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導入事例

ICTを活用することで、職員は働きやすく、ケアの質はより高くなると思っています

株式会社ケアクラフトマン
鹿児島県出水郡長島町で地域密着型通所介護、訪問看護、居宅介護支援、訪問入浴、離島での福祉サービスを運営。
地域密着型デイサービス、訪問入浴介護でケアコラボを利用。居宅介護支援事業所、訪問看護とも記録を共有している。
企業理念「最期まで自分らしく生きられる社会をつくる」。職員は39名。
代表取締役 大平怜也様
飯尾綾様
瀬戸口盛子様
導入前
  • ご家族との連絡帳の作成に時間がかかっていた
  • 以前の記録ソフトはインストール型で一部のパソコンでしか使えなかった
  • 時間と場所に制限があり、記録を見返す時間が取りづらかった
導入後
  • 「ご家族機能」を活用し、写真や動画付きの記録をリアルタイムで共有
  • ケアの合間にスマホから記録することで時間短縮
  • スマホで空き時間に記録を見返せるように、「読んだよ」やコメントでコミュニケーションも

サービスの特徴と導入前の課題

― 提供しているサービスの特徴を教えてください。

開業当初から、ストレングスを活かした活動をすると決めています。

ストレングスとは「その人の持つ独自の強み」で4つに分けられて、生まれ持った強み、人生の中で獲得してきた強み、環境と、興味関心。

その中で1番重要なのは興味関心と言われていて、私たちは、利用者さんの興味関心を大事にしたいと考えています。

デイサービスって、1日のスケジュールが大体決まっているんですよね。朝来て、バイタル測って、体操して、レクして、ご飯食べて……。でも、それだとその人がしたいことができない。
それで、スケジュールを「決めない」ということを最初に決めました。

その人がしたいと思ったことを、その日にやるようにしています。
突然買い物行きたいと言ったら「機能訓練」という名目で行きますし、釣りやお出かけなど、柔軟に対応しています。
昼食のメニューもその日に考えるので、材料を見ながら「これが作れるからこれにしよう」という感じです。

あるとき、10:00くらいに「今日はBBQがしたいそうです!」と言われて。
昼食の買い出しはすでに終わっていたので、「今日使う予定だった材料は、まぁ、明日使えばいいか……」なんて考えていたら、「ノンアルコールビール買ってきていいですか?」と楽しそうに言われました。とても自由です。

インタビュー時に歓談されるケアクラフトマンのスタッフのみなさま

― 雰囲気が伝わる素敵なエピソードですね。導入前の課題はどういったところでしたか?

以前使っていたソフトは、サーバーも購入したのでトータルで非常にコストがかかりました。
ソフトをインストールしたパソコンでしか記録ができませんでした。
当時はそれが当たり前でしたが、今振り返るととても不便でした。

また、家族との連絡手段として連絡帳を作っていましたが、とても時間のかかる作業でした。
写真を撮ってパソコンに送って、それを記録ソフトに登録して、レイアウトして、印刷して、バイタルなどすべて手で記入していたので、その作業をなんとかしたいと思っていました。

― ご利用者様の満足度を上げようとすると、職員の負担が大きくなってしまう状況だったのですね?

そうですね。とても時間がかかっていました。
もともとはバイタルと様子を記録したものだけだったんですが、写真があったほうが様子が伝わりやすいということで、ずっとそうしていました。
午前と午後で写真を撮ったりすると、いい写真がたくさんあっても記録システムの都合上、その中で1枚だけ厳選しないといけなくて、それも悩ましかったですね。

ケアコラボ導入のきっかけ

― ケアコラボ導入のきっかけはなんですか?

最初のきっかけは、ソフトを変えるというよりも、働き方を変えたいと思っていたことです。ケアマネジャーや、訪問看護の仕事をフレックス制に変えたいと思っていたので、クラウドのソフトを探していました。

― これまではシステムに働き方が縛られていたんですね。

そうですね。タブレットやスマホで完結できる形にしたかったので、勤怠管理や請求、記録、会計も、一斉に全部クラウドのソフトに変えました。

まずクラウドという条件で、その次に機能、と考えていました。記録ソフトって、正直なところ、どこもそんなに大きくは変わらなかったんですよね。

しかし、機能で考えると、記録を他の人に見てもらえたら連絡帳を書かなくていい、という考えがあって。

その当時、探していた中で他の人が記録を見られるものは、ケアコラボともう1社くらいしかなかったと記憶しています。

― 他社と比較したときに、軸としたものはありますか?

使い勝手がSNSみたいで、記録がしやすいと思いました。介護記録のソフトって、デザインが分かりづらいというか、機能が多い分ボタンが多かったりするんですが、ケアコラボはシンプルで分かりやすいです。

また、はじめてアジャイル開発という言葉を聞いて、毎週アップデートをするのは魅力的に感じました。

振り返ると、それまでのソフトは法改正のとき以外はアップデートがなかったので、その頻度も選択基準の1つになったかと思います。

導入までのプロセス

― トライアルのときからTV会議でお話させていただいていましたが、回線が遅いとお話されていたのが印象的です。

今年5月に光回線が来ました!(一同拍手)

それまでは回線が遅いので、モバイルWi-Fiをおいていました。そのほうが断然早かったです。

そのようなネット環境でしたが、働き方を変えたかったので、クラウド化をしたい、と話していました。

― デバイスはなにを使用されていますか?

スマートフォンとタブレットが2台ずつと、パソコンが3台です。

交代で使っています。

現場スタッフさんがパソコンでケアコラボを操作される様子

― ケアクラフトマン様は、トライアルからスムーズに導入にいたったと記憶していますが、職員の方々の反対意見などはありませんでしたか?

SNSに慣れた職員が多く、とまどいは少なかったかもしれません。

今はすっかり慣れてしまったので、当時なにか苦労があったどうかも、思い出せないくらいです。

お試し期間の間に、これまでの連絡帳をどうするか、など職員同士で話し合いをしました。

もともと連絡帳をやめたいね、と話していたので、家族閲覧の登録をしている方にはケアコラボで確認していただき、登録していない人には連絡帳を継続しています。

全員分を紙で書いていたときにあった、他の方に綴り間違えてしまう事故はなくなりました。畳にばっと用紙を並べて、利用者さんが帰宅する前に時間を気にしながら作業していたのですが、それがなくなりとても楽になりました。

実際に使ってみて

― 記録の仕方は変わりましたか?

ケアコラボの前は、特定のパソコンでしか記録出来なかったので、「ちょっと貸して~」って感じで記録するか、まとめて入力してもらうことが多かったです。

トイレに何時に行かれた、などは合間でリアルタイムで入力ができるようになりました。

以前は、「何時頃トイレ行ってたっけ?」と、思い出すのにも時間がかかっていましたね。記録の前に記憶をたどるという作業がありました。

重要記録のときは、記録のつけ方を生活支援記録法(F-SOAIP)で、主観的情報、客観的情報、評価、計画というのが分かるように書いています。

事故があったときは、再現VTRなど動画で残すこともあります。写真や動画で残すと、少ない文章でも伝わりやすいのでいいですね。

また、これから1dayシートを導入しようかと検討しています。

― 1dayシートはもともと入所施設が使用することを想定していましたが、最近では通所介護でも使われるところが増えてきています。

1dayシートについては、デイサービスの場合、特に週1日の利用だったりすると、その人の生活のごく一部しか知ることができないので、ご自宅での様子を知ることが課題ですね。

先日、はじめてユーザー会に参加したのですが、1dayシートはユーザー会でも使っているところが多くて、勉強になりました。みなさんメインにしている機能が違うので、いろいろな使い方をしているんだ、と参考になりますね。

ケアクラフトマンのスタッフのみなさま

― 記録を見返すことで、ケア自体に変化はありましたか?

以前は記録を読む時間も場所も限られていたし、読んだかどうかも分かりませんでした。

今は、記録の確認はそれぞれ空いた時間に出来るようになって、「読んだよ」クリックで誰が読んだかも分かるので、話が通じやすくなりました。

シフトですれ違いになってしまう職員とも、記録を読めばこの前こんなことがあった、とすぐ共有できるので、ケアにつながりが生まれたと思います。

― ケアコラボが役に立った具体的なエピソードがあったら教えてください。

2週間ほどずっと体調がすぐれない方がいらっしゃって、でもご家族がどうしても仕事に行かなければならないということで、体調が心配だったので、リアルタイムでケアコラボに情報を入力して、ご家族が見られるタイミングで見ていただきました。

こまめにご様子を伝えたいけれど仕事中はたびたび電話はできないですし、ケアコラボに入力していれば合間合間で見られるので、迅速に情報を共有できて助かりました。

― ご家族との関係性を大切にされていると感じます。家族閲覧機能はどれくらいの方が利用されていますか?

60名近く利用者の方がいて、登録していない方は1名だけです。

― 他の法人さんと比べると割合が多いですね。

記録をみて、「ごはんおいしそうですね」「昔のお母さんを思い出しました」「まだ出来るんですね」とコメントをくださる方や、絵文字を使われる方もいます。

全部の記事に毎回コメントをくださるご家族もいますね。

受診結果をケアコラボに記録してくださるご家族もいるので、ありがたいです。

― ご家族とのコミュニケーションを大切にされていらっしゃるんですね。職員同士のコミュニケーションにも変化はありましたか?

それまで職員同士の伝達事項はメッセージアプリで行っていましたが、間違えて消しちゃった、とか、見返すのもスクロールをたくさんしなくちゃいけなくて大変でした。

あとから入った人は見れないし、誰が読んでるかもわからなかったです。

今は、申し送り事項は必ず見ましょう、とルールを決め、情報共有が確実に出来るようになりました。スレッドごとなので、確認したい情報がどこにあるかも分かりやすくなりました。

ホームでスタッフさんがご利用者の横でケアコラボを操作される様子

― 継続して紙に記録しているものはありますか?

バイタルを一時的に記録するのは紙です。

通所介護計画書は、紙で印刷してサインをいただいていますね。

― 通所介護計画書について、以前のソフトと違いはありましたか?

レイアウトや項目を自由に変えられたので、そこは便利でした。

― ケアコラボのいい点を3つ教えてください。

1つ目は、やはりご家族と情報共有がしやすいことで、関係性を築けることです。

遠方にいて、なかなか会いに来るのが難しいご家族でも、写真で顔が見られるので安心されるようです。

2つ目は、デバイスを問わないため、場所や時間縛られずに隙間の時間で記録が入力できたり、確認ができたりするところです。

3つ目は、操作が簡単で、ログインしてから記録を入力するまでがスムーズにできるところ。必要な情報を見つけるのも、キーワードを検索すればよいので早くなりました。

あと今思ったのは……4つになってしまうんですが、いいですか?

― いくつでも大丈夫です!

今までの記録は、書いて、読むためだけのものでした。それが、家族とも、職員ともコミュニケーションを生むものになりました。

ただ介護記録を読んでいるだけでは苦痛もあったと思いますが、ケアコラボだと記録上で「読んだよ」だったり、気軽にコメントができたりして、SNSを見ている感覚で記録が読めます。

他の人が書いた記録に一言付け加えたい、というときも、コメントで加えられます。

以前は編集しないといけなかったので、最初に記録した人の名前が残らなかったのですが、そういったこともなくなり、つながりを記録することができるようになりました。

干し柿を作る様子

これから導入する人へのアドバイス

― 先輩ユーザーとして、これから導入を検討している方へアドバイスを一言お願いします。

光回線必須、ですね(笑)

でも本当に、インフラを整えるのは大切です。逆に業務効率が下がってしまいますので。以前は撮った写真をパソコンに読み込むにもすごく時間がかかっていました。

あと、ケアコラボ以外にも言えることですが、精通していてなんでもすぐに答えられる、担当者が1人いるといいですね。余裕があればちゃんと手当もつけてあげるとその人は喜んでアドバイスするんじゃないかと思います。

うちの場合は、わからないことは全部僕(大平様)にきます(笑)

アカウント管理は、他のシステムも含めてきちんとやったほうがいいですね。

それから前提として、そもそも何を解決するために導入するのか、は明確にしてたほうがいいです。月々のコストを減らしたい、なのか、業務を楽にしたい、コミュニケーションを活発にしたい、なのか。

― それをみんなで共有したほうがいいのか、それとも担当者がわかっていればいいのでしょうか?

それはチームによると思います。

うちは元々フレックス、リモートワークの導入がメインの目的で、決まった時間に職場に来ることにまったく意味がないと思ったのと、子育てしていると保育園のお迎え前に帰りたいし、子どもが寝てから仕事できたら楽なのに、という思いからでした。

それが実現できるように導入するので、覚えなおさなきゃいけないけど我慢してくださいね、という説明をしていました。難しくないから、3つ覚えればいいから、というのは何度も繰り返し伝えていました。

事前に、変えるけどきちんとサポートもあるよ、という話は何人かにしていたと思いますが、現場の一人ひとりにまでそのような説明をしていたわけではありませんでした。

これまでも、いろいろなことを試してきたので、現場の雰囲気として新しいものを取り入れることに抵抗がないのかもしれません。

ケアクラフトマンのケアコラボ運用ご担当者さんのお写真

― 組織の風土や、チームが変化に強いということも1つのポイントなのかもしれませんね。

そうですね。反対だった人もいたかもしれませんが、駄目だったらまた考えればいいや、と思ってやってみるしかないと思っています。

トップの強い意思でやるのか、根回しするのかはチームによって変わると思いますが、飯尾さんや瀬戸口さんが反対といったらケアコラボを入れてなかったと思うので、チームの中で影響力のある人にまず相談してみることが必要だと思います。

今後について

― 今後の期待や挑戦したいことについて教えてください。

IoTを活用して、今の非効率な状況を変えていきたいと思っています。

経営方針として、社員やビジネスパートナーを大切にしてこそいいケアが出来ると考えており、そのためにもいろいろなツールを使っていきたいです。

例えば今は、薬の確認をするためだけにケアマネジャーが往復30分かけてその人の家まで行っています。でも、そこでテクノロジーを活用すれば、効率もよくなるし、情報がたくさん得られるようになると考えています。

情報がたくさん集まれば、課題分析が的確になり、適切なタイミングでケアに入ることができるなど、ケアの質の向上につながります。ITリテラシーが上がるきっかけにもなると思っています。

来年度は小規模多機能型居宅介護事業もスタートするので、そちらでもケアコラボを活用しようと思っています!

港の前にある達者の家の看板の写真

― ありがとうございました。今後も引き続き、介護業界のICTについて一緒に考えていければと思うのでよろしくお願いいたします!

ケアコラボを導入いただいている事業者様の導入事例をまとめています。

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古畑 佑奈

古畑 佑奈

2011年、社会福祉法人へ入職し、特養の生活相談員や訪問介護員、介護職員のマネジメントを経験。ケアコラボは開発当初からユーザーであり、「人」が中心の介護記録に共感し多くの人に知ってほしいと思っている。2020年より介護系ライターとしての活動を開始。社会福祉士・介護支援専門員。