもこの法人さんは、タブレットを活用してその場で簡潔かつ効率的に記録する仕組みを築いていて感銘を受けました。他にもインカムを活用したスムーズな連絡手段や、職員の業務のスマートさが際立っていました。
私たちの施設では声を張り上げてやり取りをしていたので、その違いに衝撃を受けました。また、トイレ誘導後の隙間時間にタブレットで素早く情報を入力するなど、効率的な業務フローにも感動しました。これらの取り組みを弊社の職員にもぜひ共有したいと思い、他の職員を連れて見学に行ったほどです。
こうした仕組みを導入するには費用面でのハードルがあると感じつつも、強い憧れを抱き、「私たちもそちら側へ行きたい」という思いに駆られました。もし自分の施設でも同じような技術を取り入れられたら、より質の高いサービスを提供できるのではないかと感じました。
― その他の施設でもケアコラボの導入事例を見学しましたか?
はい、同じ埼玉県にある清心会を見学した際は、ケアコラボやスマホを導入して記録をはじめとした業務の効率化を図っていることに大きな影響を受けました。
研修会やサービス管理責任者の研修でファシリテーターを務める中で、清心会の方々と交流する機会があり、そこで得た情報がきっかけでさらに強くケアコラボに惹かれました。
業務効率化や正確な記録を残すためには、タブレットやスマホを使ってスムーズに入力できる体制を整えることが必要だと確信しました。
新卒採用の質向上を見据え、前進させた導入準備
― ケアコラボの導入準備はどのように進めていきましたか?
導入にあたっては、理事会で費用対効果を明確に示すことが求められました。事前に資料をしっかり整え、説得力のある説明をすることがカギとなります。特に、金額に対してしっかりとした根拠が求められることが予想されるため、徹底的に調査を行いました。準備万端で熱意を込めて説明することで、納得してもらえると信じて臨みました。
端末については清心会の方から、従業員約300人の法人で、職員の半分、つまり130台ほどのスマホを契約したと伺いました。実際の契約内容を参考にして、同じ会社からオフィス用のスマホを提案してもらいました。現実的な価格での提案を受けたことで、前向きに進めることができました。
― 何が決め手となりケアコラボを導入することになりましたか?
私自身が課長として人事も担当している経験から、採用活動が種まきから始まると感じていました。今の時代、どんな人でもいいというわけではなく、しっかりとした人材を採るために、こだわりを持って採用活動を行う必要があります。ケアコラボのような記録ソフトの導入は、間違いなく採用活動に追い風になると確信しています。
記録方法の改善と、それによって質の高い人材を迎え入れるための環境づくりを考慮し、このタイミングで導入を決断しました。新卒をはじめ、新しく入ってきた職員には「楽しく働きやすい環境だ」と思っていただきたいのです。
“夜勤体験”で現場を理解してもらい、新卒7名を採用
― ケアコラボを導入して、採用にどのような変化がありましたか?
ケアコラボを使うことで、人材確保だけでなく、質の高い人材育成や支援力向上にも大きな意味があると感じています。以前は応募してきた人に対して、何とか採用を出すという状況が続いていました。いわゆる「落とせない採用」、次に応募してくる人がいなければ、採用するしかないという状況だったんです。でも、動機づけが弱い人は、何かあればすぐに辞めてしまうのは明らかで、リクルートの営業の方にも「内定は軽く出さない方がいい」と何度もアドバイスされました。
そこで考えたのが、「入職したい」と本当に強く願うような人材だけを採用するという方針です。時間はかかりますが、入職したいという気持ちが強い人に入ってもらうようにしました。
― 選ぶ側に回る採用をするにあたって、ケアコラボをどう活用していますか?
学生にケアコラボを直接操作してもらうなど、現場に近い体験を提供しています。2018年か2019年には、実際に夜勤をしてもらう“夜勤体験”を始めました。学校訪問をしていたとき、一般的なインターンシップだけではインパクトが足りないと感じて、思いついたものです。キャリアセンターの担当者にも「こんな取り組みは聞いたことがない」と、興味を持ってもらえました。
― “夜勤体験”はどのような思いや目的で始めたのですか?
夜勤体験を通じて、施設にも静かな時間があることも知ってもらいたいと思っていました。多くの人が「夜勤は大変そう」と敬遠しがちですが、現場では意外にも若い職員を中心に、夜勤が人気であることを私は実感しています。この時間帯は業務が落ち着いているので、ケアコラボの記録を見てもらう場面が多く、参加者の目が輝く瞬間を見て嬉しくなりました。
ツール内でご利用者の情報を深堀りしてもらいながら、その使い勝手を感じてもらうことで、「すごくよくわかりました」というポジティブな反応を得ることができました。こうした体験が現場理解を深め、プラスに働いたと実感しています。
さらに嬉しい成果として、今年4月に入社する新卒の人数が過去最高の7人となり、そのうち6人は昨年5月に、すでに内定が決まっていました。すばらしいのは、この7人全員が自分から「入職したい」と言ってくれたことです。その中には夜勤体験が楽しくて、なんと11回も参加してくれた方もいました。このような取り組みが、彼らにとって重要な決め手となったと強く感じています。
― 夜勤体験などを通してケアコラボにたくさん触れていただけたんですね!
ケアコラボを実際に使ってもらうと、みんなが口を揃えて「仕事のイメージが湧いた」と言ってくれます。特に、自分より数年先に入った職員の記録を見て、現場の具体的なイメージをしやすくなるのが大きなポイントです。説明会をいくら開いても効果は限られているため、実際に学生に現場の雰囲気を体験してもらうことを重視しています。その中で、ケアコラボをどのように活用しているのかをしっかり伝えることで、ツールが現場でどれほど役立っているかが実感として伝わり、学生にとって理解が深まるのです。

記録のデータ化で、監査対応がスムーズに
― 職場の雰囲気やツールが整っていることが、働きやすさに直結するんですね。
私は管理職をしながら兼務で現場で記録もしています。ケアコラボの導入前は、消灯時間の21時をすぎてから、1日の出来事を“思い出し”で記録していたため、どうしても抜け落ちてしまう部分がありました。印象に残った出来事があったはずなのに、うまく記録に残せないことがあったんです。
ケアコラボを導入し、スマホや音声入力を活用して、リアルタイムでこまめに記録するようにしました。これにより、消灯時の21時にはその日の記録がほぼ完了した状態になり、記録の精度が向上し、業務の負担も軽減されました。同じように職員からも「時間を有効活用できるようになった」との声が上がっています。
― 他に感じられたことはありますか?
特に印象的だったのは実地指導が入った時のことです。
監査を受けるにあたって、最初はどのような反応をされるのか少し不安がありました。以前は、全員の記録を準備し、事故報告のファイルを確認したり、記録を手作業で突き合わせたりと、かなり時間と手間がかかる方法で対応していました。
しかし、今回はモニターでケアコラボを表示し、こちらが主導する形で「このように運用しています」と実際の業務フローを説明。情報共有の方法や日誌の管理手法を具体的に示しました。
支援記録や事故報告書などがケアコラボ上で一元管理されており、誰でも簡単にアクセスできる点を伝えたところ、監査担当者からご指摘どころか、「よくやっていますね」とお褒めの言葉をいただく結果となりました。
また、職員会議の動画配信についても、ケアコラボの申し送り機能を活用していることを伝えたところ、情報共有の仕組みがしっかり整備されていることを評価していただけました。
― 写真や動画の記録をスマホでできることについてはどのように感じていますか?
スマホで簡単に写真や動画を記録できることは、私たちにとって大きなメリットです。以前のパソコンでの記録作業では、デジカメで撮影した写真をパソコンに取り込む必要があり、大変でした。しかし、ケアコラボではスマホで撮った写真をそのままアップロードできるので、手間が省けた上に管理もしやすくなりました。
言葉だけでは伝えにくい内容も、写真や動画を使うことで分かりやすくなります。実際に、施設内で物を壊してしまったご利用者の行動を動画で記録し、変化を追うことで、支援の方法を検討しやすくなりました。
また、動画を活用することで、精神科の先生にも「このような状態です」と具体的に伝えやすくなり、より適切な対応につなげられると感じています。
写真や動画は、言葉だけでは伝わりにくい部分を補い、支援の質を高める有効な手段になっていると思います。
― どんな記録が増えましたか?
これまでは「自傷行為をした」「わざと何かを壊した」など、どうしても報告が必要なネガティブな記録が中心になりがちでした。もちろん、そういった記録も必要ですが、それだけではご利用者の全体像が伝わりにくくなってしまいます。
余暇活動や外出時に楽しんでいる写真を撮れるようになったおかげか、ポジティブな記録を増やそうという気持ちが醸成されてきています。

ケアコラボ導入によって芽生えた、職員の意識の変化
― 事務所のパソコンに戻らずとも、現場でスマホで記録しながらご利用者を見ることができるようになったと感想をいただいていますが、これについてはどうでしょうか?
現場で記録をする職員が増え、職員室に戻ることが減少しました。
職員が適切なタイミングで現場にいるかどうかによって、業務の流れや事故防止に大きな影響が出ます。やはり現場をしっかり見て、適切に対応することの重要性を改めて実感しています。
― 情報共有については何か変化はありましたか?
同じ法人内で、日中は就労系の事業所、夜間はグループホームといった使い分けをするご利用者がほとんどです。そのため、日中と夜間の事業所間の情報共有ができるかどうかが重要になります。
以前は、紙の日誌を使って情報を共有していて、それがないと業務ができない状況でした。ただ、実際には朝の勤務前に全員がその日誌をしっかり読んでから業務に入っていたかというと、正直なところ、そうではなかったと思います。
しかし今は、事業所ごとに情報が整理され、職員がスムーズに状況を確認できるようになっています。そのおかげで、職員の情報収集の意識も高まり、特にパート職員の方々は以前よりもアンテナを高く張るようになったと感じています。
実際に私が夜勤明けで出勤すると、職員から「この人、昨晩はこういう様子だったんですね」といった積極的な声が聞かれるようになりました。記録をもとに適切な対応ができるように改善したことはポジティブな変化です。
― サポート体制に関してはどのように感じていますか?
ケアコラボのサポート体制については、“身近さ”が最大の魅力だと感じています。常に開くケアコラボ内に埋め込みのチャットがあり、ツール内でサポートが完結しているところがすばらしいです。チャットやテレビ会議では担当者の顔が見えるので、より安心感を持って利用できます。
ログイン時に表示される改善点の通知はいつも楽しみにしていて、どんどん改善が進んでいるのが伝わってきます。リーダー職として部下には、「もし使っていて疑問や不便な点があれば、どんどん相談してほしい」と伝えています。
ケアコラボは改善が早く、現場の声をしっかりと反映して使いやすさが向上しているので、みんなで期待感を持ちながら利用しています。これからも変化があれば、さらによくなっていくと感じています。
― ラボCafe※にもご参加いただいていますね。
同じツールを使っている他の事業所とのつながりは、とてもありがたく、刺激にもなっています。自分たちだけで解決するのではなく、他の人たちとの関わりを通じて学び、成長できることが多いです。今後もこのような企画には喜んで参加したいです。
※ケアコラボが新しく始めたユーザー同士の座談会
“支援力”を向上させ、福祉の仕事に付加価値を
― これから導入を検討をされている方にアドバイスはありますでしょうか?
ケアコラボを導入することで、いろんな効果があることを知ってほしいしですし、一度試してほしいです。新しいツールを導入することは、福祉業界の進化につながります。最初は新しいものに抵抗を感じることがあるかもしれませんが、職員たちにとっては成長のチャンスです。
障がい福祉事業では、誰にでも見せられるような支援内容と記録の共有が重要です。この取り組みを進めることで、不正や不適切な支援を減らし、よりよい環境が築けると信じています。
私たちは、ケアコラボをきっかけにスマホを導入した結果、他のツールの活用にも広がっています。それによって、Lean on Me社が提供するオンライン研修サービス「スペシャル ラーニング」をスキマ時間で視聴しやすくなりました。
手軽に記録を残すためだけではなく、ツールの可能性を最大限に活用することで、福祉業界はさらに発展します。不安があれば、ラボCafeに参加した際などに、実際に使用している私たちがお話することも可能です。
ユーザーが増えることで、さらにいいサービスに進化する可能性を秘めているかもしれませんし、積極的に活用していってほしいですね。
― 今後ケアコラボを使っていく展望や、ケアコラボ社に対するご意見があれば教えてください。
福祉職の給与や処遇を改善しようと加算制度を取り入れたりしていますが、そもそも福祉職の仕事の質が低いために給与が安いという見方もあります。私自身、転職した当初は給与が低いことに対して、仕事にどれだけの付加価値をつけられるかが重要だと感じました。ただ見守るだけの仕事では、その給与が低いのも納得できると思います。給与を上げたいのであれば、付加価値のある仕事を提供することが大切です。
私たちの職場でも、15年ほど前よりご家族への情報発信も含めて付加価値をつけるサービスを提供できるように考えてきました。理想的には、日々の仕事をより透明性高く、誇りを持って示せるようになりたいです。
よりオープンな運営を目指し、ご家族にもご利用者の様子を伝えられるようになれば、安心にもつながると思っています。その意味でも、記録の在り方や可能性を広げていくことが大切だと感じています。
そのためにもご家族機能を使って日々の記録を共有し、“支援力”を向上させることが今後の課題です。
加えて、福祉業界全体についても、まだまだ紙ベースの業務が多く、デジタル化が遅れている部分があります。今後ケアコラボのようなツールがもっと普及していけば、業界の雰囲気も変わると思います。ケアコラボを使ってみて、記録ツールの可能性を感じていますし、これからも使い方を広めていくことで、福祉業界全体の質を上げることができると感じています。今後もし何かお手伝いできることがあれば、喜んでサポートさせていただきます。