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個別ケアの向上を目指す1dayシートの活用【前編】時間軸を意識したケアの実践

古畑 佑奈 古畑 佑奈

※この記事は2023年1月23日に更新されました

ケアコラボの機能の一つである「1dayシート」。
1dayシートでは、ご利用者の望む暮らしや日々のルーティンを、24時間軸で入力することができます。
ご利用者の生活リズムを共有することができたり、リズムの変動や身体状況の変化にいち早く気づくことができたりします。

ケアコラボを導入いただいている社会福祉法人永甲会さんは、この1dayシートを活用し、個別ケアの実践に役立てられています。
その具体的な活用方法について、お話を伺ってきました。

1dayシートを活用したいとお考えの法人さまや、個別ケアのポイントや具体例を知りたい方に、この記事が届けば幸いです。

社会福祉法人永甲会ご担当者野呂さんのお写真

社会福祉法人永甲会

三重県四日市市にて、地域の高齢者福祉、障がい者福祉、児童福祉のトータルサポートを目指し、幅広く事業を展開。
ケアコラボは特別養護老人ホーム「かすみの里」「うねめの里」にて利用中。

施設長補佐 兼 施設介護支援専門員
野呂 高宏様

ユニットケアの一環としてはじめた1dayシート

ー野呂さんの普段の業務と、施設について教えてください。

特別養護老人ホームうねめの里の施設長補佐として、人材育成、運営経営といった施設長のトータルサポートをしています。施設介護支援専門員を兼務しており、ケアマネジメント業務もしています。

うねめの里は、日本ユニットケア推進センターが実施しているユニットリーダー研修の研修施設として2006年の後期から認可を受けています。2005年4月1日に特養が開設されたのですが、その翌年からユニットケアの推進に携わっています。ユニットケアの取り組みの1つとして24時間シートというものを使っていたので、その内容を踏まえた1dayシートに移行し、現在も使用しています。

ーケアコラボを導入されたのはどのような経緯でしたか?

元々永甲会では、介護記録に他のシステムを使っていました。

ケアコラボは、記録のあり方や申し送りに要する時間について、合理化や簡略化を考えたときに魅力を感じました。私がケアコラボに興味を持ったのは1dayシートが実装される前で、実際にコンタクトを取る中で『1dayシート』と名称をつけて開発にチャレンジいただいたので、これはもうお願いしようと決めました。

視覚的にFacebookLINEに似た感覚で入力出来て、写真や動画もシェア出来るというのがおもしろいですし、直感的に使ってみたいと思ったのが1番の理由です。

うねめの里でのケアコラボ会議の様子
うねめの里 ケアコラボ会議の様子

ー具体的に、1dayシートの作成の流れについて聞かせてください。

まずはアセスメントについて、アセスメントシートも様々ありますが、我々の施設がある四日市市では、四日市モデルという生活チェックシートがあります。市内の介護事業所並びに医療機関と情報のやりとりをする時に、必要な情報が網羅してあるので便利です。

ところがその生活チェックシートは、ケア行為ごとのアセスメントシートになっています。

四日市モデルのアセスメントシート
三重県四日市市 四日市モデル「生活チェックシート」

排泄は自立か、一部介助か、全介助か? 食事は自立か、一部介助か、全介助か、などです。基本的な個人情報、生活環境、介護保険、年金や既往現病について、身体状況、今の困難さなどを聞き取れたとしても、このシートでは時間帯による違いが見えてこないのです。

よく出す例で「何食べたい?」と聞いたら「カレーライス」と答えた。だからといって3食カレーライスが食べたい訳ではないですよね、きっと。それがイチローみたいに毎朝食べたいってことであれば固定化が大事だと思いますし、そうでなくても1dayシートなら本人の好みや思いを把握しやすく、個別ケアに役立てやすいです。

リウマチの方の移動移乗の動作も、時間帯によって変わります。ピンポイントでその時間だけを見てしまうと、タイミングによっては ”出来ない” という評価になりますが、朝は出来ない、昼は一部介助、夜は自分で動ける、というケースもあります。要は、時間の軸を意識したアセスメントが出来るようになる、というのがこの1dayシートの特徴的なところだと思います。

さらに、リウマチの方が夜に転倒することがあったとき、原因を分析した結果、雨が降っているからだ、と分かったことがあります。そうなると、「夜は普段大丈夫だけど、雨の日は気をつけようね」 という時間軸+αを意識したアセスメントが出来ます。

今、1dayシートの活用に悩まれている事業所もそうかもしれませんが、自分たちは入居者さんのことを分かっている、と思っているんですよね。

でも、実際1dayシートを書いてみると、分かっていないことが多い。情報の偏りであったり、聞けていない部分が空白として見えやすいので、経過を見ながら確認していこうという意識になります。

ー経過を見ていくのはどれくらいのペースですか?

新入居の方は、1ヵ月程度です。ケアプランと1dayシートは連動するように作成しているので、入居時に1ヵ月の暫定で出したケアプランと合わせて1dayシートも修正して、再交付する形にしています。

それ以外の方は、毎月のユニット会議で、当該ユニットの全入居者の方のケアを振り返っています。各ユニットにiPadが配布されたのでそれを会議の場に持ち込んで、ケアコラボを確認しながら、例えばタイムラインに記録するときに特に気になる項目には星印や※をつけて、検索ワードとして抽出する仕組みを決めているユニットもあります。

ケア内容などは、実情に応じてその場で編集することもあります。1dayシートの取り組みが続くか、続かないかは結局、この更新作業をやれるかどうかだと思います。ケアプランの更新に合わせて、3ヵ月なり、半年なりで必ず見返すことを、仕組化できているかどうかです。

そこで見返すことをしなければ、実情に合わない1dayシートになるので結局使えないんです。1dayシートの内容が記録に反映出来るので、実情に合った内容に変えた方が楽、という考え方も出来ます。

1つ1つのケアを書き起こすことで意識できる

ー仕組化出来るかどうかが鍵なのですね。

1dayシートの時間軸の目安に対して実際のケアを記録することは、モニタリングに繋がるところがあります。

入居してから1ヵ月で、1dayシートに書かれている目安の時間と、実際のケアの時間が大きくずれてきます。そのずれてくる時間を統計的に取っていくことによって、当初の見立てとのずれが見えてくる。それがその人にとっていいずれなのか、悪いずれなのかを見極めます。

当初7時くらいに起きたいと言ってたから目覚めの支援をしていたけれど、実際は7時半とか8時の支援が増えている、なんでだろうと考えて、眠たそうにしていると食事量に影響があるから時間軸を変えてみようか、本人にも確認してみよう、と再アセスメントしていく。

職員の都合で致し方なくという場合もあるので、そのようなときは施設の現状を入居者さんにご理解いただくこともあります。

ー1dayシートを具体的にはどのように使われていますか?

1dayシートには、1つ目に意向・好み、2つ目に自分でできること、3つ目にサポート時の留意事項と、3つの項目があります。1日のおおよその暮らしぶりを理解、把握するためと、今まで職種ごとに把握していた情報を一元化処理し、一ヵ所に集約し共有しています。

職員指導や、勤務表を作成する際の目安、支援のときの優先順位付けに使うこともあります。

【みんなのリズム】の項目を見ると、おやつのタイミングやトイレのタイミングの目安が分かるため、どちらを優先的に支援させていただく必要があるか、またどれくらいお待ちいただくことになるかの時間をお伝えもしやすいと思っています。

実際は、毎日里人さん[1]特別養護老人ホームうねめの里では、入居者さんに親しみを込めて”里人さん”とお呼びしています。 に接している介護職員の頭の中にはみんなのリズムが記憶されていて、同時に2人のナースコールがなればどちらを優先すべきか、いちいち記録を確認するという作業はありません。

暮らしの中でルーティンになっていることがあるのも事実で、ToDoリストと類する表現ですが、担当者がご利用者さんのケアを自分で書き起こすことで、1つ1つのケアを意識して、情報を積み重ねることに大きな作用があります

ケアコラボのみんなのリズム機能の画像
うねめの里 みんなのリズム

一番心地いいタイミングを把握する

ー職員の方々への教育はどのようにされていますか?

開設当初から時間軸を踏まえた個別ケアを大事にしていこうという考えで、入社のときにユニットケア研修としてユニットケアとは、とか1dayシートとは、という話をしています。

私たちの法人理念の1番に「里人さんの立場になって考える」ということを掲げています。

今のケアを里人さんの立場になって考えたとき、流れ作業的に本人が好まない時間帯にケア行為をすることで満足感が得られるのか、清潔が保たれるのか、心地よさが得られるのか。そう問いかけることをしています。一番心地いいタイミングがいつなのかが把握出来るのが、1dayシートではないかなと思います。

ー個別ケアのポイントはどういったところでしょうか。

その時の平均要介護度も含めた介護量を踏まえ、時間をどう作るか” でしょうか。

ユニットケアは誤解されやすいのですが、”ユニットケアだからみんなバラバラの時間じゃないといけない” という訳ではありません。入居者さんの中には、毎朝社員食堂でご飯を食べていたからみんなと一緒にいただきますしたい、という人もいるかもしれない。柔軟に対応出来るのが理想ですね。

現実的には、例えば入浴であれば、午前・午後を選んでいただける状態とはいえ、毎回希望を聞いているわけではないのが現状です。おおよその希望、例えば午後で早めで、というのを1dayシートで把握して対応しています。

ーご家族への説明はどうされていますか?

三重県の特徴として、ケアプランの第3表、週間計画は1dayシート(厳密には24時間シート)で置き換えてよいと言われています。そのため、ケアプランに合わせてご家族へも提示し説明しています。自治体によって対応に差があるため、導入時は難しさがあると聞いていますが、徐々に環境が整ってきた感じはします。

ー現場で活用しているイメージがつきました。ありがとうございます。

個別ケアの向上を目指す1dayシート活用【後編】本人の思いを形にする取り組み

後編では、1dayシート活用を踏まえ、個別ケアの本質的な考えについて伺っていきます。
ぜひお読みください。

References

References
1 特別養護老人ホームうねめの里では、入居者さんに親しみを込めて”里人さん”とお呼びしています。
古畑 佑奈

古畑 佑奈

2011年、社会福祉法人へ入職し、特養の生活相談員や訪問介護員、介護職員のマネジメントを経験。ケアコラボは開発当初からユーザーであり、「人」が中心の介護記録に共感し多くの人に知ってほしいと思っている。2020年より介護系ライターとしての活動を開始。社会福祉士・介護支援専門員。

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