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生産性向上推進体制加算、7割が申請予定・検討中…けれど条件が厳しい!ーユーザーアンケート結果

赤沼 紗織 赤沼 紗織

こんにちは、ケアコラボ株式会社です。
2024年4月の介護報酬改定において新設された「生産性向上推進体制加算」。主に様々なICTを用いて、ケアの現場の生産性を上げよう!という加算ですが、正直どのような意見があるのだろうか…。
今回は、この「生産性向上推進体制加算」について、ケアコラボユーザーの皆様の検討状況や、この加算についての意見などをアンケート調査してみました。

調査結果からわかったこと

  • 「生産性向上推進体制加算」において、申請する・検討中のユーザーが7割を占める
  • この加算について、将来的に必要となってくるという視点も多くある
  • 申請することを決めているユーザーでも、条件のものが不必要だと感じるものがある
  • 「申請しない」理由は、かえって手間がかかってしまうからである
  • 不必要なツールを入れることや手間の割に加算数が少ないという意見が多い

申請する・申請を検討しているユーザーさんが7割

ケアコラボユーザー(介護分野でご利用の方々)に、【生産性向上推進体制加算が2024年の介護報酬改定で新設されました。現時点での方向性を教えてください】と質問したところ、「10単位を申請する」「100単位を申請する」「現在申請を検討している」との回答が合計70.8%を占めました

※N=24

この加算は「将来必要になってくるもの」である…!

「10単位を申請する」「100単位を申請する」「現在申請を検討している」を回答された方々のみに、【申請する理由は以下のどれにあてはまりますか?(複数回答制)】と質問したところ、「すでに申請できる体制が整っているため」が最も多く、次点で「将来的に必要になる加算と考えているため」という回答が多くありました

※N=16

ICT化を進めて環境が整っている事業所が増加してきたことが分かります。また、将来的にこの加算は基本報酬に組み込まれるのでは?というご意見もいただきました。
LIFEやケアプランデータ連携システム、医療介護データ連携などが出てきている中、”データをもとにアクションを起こす”ということが現場に求められています。その流れもあり、このような結果になったのかもしれません。

前向きに検討はしているが、条件が厳しい

「10単位を申請する」「100単位を申請する」「現在申請を検討している」を回答された方々のみに、【以下の中で、申請するにあたり整備や情報収集が大変だと感じるものはありますか?(複数回答制)】と質問したところ、「生産性向上の取組に関する実績データ報告」、次に「見守りセンサー全居室設置」が整備等大変であるとの結果になりました。

※N=16

選択肢を、今回の「生産性向上推進体制加算」の申請条件にあてはまるものに設定して質問を行った結果、「どれも大変だと思わない」が0票であり、加算について申請する・前向きに検討すると決まっているものの、条件を満たすことがそう簡単ではない、という状況がわかりました。

作業量や条件を考えるとそう簡単に踏み出せない

次に、検討状況の質問にて「申請しない」と回答された方々へ、【申請しない理由は以下のどれにあてはまりますか?(複数回答制)】と質問したところ、半数の回答者が「かえって作業量が増えてしまうため」と回答しました

※N=8

また次点で「申請条件を整えるのが難しいため」とあり、ここでも条件のハードルが高いことが分かります。この加算のためだけに動き、結果作業量が増えてしまえば本末転倒とも言えます。

整備することも継続することも多い

次に、「申請はしない」を回答された方々に、【以下のどの部分が緩和されたら申請をされますか?または申請を検討されますか?(複数回答制)】と質問したところ、「見守りセンサー全居室設置」「委員会の設置や開催頻度」が多くを占めました

※N=8

見守り機器は整備するためにまず機器の選定もありますし、この加算の条件を満たすには”全居室”に見守り機器を設置しなくてはなりません。本来そのような見守り機器が必要のないご利用者もいらっしゃると思いますし、何より初期費も維持費もかかります

また、委員会の実施についても、定期的に開催し、生産性向上ガイドラインに基づいた改善行動を継続的に行っている必要があります。他にも虐待防止委員会等がある中で、新しく委員会の時間を割くことに苦慮する事業所もあるのでは?と感じます。

申請予定の事業所からも厳しい声。この加算への率直な意見は?

全回答者に自由記載にて、【生産性向上推進体制加算について、「考えていること」「感じたこと」】を伺ったところ、申請を決めている事業所からも、そうでない事業所からも厳しい意見が寄せられました。

申請をする・申請を検討している方々からのご意見

ICT機器を導入すれば消耗品として交換等も発生してくる。そういうものに対する加算ではなく報酬の上乗せ、加算であれば要件の緩和をして欲しい。維持、継続していくことを考えて欲しい。

既に導入しているものが多いが、インカムなど必要性がないものを導入しないととれないというのはいかがなものかと思う

100の加算を取りたいです。100単位も大きいですが、センサー類にかかる費用も大きいので投資を回収するには長い期間がかかります。それでも労働環境を改善するには取り入れたいです。

少しでもICTの足しになればとは思うが加算の点数が低くやることと割に合わないことが多い。大規模施設でもない限り、入所施設以外では100単位の算定は難しいように思う。

生産性向上の取組に関する実績データ報告はそもそもどこにするのか

算定のための条件クリアがやはりハードル高い

生産性向上推進体制加算については承知しているが、具体的に必要な条件(取り組み)が正直、良く分からない点が多い

現在のデータ提出用の報告様式や特に利用者・職員に対する調査票について、あまり実際の意見が反映されにくい質問形式になっているように感じられる。かといって代替となる質問表も難しいと感じるので、現状としてはこれを用いなければならないかとも感じる。

(Ⅰ)と(Ⅱ)の差が激しいですが(Ⅱ)はケアコラボだけで申請して既に6月から算定可能になりました

申請はしない方々からのご意見

タイムスタディー調査など、手間の割には加算単位が低い為、当法人で算定予定はありません。

人員不足が危惧されている中でこのように全居室へのセンサー機器などの設置とすることでも対応できるようにしていく方針は理解できますが、不必要な方へ機器を設置したところで意味がなかったり、センサーに頼りきりになってしまうことも想定されると思います。
インフラの整備にも経費はかかると思いますし、加算算定における見返りを考えた時に割合に合わないと考える法人もあるのではと感じます。

この加算にかかわらず、加算を取るための作業が負担。加算を増やすのではなく基本報酬を上げるべきだと考える。生産性をあげる目的はマンパワーの補助的機能だと感じるが、その「人」がやり甲斐を感じたり、楽しんで仕事ができるようにしていかないと担い手は減る一方。こんな加算を取るための作業時間にやりたい事がたくさんある。ましてや、加算の単位数の少ない事がやりたくない気持ちに拍車をかけている。

生産性向上ガイドライン等の具体的な対策が分からない

申請すると決めている事業所からも、必要のない整備をすることに対する意見や、維持費に対する意見、条件をクリアしても「作業量に対して単位が割に合わない」という厳しい意見が寄せられました。
また、「改善をしたというデータを提出するとあるが、具体的にどこにどのような内容を提出するのか?」が不明確なこともあるようです。

また10単位の(Ⅱ)では、ICT導入のうち1つ満たせば良いため、ケアコラボで実際に算定可能となったユーザーさんもいらっしゃいました!

まだ新設されたばかりの加算ですが、これからどのように条件が変わってくるのか?緩和されるのか?など、気になる点が多くある加算です。
今後も注目していきたいと思います。

これからもこのようなユーザーアンケートなどを実施し、ユーザーの皆様の声を集計・分析して発信していきたいと考えております。
今回のアンケート結果(簡易版)は以下からダウンロードできます。ご活用いただけると幸いです。


調査実施概要

1.対象者
 ケアコラボユーザーのうち、介護分野でサービス提供を行なっている方
 かつ、生産性向上推進体制加算の検討に関わっている方
2.調査実施者
 ケアコラボ株式会社
3.調査方法
 Googleフォームを用いたインターネットリサーチ
4.調査実施期間
 令和6年6月6日〜令和6年6月28日
5.調査結果回収状況
 回答数:26件 うち有効回答数:24件 有効回答率:92.3%
6.回答者の主要提供サービス

今回アンケートにご協力いただいた皆様、ありがとうございました!

赤沼 紗織

赤沼 紗織

2008年、コンサルティングファームに入社しITコンサルタントとして従事。転職後、仕事をしながら専門学校に通い、2013年に社会福祉士国家試験合格。以来約7年間医療機関や介護施設にてソーシャルワーカーとして従事。現場経験を活かしたお客様サポートを期待され、2020年よりケアコラボ社に入社。

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