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導入事例

記録が楽しい。ツール導入をきっかけに意識改革と大幅な業務効率化を実現

社会福祉法人南高愛隣会
法人のミッションは「生きる誇りへの、挑戦。」長崎県全域で障がい者支援サービスを提供。
約1000名の知的障がいの方を中心に施設の中でなく地域で暮らせる環境を提供している。
事業所数は約50で職員数は約600名。
雲仙事務所 管理者 白石 晃華様
導入前
  • 電話とFAXでは事業所間の情報共有がうまくいかなった
  • よりよい情報共有のために、書式のフォーマットが増えすぎてしまった
  • 請求システムではご利用者の人となりが分かるデータベースが構築できなかった
導入後
  • スマホを活用し、事業所間の情報共有をリアルタイムに
  • ケアコラボに情報を集約することで書式を削減
  • 請求に関わる情報以外も「プロフィール機能」で充足

事業所を超えた情報共有で、よい支援が提供したかった

― ケアコラボを導入する前はどういったことにお悩みでしたか?

南高愛隣会は長崎県全域で、障がい者支援サービスを展開しています。ご利用者は基本的に日中は就労支援、夜間は一軒家やアパートを借りたグループホームという別のサービスを利用しています。
日中と夜間が距離も離れた別々の事業所でサービスを受けているのが特徴です。
それぞれの事業所では紙で記録をしていたのですが、事業所間で情報のやり取りをするにもFAXを送ったり電話したりとなかなかうまく共有できていませんでした。

情報共有がうまくいかないと、事業所を超えてその方にあった支援を提供することができません。お互いの事業所でのできごとなどをわかった上でご支援したいという思いがありました。

支援者はみんないい支援を提供したいと強く願っているのですが、お互いの事業所での支援内容が見えないと「なぜ支援方法が違うんだ?」となってしまいますよね。
お互いのことを知ることでよりよい支援ができるのにな…と考えていました。

当法人は障がい者虐待にかかる行政処分を受けました。
なぜ起こってしまったのかを検討した際に、事業所間で障がい特性が共有されていない、業務過多になっているのではないかという課題点が出て、またご指摘もいただきました。

そもそも、法人内でご利用者の名簿となるデータベースの管理ができていませんでした。
請求のシステムではあくまでサービスごとの実利用の人数しか出ないため、実際にどういう特性や年齢の方が何名いるのかを把握するのが一苦労でした。

インタビューをした南高愛隣会のお二人が向かい合って喋っている写真

― 何かこれらを解決するための対策はされていましたか?

情報共有をちゃんとしたいと思い、色々な書類のフォーマットを作成しました。すると書類が増えてしまって逆に非効率的な業務につながってしまったんです。Aさんの予定シートがあって、さらに事業所全員分のAさんからFさんまでの予定シートができて…そのため転記や管理が必要になってしまいました。

あと、情報が変わる時にどうやってリアルタイムで共有するかというのがネックになりました。書類を整理したはいいものの、どちらの書類が最新なのか分からなくなってしまう…

これらの課題を解決するためにシステムをいくつか見ていました。手間と費用があまりにもかかってしまい、費用対効果を算出しにくいためになかなか決定ができませんでした。また、50近くある事業所のサーバー管理が難しいこともあり、クラウドのサービスを探していたが無かったというのも課題でした。

何もしないよりも小さく始めてみる

― その中でなぜケアコラボを導入しようと思われたのでしょうか?

当法人の理事長が千葉にある社会福祉法人 福祉楽団さんの飯田理事長から紹介を受けたことがきっかけです。
すぐに理事長から「いつまでも検討しているより、まずはこれでやってみよう」と話がありました。それに背中を押され、2016年12月にケアコラボへと問い合わせました。

ちょうど管轄の事業所からも、情報共有してもっといい支援がしたいという声があがっていたので、2017年1月中旬には雲仙地区の4事業所だけで無料トライアルを始めることになりました。

インタビューをした南高愛隣会のうちお一人の写真

― トライアルを行ってみていかがだったでしょうか?

事業所に既にあったパソコンでスタートしたので環境の導入障壁はありませんでした。
ただ、一部の支援者からは紙の記録の方がラクだと言う声があがっており、そこの抵抗感を払拭する必要がありました。
一方で若手の支援者が自発的にマニュアルを作成して推進してくれました。事業所の役職者も情報共有の大切さと現状の課題を認識していたので、思ったよりもスムーズでしたね。
トライアルをやってみると紙の書式を5つほど減らせたので、うまくいってるという実感を持てたことが良かったです。

一部の事業所でまずはやってみて成功例を作ることが上申にも役立つと思っていましたし、好調なスタートが切れましたね。

― 6月には全体に広める前に諫早地区で限定的に試されましたね。

職員数も多い分、しっかりと費用対効果を見極める必要があると思っていました。
一方で確実に効果があると私自身は確信していたので、より職員数が多く効果の高い地区を巻き込むことにしました。
そこで重度高齢のホームがある地区が候補となりました。障がいの重い方こそ自分で意思表示するのが難しいために、支援者の感じたことを共有することが大切となるからです。

― 展開にあたって工夫したことはありますか?

関わる職員数が多いことから、費用をお支払いしてケアコラボの方に現地に説明会に来ていただきました。
さらにこのタイミングでタブレットを追加で導入してより記録しやすい環境を整えました。

距離が離れていることもあって管理が難しいので、各事業所にケアコラボ担当を一人配置しました。
サイボウズ(※グループウェアと呼ばれる社内情報共有の仕組み)上でケアコラボに対する意見を集約していたので、情報共有はスムーズでした。
ケアコラボの担当者会議はSkypeで定期的に開催して、相談しあえる関係性を作っていきました。
実はケアコラボ社とSkypeをやってみたことがきっかけで法人内の会議でも試してみたんです。

― その1年後に全体導入に至ったきっかけは?

理事長から今後どうするのか明確にするよう指示があり、8月に導入法人の福祉楽団さんと社会福祉法人 愛川舜寿会さんに見学に行くことになりました。
ここで聞いたお話が私たちに大きな影響を与えました。

まずは皆さんがスマホからケアコラボを使っていること。
現場からタブレットが使いづらいという声もあがっていましたし、今後他のICTツールを使うにあたっても必須だとは思っていました。
ガラケーとタブレット、スマホのみを支給するパターンを試算した時の費用にあまり差がなかったこともあります。

スマホを触る南高愛隣会の現場スタッフの写真

現場の方に何気なく質問した際に、「記録が楽しいんです!」と返ってきたことに最も感銘を受けました。
スマホから写真を撮って記録することで、その時の情景が浮かんできます。
今までは文字だけだと伝わりづらく、どうしても体調の変化などよくない記録が多かったんです。
でも写真や動画で記録できることで自然と素敵な場面を撮りたくなります。
スマホの導入後は現場に指示を出すまでもなく、自発的にお好み焼き作りを楽しんでいる写真などを撮ってくれています。

その後、半年間の試行でケアコラボの成果として書類と時間を削減できたことをまとめました。それを元に経営層に報告をしてからが大変でした…

インタビューをした南高愛隣会のうちお一人の写真

全体導入への挑戦

― 何が大変だったのでしょうか?

スマホの導入というハードルがありました。
ちょうど役職者に支給していたガラケーの更新時期が重なっていました。しかしキャリアさんからはものすごく高い提案が届いたため、追加で他社を呼んで相見積もりをする形になりました。
そして3往復くらいやり取りがあった上で、現行のキャリアさんから同じ位の金額で250台のスマホを調達することになりました。

そして事業所で必要な数を割り出す作業です。
日中の事業所では外に出かけるグループがいくつもあったり、夜間のグループホームは1つの事業所に15くらいのホームがあり、職員がそこを巡回します。
足りなくならないように、かといって多すぎないための適正な台数は何台か、50近くある事業所に一つ一つ電話をかけて確認しました。
事業所の活動内容、ホームの種類まで、すっかり詳しくなりました(笑)

そこで終わらずさらに電波の通らない地域があり、そこだけは別のキャリアさんのスマホを用意する必要がありました。
手元に届いたあとは電話機や電話帳を入れ替える作業もあり、本当に大変でした…

携帯電話の管理をしていた担当者はあまり説明を受けないままに突然この業務がきてあたふたしていました。
ケアコラボの説明会を受けてやっと「こんなワクワクすることのためにあの作業をしていたんですね!」と気付いたそうです(笑)

― 他にも苦労されたことはありますか?

社会福祉法が変わり、社会福祉法人は監査法人による法定監査を受けることになりました。監査法人から情報管理に関する指摘がありました。ケアコラボのセキュリティは大丈夫かという指摘です。

それをきっかけに労務管理について解決すべき課題も浮き彫りになりました。ケアコラボを導入した場合、入力しきれない分を家に持ち帰って入力しないかということが悩みだったのです。

セキュリティ対策としてケアコラボのオプションとして電子証明書(※会社から支給した特定の端末からのみケアコラボにアクセスできる仕組み)を導入することになりました。
結果として、情報管理も確実にできる、家で入力することも出来なくなるという両方の課題をクリアすることができました。

環境の構築にしっかりと時間と手間をかけたおかげで今ではとてもケアコラボを有効に使えています。

スマホでケアコラボを操作する南高愛隣会の現場スタッフ

現場スタッフの積極的な参加

― 端末の準備、本当にお疲れさまでした。では全体への導入後はどういった効果がありましたか?

最初に始めた事業所では情報共有がとてもうまくいっていますね。
最近では記録に対するコメントを使って支援方法について議論されているケースも見かけます。
管理者からは、以前のように月一回まとめて大量の紙を送られてこなくてよいと高評価です。
リアルタイムで状況を把握できるのはいいですね。
理事長からはもっといいね!やコメントを使う方がいいとアドバイスを受けています。
そうすることでこの支援はいい・悪いの軸が出来上がりますし、人材教育にも活用できるからです。

心配していたことが全然起こらなかったということもあります。最初は世話人さんが使いこなせるか…という懸念していました。
ところが私用のガラケーをスマホに変えてLINEを使い始める方が続出しています。
押しづらいからスマホのタッチペンを買ったという方もいらっしゃいました。

障がい者が雇用契約を交わして働く就労継続支援A型の事業所の職員は、調理や太鼓の指導といった専門職が多いので、抵抗感があるかと思っていましたが、こちらも杞憂に終わりましたね。
むしろ夜間の様子が分かったことで声がけが変わって、「ケアコラボいいですね!」という声も出ています。みんないい支援をしたいという思いが伝わってきます。

今までは勤務時間ギリギリまで記録を書いていたのが、支援の合間に記録することで退勤前に余裕ができました。
おかけでその時間が終礼のようになり、支援の振り返りにもつながっています。

日中事業所からは朝礼が10分短縮できたという声を聞いています。
読み上げる業務がなくなった分、余裕をもって送迎に行けることでご利用者との会話も増えたようです。

スマホを操作する現場スタッフの写真

ケアコラボ導入と同時に書式を整理して大幅に業務を効率化

― 他に取り組まれていることはありますか?

今年の1月には書式を削減するために委員会を立ち上げました。
先ほども話しましたが、5種類ほど減らすことができたことをきっかけに、本当に必要な書式に絞り込もうという意識が芽生えました。今では209種類あった書式が179種類まで減りました。
目標は138種類なので継続していきたいです。ここまで減ると法人全体で1ヶ月4286時間の業務効率に繋がることが分かっています。

全体のデータベース管理もちょうど最近手を付け始めています。
ケアコラボが法人全体で本格稼働したのが7月なので、皆さんがやっと記録にも慣れてきたという印象です。次のステップとして、ご利用者のプロフィール拡充に取り組んでいるところですね。

ケアコラボを導入したことでそれまで同じ内容を3つの書類に書いていたのが1回で済むようになりました。あわせて書類の整理をしたことで少ない時間で業務をこなすことができる様になりました。
この結果を受けて業務時間の短縮に取り組むことにしました。

業務のやり方を変える必要があったのですが、ここでケアコラボが役立っていると実感しています。

パソコンからケアコラボにログインする現場スタッフの写真

― 今後挑戦したいICTはありますか?

ご利用者の情報が一度に集まることが本当に楽になりました。
それ以外の書類や色々な一覧もデータベースで管理できないかと考えています。書式を減らすためにもkintoneとGoogle Workspaceを導入したいと思っています。
現場も事務も定型業務が多いのでRPAにも興味があります。職員の労務管理にも応用できたらいいですね。

あとは排泄支援などもうまくICT化できたらいいなと考えています。
これらの情報をもっと多く集めて今後も色んなことにチャレンジしていきたいです。

ケアコラボを導入いただいている事業者様の導入事例をまとめています。

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岡部 拓哉

岡部 拓哉

2017年にケアコラボ一人目の社員として入社。様々な業務を経験したのち、2022年に卒業。現在は株式会社グロースハックラボを設立し、ケアコラボを含めた多数の企業のウェブマーケティングを支援している。