スマホで記録できるのは当たり前。いつもケアコラボとともにいるから「つながる」ケアができる

- 手書きは情報量が多いが、読みづらさや共有・保管の面で課題があった
- パソコンを記録することが多く、ご利用者の様子が見えづらかった
- 多職種での情報共有に時間がかかっていた
- 文字だけでなく写真を使うことで、適切な量の読みやすい記録へ
- スマホを活用し、ご利用者のそばにいながら記録できるようになった
- ユニットを移動しなくても記録の参照ができ、共有時間の大幅な短縮に
記録ソフトと手書き、それぞれの悩ましさ
― まずは永甲会さんについて教えてください。
私ども社会福祉法人永甲会は、三重県四日市市釆女町にて特別養護老人ホームうねめの里を運営しています。うねめの里は、2005年に開設されたユニット型の特養です。
そのほか、ショートステイ、デイサービス、特別養護老人ホーム、障がい者支援施設、生活介護事業所、保育園などもあり、法人全体で14の事業所があります。職員数は約340人です。
永甲会は「里人さん[1]社会福祉法人永甲会では、ご利用者さん・入居者さんに親しみを込めて”里人さん”とお呼びしています。 (ご利用者・ご入居者)の立場に立って考える」を第一の理念として掲げています。里人さんの人生や価値観を理解し、日ごろの暮らしぶりに向き合い、真摯に介護させていただくことを念頭に置いています。
ケアコラボは、保育所以外の多くの事業所で利用しており、各事業所では基本的に職員全員が使っていますね。
― うねめの里では、開所以来どんな記録方法を採用していたのでしょうか?
事業所を開設した当初から記録システムを導入していました。
パソコンと小さめの専用端末の両方で記録が可能だったので、里人さんに寄り添ったケアをしながらさりげなく記録ができることを期待して導入したのです。
しかし、当時は通信環境が悪く、記録が二重になってしまったり、確認のために再度パソコンを開かなくてはならなかったりと、非常に記録に対する手間がかかっていました。
どうしても現場のケアが優先になりますし、手間のかかる記録方法だと簡素なものになり、里人さんが一日どう暮らしたのかがわからない、全員似たり寄ったりの内容になってしまったのです。
その後、当時の理事長が「もっと里人さんのことが分かる記録にすべきだし、里人さんでなくパソコンに向き合うことに時間を使うのは本末転倒だ」という判断を下し、デジタルでの記録を廃止しました。そして、時間を軸とした紙に手書きをする形になったのです。
手書きなら里人さんの近くで記録を書けるし、端末や通信環境にも左右されません。画一的な記録ではなく、里人さんの状態や場面を読み取る記述ができるようになりました。
しかし、誰もが読みやすい字を手際よく書けるわけではないため、読み書きにおいて不具合が発生し、総合的なパフォーマンスは下がってしまいました。
また、年月が経つにつれ、保管する書庫の容量が限界に近付いてきたことも問題でした。
― 手書きのメリットを感じつつも、デメリットが看過できなくなってきたのですね。
その通りです。そこで、手書きの記録を数年間続けたことにより、職員みんなが記録のあり方、捉え方を習得したであろうという判断のもと、2013年のかすみの里開設にあわせる形で大手の記録ソフトの導入に至りました。
日本ユニットケア推進センターの研修で使われる内容をそのまま記録ソフトに反映しており 、ユニット型の特養において非常に扱いやすい仕様になっていたのも魅力でした。
導入してから年月が流れ、その間に記録システムそのものの利便性も上がっていったので、個別ケアにおける記録としては一定の役割を果たしてくれました。
しかし、パソコンでしか記録が行えないシステムだったため、再び職員がパソコンの前に張り付くようになってしまったのです。
その頃全体的に要介護度が上がり、介護量が増えていたこともあり、ただ入力するだけの記録、振り返らない記録になっていきました。
そんな有益とは言えない記録であっても、入力のための人件費は時給換算するとそれなりにかかっていたので、もったいないなという気持ちもありました。
「帯に短し襷(たすき)に長し」というのか、里人さんの状態や場面が伝わる記録をしたいのに、現実的にそれができないことにジレンマを感じる日々でしたね。

導入前の課題と、ケアコラボへの期待感
― ケアコラボの導入を検討したきっかけを教えてください。
ただ入力するだけで振り返らない記録をなんとかしたいとしたいと考え、たまたまFacebookに流れてきた広告でケアコラボを知り、他施設の同僚にも共有しました。
詳しく調べると、スマホで気軽に記録でき、撮った写真も簡単に入れられるのも楽しそうで、すごくいいなと感じました。SNSが身近になり、文字だけでなく、写真で伝える/伝わるコミュニケーションの重要性は高まりましたから。
パソコンの前に張り付くのではなく、しっかりと里人さんに向き合い、目が行き届く介護が理想だったので、その意味でスマホから手軽に入力できるのは魅力でしたね。
ただ、当時ケアコラボには、日本ユニットケア推進センターの推奨する、里人さんの望む生活リズムや過ごし方を登録できる機能(現在の1dayシート)がなかったんです。
開発を進めていると聞いていたのですが、その機能が実装されないことには導入に踏み切れなかったので、もうすこし時期を見ようと考えました。
情報共有においても課題があると感じていました。「ただ入力するだけで振り返らない記録」はそもそも情報が足りていませんが、手書きで情報量の多い記録も、共有はうまくいっていなかったんです。
記録は、個別ケアの記録でありながら、全体的なデータとしての意味も持ちます。たとえば一か月の統計やバイタルの平常値のように、データをもとに情報分析をしたいと思っても、手書きでは情報が取りづらいのです。
「半年前に同じような症例があったな」というときも、わざわざ書庫に行って記録された紙を探し出さないといけません。
日本ユニットケア推進センターでは、個人の記録はご本人が入居しているユニットに集約して保管すべきだという考えを提唱しており、それを「記録の一覧化」と表現しています。
しかし、手書きの記録だと看護師や栄養士などユニットにいない職員は、そのユニットに行って記録や確認をしなくてはなりません。
施設内の移動もあって非効率ですし、抜け漏れや伝達不足も生じやすく、紙媒体の弱さが露見しました。
― 写真付きの記録についてはいかがでしたか?
前の記録ソフトでも写真は入れられたのですが、デジカメで撮った写真をパソコンに取り込んでフォルダに保存し、そこからアップロードする必要がありました。
面倒だし、時間もかかるので、あまり実用的とはいえなかったんですよね。
写真は、里人さんの表情のような文字だけでは表現しづらい情報も一目で伝わります。日々の何気ない瞬間やおでかけしたときの楽しそうな写真は、読み返したくなるし、ご家族にも共有したくなるものです。
そんな、みんなに喜んでもらえる写真を手軽に記録に入れられたら、と思っていました。
それ以外にも、たとえば里人さんに皮下出血が起こってしまったとき、写真を載せることで誰もが客観的に状態が把握でき、経過観察もしやすくなります。そうした活用方法をしたい気持ちもありました。
― 最終的にケアコラボを選ばれた決め手は何でしたか?
スマホから手軽に入力でき、撮った写真も簡単に入れられるケアコラボなら、私たちが理想とする「記録のあり方」が叶うと思いました。とても使いやすく、情報共有もしやすいし、紙のように保管場所も取りませんから。
あとは1dayシートさえできればすぐにでも使いたいと考えていました。同法人内の特養かすみの里が、開発のパイロットユーザーとして実証実験に協力していたこともあり、1dayシートの完成を待って導入に踏み切りました。

ケアコラボを導入してよかったこと
― ケアコラボを導入し、実際に1dayシートを使ってみていかがでしたか?
日本ユニットケア推進センターの考えにしたがって基本的なコンセプトは一通り網羅されていたので、これならまったく問題ないと感じました。
もちろん、以前の記録ソフトとは記載の仕方や見え方は違いますから、ケアコラボに慣れて使いこなしていくまでに多少時間はかかりましたが、今ではすっかりなじみました。
― スマホでの記録に関して、現場の職員さんはどのような反応でしたか?
スマホとパソコンのどちらでも入力できるようにしたのですが、日ごろ使いなれているスマホで入力できるようになったことを喜ぶ職員が多かったですね。スマホに関してはAndroidとiOSの両方の端末を用意したことで、使い勝手がいいという声が届いていました。
直感的に操作できるソフトだったので、若い世代の職員はもちろんのこと、年齢層を問わずすぐに使えることができました。
あと、うねめの里では、ケアコラボを導入する前に、「眠りSCAN」という見守り支援システムを採用するタイミングで全館にWi-Fiを完備していたんです。
新たな設備投資をすることなく、端末を増設してアカウントを作成するだけで済んだのも、導入のしやすさには一役買ってくれていたような気がします。

― 以前の記録ソフトと比較したときのコスト感はどうでしょうか?
具体的な金額はお伝えできませんが、だいぶ安くなったのは間違いありません。
以前の記録ソフトは、契約更新費用や保守契約に加えて使用するパソコンごとにライセンス料がかかっていたのですが、ケアコラボは職員ごとの課金で、自由に端末を増やせるのでアカウント管理が非常にしやすいです。
― ケアコラボに切り替えて、導入前の課題は解決されましたか?
スマホで手軽に入力できるのでパソコンの前に張り付かなくても済むようになり、里人さんに向き合えるようになりました。
ただ入力するだけの記録や、振り返らない記録から脱却でき、里人さんの状態や場面が伝わってくる記録になって満足しています。
特によかったのは、写真の撮影と共有が格段にしやすくなったことですね。日ごろ里人さんが楽しまれている様子をスマホでさりげなく撮って、そのままスムーズに共有できるので、自然と職員が写真を撮る機会も増えました。
面会時にご家族の方にスマホを見せながら「この日はこんな感じで楽しまれていましたよ」と伝えられるので、コミュニケーションのとり方が大きく変わったと思っています。
写真が1枚あると雰囲気がとてもよく伝わるので、そこは大きいですね。
写真がかなり増えたので、Instagram、X(旧Twitter)、FacebookといったSNSでの発信も活発になりました。SNSを通じて、里人さんやそのご家族、うねめの里にご興味を持ってくださっている方々との距離が近くなったのもよかったことの一つです。
― それ以外にも導入してみてよかった効果はありますか?
たくさんあります。まずはスマホで使えるので、外出先でも記録を確認できたり、申し送り機能を使ってすみやかに情報共有ができるようになりました。
担当者会議で「家ではこんな様子ですが、施設ではどうですか?」と聞かれたときにすぐに伝えることもできます。これは以前の記録ソフトでは絶対にできないことでした。
また、当法人の職員は、約340人のうち約80人が外国人労働者です。
一般的な記録システムは、言語ごとに専用パッケージを購入するか、外部の翻訳システムを介して入力をする仕組みになっていますよね。
でも、ケアコラボの場合は、ブラウザの拡張機能を使って、ネパール語やインドネシア語に変換できるので、外国人労働者が、日本語に加え母国語でどの端末でも簡単に確認できるようになりました。想像していなかった効果ではありますが、彼女たちが安心して働ける環境づくりに役立っています。
ペーパーレス化を推進できたこともよかったですね。紙媒体をなくしてケアコラボにすべての情報を集約できたので、「ケアコラボさえ見ればいい」という体制が整いました。
里人さんの記録や申し送り事項はもちろん、会議録や予定表、研修の報告書や申請書の共有にも使っています。
ケアコラボ内で完結せずとも、スプレッドシートのURLを貼り付けて共有すれば済むので、これからもクラウドサービスとケアコラボを組み合わせた活用をしていきたいです。

もっと「つながる」ケアを目指して
― 対話しながら一緒に機能を開発していく姿勢に関しては、どう感じていますか?
とてもありがたいと思っています。ケアコラボ社の皆様が「よりよいものにしていこう」と考えているのがよく伝わってくるので、こちらも何か気づいたことがあればすぐに伝えられるんです。
通所、入居、訪問、どの事業所でも、現場の職員が「里人さんにとってより便利かどうか」という視点で、さまざまな提案をしてくれます。
そういった提案をまとめてケアコラボ側にお伝えした後、きちんとフィードバックがあるのも助かっています。「担当に伝えます」だけで終わってしまう会社もありますからね。
もちろん、技術的な問題もあり、すべてが提案通り、要望通りになるわけではありません。そんなときも「この仕様にするためにはここがネックで」「ここまではできるんですけど」と相談してもらえるので、一緒に実現可能な方法を探していけます。
きっと、お互いに「より使いやすくしたい!」という強い気持ちがあるからでしょうね。
カスタマーサポートに関しても、すごく身近に感じられますし、チャット機能で気軽に質問や相談ができるので助かっています。
― これから導入を検討している方にメッセージをお願いします。
とにかく、一度使ってみてください。2ヶ月間の無料期間もありますから、実際に触って、その良さを体感してほしいと思います。
変な言い方かもしれませんが、最近「いつも記録がそこにある」「ケアコラボとともに仕事をしている」と感じることが多いんです。
かつては、「振り返らない記録は意味がない」と考えていました。でも、見返すもなにも、いつもそこに存在して、知りたいと思った瞬間にそれがすでに目の前にあるというか……。ケアコラボを起動している感覚がないんですよね。
今どき、スマホで記録や確認ができるソフトは珍しくありません。でも、ケアコラボはつい見たくなっちゃうんですよ。
感覚的なものだからうまく言葉にできないのですが、里人さんやご家族が、施設ともっとつながるための潤滑油のようなツールなのかなと思います。

― 今後の展望や期待を教えてください。
最近、ケアコラボは音声入力 x AIを使って自分用のメモを残せるようになったんですよね。AIがケア記録の煩雑さを解消し、多忙なケア現場をサポートしてくれるのはすごく面白いと感じるし、先端テクノロジーの有効活用は今後も増えていくのでしょう。
一方で、科学的介護の是非が問われるように、データや統計が必ず介護によい効果をもたらすとは言い切れません。介護ってもっと人間くさいものだし、ときにはボーっとする無駄な時間も尊いものだと思うんですよ。
だから、AIや先端テクノロジーを追いかけすぎるのではなく、これからもケアコラボらしさを大切に、ユーザーと対話しながらどうしていくのがよいかを探っていってほしいです。
References
↑1 | 社会福祉法人永甲会では、ご利用者さん・入居者さんに親しみを込めて”里人さん”とお呼びしています。 |
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