ご利用者を軸に記録が集まる「生きた記録」へ。日中・夜間の情報共有が変えた支援のカタチ
- パソコンでしか使えないソフトで記録
- 記録係を決めて日々の記録を入力
- 複数サービスを利用する方の記録が日誌ごとに分散
- スマホを活用していつでもどこでも記録
- パート職も含めた全員が記録業務に参加
- 利用する事業所に関わらずタイムラインにすべての情報を集約
法人の成長と共に発生した情報共有の課題
― まずは明徳会さんについて教えてください。
社会福祉法人明徳会は熊本市北部にて障害福祉に特化した支援を続けてきました。2003年に創設し、「チャレンジめいとくの里」にて施設入所支援、生活介護から開始しました。その後、就労支援、生活訓練、B型、放デイ、グループホームや相談事業所などへと対象を広げ、現在は小学校1年生から70代後半の方までご利用いただいています。
創設時は30人ほどだった職員も、今は約140名に。「100人100通りの働き方を」という目標を掲げてより働きやすい環境づくりに力を入れています。
ケアコラボは放デイ、相談事業所以外のすべての事業所で利用しています。
― ケアコラボ導入前の記録方法について教えてください。
法人の設立当初からオンプレミス型の記録ソフトを利用していました。当時はまだ電子化そのものが新しい時代で、「記録はこのソフトで行うもの」という認識が出来上がって、長年が経過していました。
― 以前のソフトで何か問題があったのでしょうか?
かなり前のことで選定の経緯は分からないのですが、障害福祉に特化したソフトなのでそれなりに使いやすく、法制度に合わせたアップデートも行われていて、しっかりしたソフトだという印象を持っていました。
設立当初は提供サービスが少なく、特に大きな問題はありませんでした。しかし、法人が成長するにつれて複数サービスを併用するご利用者が増え、職員も複数事業所を兼務するようになりました。
すると、ひとりのご利用者に関する情報がバラバラになってしまい、前のソフトでは十分に共有できなくなっていきました。特に日中と夜間の事業所での情報共有に関する課題が明確になってきました。
― どのようなことが起こったのでしょうか?
日中と夜間で2つの事業所を併用されるご利用者の方に統一された適切な支援を行うためには、事業所間で情報共有することが非常に重要です。
例えば夜間で情緒が乱れてるケースがあったとして、「日中に何かあったのかな?」と疑問が生まれます。もしサービスの利用開始前に情報が共有されていれば、何らかの対処を取ることができますが、日誌だと情報共有が追いつきませんでした。
また前のソフトは、。一つの業務日誌を同時に入力・編集ができなかったため、記録の入力待ちをしないといけなかったとうことも。距離が離れた事業所を併用される場合だとこの課題が顕著になり、どうにかできないかと思い始めました。
― 他にも何か課題はありましたでしょうか?
パソコンでしか利用できなかったため、記録する際に毎回現場を離れて記録のために支援室に行く必要がありました。特に入所施設は移動が多く、時間がかかっていました。
― 利用できる端末が限られていると、記録を見るのもたいへんそうですね。
はい、なので記録をパソコンから見ることは少なく、紙に印刷した日誌を作成していました。綴じられた日誌を一冊ずつ読んでいくのが出勤後の日課でしたが、これだけでかなりの時間がかかっていました。
写真添付も可能でしたが、デジカメで撮った写真を一度パソコンに取り込んでから記録に添付するので、なかなか日常的に活用できませんでした。
― 記録の入力についてはいかがでしょうか?
ちょうどケアコラボの導入直前に「重度障害者支援加算」が新設され、記録すべきことが大幅に増えました。加算を取得するにあたって「支援者が指示通りの支援をしたかどうか」記録しないといけないのですが、単純に記録の負担が倍増しました。これまでは支援の記録を残すだけで済んだのですが、加算のための記録も増えた感覚です。
使える端末が少なかったこともあって、正職員の中から当日の係を決めて記録していたのですが、これだと業務が回らないという考えに。どうにかしてパート職も含めた全員で記録をする方法がないかなと模索を始めました。

見学を通じて得た成功のイメージ
― ケアコラボを知ったきっかけを教えてください。
2023年末に開催された九州地区障がい者相談支援事業連絡協議会 長崎大会に参加した職員が、ケアコラボの情報を持ち帰ってきました。理事長も先ほどの課題を強く認識していたため、すぐに導入を決定しました。特にスマホで利用可能、ご家族にも記録を共有できるというところに魅力を感じたそうです。
パート職員は主婦の方が多く、パソコンを使い慣れていない方もいらっしゃいます。 ですから、わざわざパソコンを覚え直す必要がなく、使い慣れた「スマホだけで完結する」という点は、導入の大きな決め手になりました。
パソコンでしか記録ができないソフトを使って全員が記録するというのは、あまりにもハードルが高いですからね。
― 2024年の2月に無料体験にお申し込みいただきました。決断が早かったですね。
法人としての課題が明確でしたし、導入するという方針が決まっていたおかげですね。「まずは試してみよう」と思い、すぐに無料体験を依頼しました。
一応他のソフトも聞いてみましたが、スマホよりもタブレットがメインだと感じたので、スマホで利用しやすいケアコラボに決定しました。
― 操作してみた第一印象はいかがでしょうか?
率直に「記録しやすい」と感じました。スマホで直感的に操作できるので、職員に「LINEと同じだよ」と伝えられることがよかったです。iPhoneでもAndroidでも使えるのもよかった点ですね。説明書を見なくても使えるiPhoneなら、端末の操作方法の説明の手間を省けますし、使っている方も多いからです。
あとはクラウドサービスなので、ネットにさえつながっていればどこでも使えるのがいいなと思いました。今までも外出先で記録を打ったり見たりしたいと思うことが何度もありましたので。
― 無料体験後すぐに近隣の利用法人、南高愛隣会さんへご見学に行かれましたよね。元々お知り合いだったのでしょうか?
いえ、全く関係性がありませんでした。ケアコラボの導入事例ページに載っていた法人さんで最も近かったのでこちらからコンタクトを取りました。
複数事業を運営されている点、日中と夜間の記録の共有に課題を感じていた点など、当法人が参考にできる部分が多いというのもありました。
見学を通して議論も活発になり、「導入に向けて何を準備すべきか」が一気に明確になりました。
― 見学に行かれて実際に現場でケアコラボを使っている様子を見て感じたことはありますか?
もう「すごいなぁ」という言葉しか出てきませんでした。聞くところによるとケアコラボは2016年から導入していて10年近く利用しているそうで、本当に使いこなしているんだなという感じでしたね。
記録は基本的にご家族に共有されていましたし、他にも支援計画もケアコラボで作成されていました。
「ここまで浸透すれば自分たちもこうなれる」というイメージが付きましたし、現在のソフトと比べてどれだけ業務の効率化ができるかはっきりしました。

スモールスタートによるスムーズな記録の切り替え
― 見学に行かれた1ヶ月後にはケアコラボに導入の相談をいただきましたね。かなりご準備が進んでいた印象があるのですが、導入時のお話をお聞かせください。
全事業所で一斉にスタートするのは現実的ではないと判断し、まずはサービスの併用が少ない就労系の事業所からスモールスタートしました。併用が少ないだけでなく、シフト制ではないため固定メンバーで利用できることも大きかったです。いろんな意見が出ても集約がしやすいですし、使い方が統一しやすいと考えました。たまたまではありますが、ITに強いサービス管理責任者がいたこともあります。
最初に端末を10台購入し、そこで得たフィードバックを全体導入に活かしました。
― はじめの事業所ではどのような反応がありましたか?
最初は「やり方が分からない」という声が出てきましたね。ただ記録に限らず新しいことに取り組む際の自然な反応だと考えていたので、地道に人海戦術で説明するしかないと覚悟していました。
支援から離れて30分ほど個別説明の時間を取り、まずは一緒にログインまで。ログインしてみると「案外かんたんですね」「LINEと変わらないですね」という声ばかりでした。
― 他にも導入にあたって工夫された点はありますか?
まずは記録がしやすいバイタルの食事量の入力からはじめました。記録は内容や文言を考える必要がありますが、食事量であれば選択肢から選ぶだけで完了します。それでも最初の方は何回もお昼ごはんを食べたことになってる方もいましたが、操作していくうちにすぐに慣れましたね。
切り替える瞬間は産みの苦しみと言いますか、たいへんになることは想定済みでしたし、そこを乗り越えれば確実に前のソフトよりもよくなることも分かっていました。
併用が少ない事業所で始めたことも功を奏し、記録の切り離しがしやすかったですね。どこでつまずくかが見えたことで、他事業所への展開もスムーズになりました。

全員が記録することで記録が「生きたもの」へ
― 今までは正職員の記録係が記録していたと伺いましたが、ケアコラボの導入で記録する人は増えたのでしょうか?
はい。スマホを配付したことで、全員が記録を書くようになりました。ただ、これまで記録を書く機会が少なかったパート職員などは、書き方に迷う場面もありましたね。
最初は個性豊かな記録にあふれてたのですが、数ヶ月すれば書き方が統一されてきました。今後ご家族に記録を共有するという方針があったので、ですます調など統一もしやすかったですね。
― 課題だった外出先での記録に関しては解消できましたか?
通院時にたいへん役立っており、業務の仕方が大きく変わりました。これまでは医師からの話を聞いてメモして病院から戻って転記する必要がありました。
今ではキーボード付きのタブレットを医務のスタッフに配付しているため、待合室で記録まで終わらせることができて時間短縮につながりましたね。
それだけでなく、普段の記録をその場で医師に見せることができるので、より詳細な情報を伝えることで診察にも役立っていると思います。
スマホで撮った写真をすぐに記録に添付できる点も便利です。外出先の様子を伝えるには写真が一番詳細に情報が伝わります。写真があれば、文章だけでは伝わりにくい「表情」まで共有できます。 商品名だけではピンとこないおやつなども、写真を見れば形状などのご利用者の嗜好といった情報も一目瞭然ですから、情報の解像度が格段に上がりました。
当法人ではブログの更新にも力を入れているのですが、ケアコラボ用にスマホを購入したおかげで外出先でブログまで書けるようになりました。
― 写真付きの記録を活用いただいているのですね。
写真があるおかげで状況が伝わりやすいケースはたくさんあります。例えば発作が起きて転倒をされて怪我してしまった時に、直後の状況を写真で撮影しておけばすぐに詳細を伝えられます。
また記録に対してコメントができるので経過を追いやすく、その際も写真があるとより分かりやすくなります。
特にグループホームなどは医務室と物理的な距離があるため、写真を見せることで移動の手間と時間を減らしてアドバイスをもらうことができます。
― ケアコラボが業務効率化の役に立っていてたいへん嬉しく思います。他にも時間短縮につながった部分はありますか?
前のソフトは記録者を毎回選択する必要がありましたが、ケアコラボはログイン中の職員名が自動で記入されます。時間がかかっていた作業なので、業務の効率化につながっていますね。
今までは記録から何かを作るという作業がとても多く、先ほどお話した日誌もそうですね。他にもアセスメントのために記録を1ヶ月ごとにまとめる作業も。特に月末にはこういったモニタリングに伴う作業が多く発生していたのですが、それがまるっとなくなったおかげで支援に時間を割くことができるようになりました。
ケアコラボは利用したサービスに関わらずご利用者を軸に情報が集まり、そして期間を指定して絞り込むこともできるため、モニタリングなど定期的な業務にも活用しています。日中や夜間どころか、違う事業所を利用していてもご利用者のページにいけばすべてが揃っているので「生きた記録」になりました。
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サービスの併用に対する支援の変化
― 利用サービスを問わずにご利用者軸で記録が集まるようになったことで支援に変化はありましたか?
記録したものが瞬時に共有されるため、間違いなく支援に対してプラスに働いていると言えます。
これまでは口頭で聞くか、日誌を読むまで状況が分かりませんでしたが、事前に情報収集できることで接し方が変わりました。
情緒が乱れている場合はおそらく前の事業所を利用している時に何かあったと推測できますし、その時の記録を見れば対策を考えられます。記録を元にこういった声かけをした方がいいかな?と考えられますし、その日のうちに対応できるようになったのは大きな変化ですね。特に強度行動障害の方に対する接し方が変わったように感じます。
― どういったことでしょうか?
例えば食事の介助でも、対応する職員によって「食べてくれる時」と「そうでない時」の差があることに気づいたんです。「嫌いなものを除けば食べれました」「提供の仕方を変えれば完食できました」といったことが写真や動画付きで記録されているのです。現場の工夫が、写真や動画付きで残されていることで職員全体の対応力が上がり、支援も統一されました。
他にも夜勤の段階で「日中は興奮状態だった」という記録を見て、今夜は集合スペースではなくプライベートな空間で過ごしてもらおうと支援の方針を変えたことがありました。
おそらく帰省が近かったこともあって興奮されていたようですが、方針を変えたおかげで他害行為もなく落ち着いて過ごしていただくことができました。

― 記録する職員が増えたことでどんな変化が生まれましたか?
パート職の方が見ていた「小さな気づき」がすべて記録として残るようになりました。
ちょっとした変化や、こういったことが喜ばれたという記録もすべてケアコラボに入力してくれるようになりました。これまでは遠慮して言えなかった部分もすべて記録に残るようになり、ケアコラボをさらに活用できれば多くの目線からご利用者の記録を残せ、より良い支援につながると思っています。
モニタリングにも活用できていますし、記録量が増えたことは確実にいい支援につながっています。
― 支援計画の作成には変化がありましたか?
これまでは支援計画が別の場所で管理されていたので作成直後しか見られなかったのですが、ケアコラボであればいつでも確認することができます。
支援計画を元に1dayシートを作成していることもあって、誰でも記録を残しやすいのはケアコラボのメリットの一つですね。1dayシートとはご利用者の支援してほしいことを入力でき、それをベースに記録ができる機能です。支援に際して注意してほしいことや本人ができることも記載できるのがすごく好きなポイントですね。
「ただ単に記録をする」ではなく、支援計画や本人の様子を通じて支援、そして記録をするという意識が芽生え、これも「生きた記録」に貢献している部分だと思います。
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― ケアコラボ社のサポートや開発姿勢についてのご評価はいかがでしょうか?
使い始めて2年ほどですが、アップデートが頻繁で一緒に成長している感じがします。先日も新たに就労選択支援というサービスが開始され、選択肢に追加をお願いしたのですが、翌週にはもう実装されていました。こういったレスポンスの速さは以前のソフトでは感じることができませんでしたね。
他にもラボカフェなどユーザー同士の交流会があり、情報交換できるのもたいへん勉強になっています。こういった面でも発見が多いサービスだと思っていますね。
切り替え時期はたいへん。乗り越える覚悟が重要
― 導入を検討する方へアドバイスをお願いします。
切り替えの時期はたしかにたいへんです。使い方の説明にも時間がかかります。ただ、それを避けるとよりよい未来が後ろに回ってしまいます。この時期さえ乗り越えれば職員の負担を減らしながら支援の質を向上させることができるので、「ケアコラボに切り替える」という覚悟を決めることが重要だと思います。
新しいことに取り組めば反対意見は必ず出るものですが、ご利用者のため、そして職員のためにやることだと伝われば理解してもらえるはずです。
また当法人では導入時にICT補助金を使えたので、端末の購入費用を抑えることができました。パソコンに移動する時間、記録をまとめ直す時間など明確に削減できる部分があったので申請もしやすかったですし、活用できる補助金があるか相談してみるのも大事です。
― 今後のケアコラボを使っていく展望や期待があれば教えてください。
まずはご家族への記録の共有に取り組みたいですね。あとは事業所間で使い方の統一ができていない部分もあるので、うまく統一できればもっとよくなると思います。
ケアコラボ社は伝えた意見を元にしっかり改善をしてくれて、私たちの声が届いている感じがします。これからも現場の声が届くサービスであってほしいなと願っています。

