2026年6月19日に成立し、6月25日に公布された「社会福祉法等の一部を改正する法律」(令和8年法律第51号)。介護保険法などをまとめて改正するこの法律は、施行期日がいくつにも分かれています。しかも、すでに始まっているものもあります。
厚生労働省は公布と同日付で、介護保険最新情報Vol.1518を発出しました。この記事では、その通知の内容をもとに、施行期日を5つに整理したうえで、事業所として何を押さえておくべきかをまとめます。
この記事の3つのポイント
- 改正法の原則施行日は2027年4月1日。ただし、施行期日は5つの時期に分かれている
- ケアマネジャーの更新制廃止は「2027年4月から」ではなく、公布から1年6か月以内の政令で定める日(2027年12月まで)
- 有料老人ホームの登録制は「住宅型」だけの話ではない。改正後は、特定施設の定義そのものが登録有料老人ホームと結びつく
1. そもそも、どんな法律なのか
今回の改正法は、社会福祉法・介護保険法・老人福祉法・障害者総合支援法・児童福祉法など9本の法律をまとめて改正する「束ね法」です。
介護分野だけを見ても、介護支援専門員の資格制度、有料老人ホームの規制、ケアマネジメントの新類型、中山間地域のサービス提供体制と、内容は多岐にわたります。これだけの内容を一度に施行することは現実的ではありません。
だからこそ、施行期日が分かれています。
2. 施行日は5つに分かれます
改正法の附則第1条は、原則の施行日を令和9年(2027年)4月1日としたうえで、項目ごとに別の施行日を定めています。整理すると次のとおりです。

このほか、同日から次の項目も施行されます。
- 介護保険事業計画における中長期の推計の義務化
- 生産性の向上に関する国および都道府県の責務、協議会の設置
- 社会福祉法関係の改正(重層的支援体制整備事業、権利擁護、災害時の福祉業務従事者の登録 ほか)
このうち協議会の設置は、都道府県ごとに動きが出てくる部分です。地域の状況を把握しておく材料になります。
3.【すでに施行】介護福祉士養成施設の卒業者に関する経過措置
公布の日から施行されている項目のうち、事業所にとって実務上の影響が大きいのが、介護福祉士養成施設等の卒業者に関する経過措置です。
これまで、養成施設等を卒業した人には、卒業年度の翌年度4月1日から5年間、介護福祉士となる資格が与えられる暫定的な措置が設けられていました。この対象が、平成29年度から令和8年度までの卒業者とされていたところ、今回の改正で令和13年度までの卒業者へと延長されました。
一方で、5年間継続して介護等の業務に従事した場合に、その後も引き続き資格を有するものとする措置については、対象が平成29年度から令和8年度までの卒業者までとなります。
この2つは「延長された部分」と「令和8年度までで区切られる部分」が混在しているため、養成施設卒業者を採用している事業所では、対象者ごとに確認が必要です。
なお、准介護福祉士の資格そのものの廃止は、原則施行日である2027年4月1日からとなります。
4.【2027年4月1日】中山間・人口減少地域の新しいサービス類型
2027年4月1日から施行される項目のうち、地域によって影響が大きいのが、特定地域における新しいサービス類型の創設です。
「特定地域」とは、人口の減少その他の厚生労働省令で定める基準に該当する地域として、都道府県が定めるものを指します。
この地域では、指定基準を満たさない事業所であっても、都道府県が条例で定める基準を満たしていれば、市町村の判断でサービス費を支給できるようになります。従業者の員数、居室の床面積、利用定員といった基準を、人口減少の状況などを勘案して都道府県が独自に定められる仕組みです。対象は、居宅サービス、居宅介護支援、施設サービス、介護予防サービス、介護予防支援に及びます。
さらに、特定地域のある市町村は、訪問介護や通所介護などを地域支援事業として自ら行うこともできるようになります。障害福祉・障害児支援の分野でも、同様の類型が新設されます。
中山間地域や人口減少地域で事業を運営されている法人にとっては、サービス提供体制を組み直す選択肢が増える改正です。まずは、自法人の事業所が特定地域に含まれるかどうか、都道府県の動きを確認するところからになります。
5.【2027年12月まで】ケアマネジャーの更新制廃止と、事業者の新しい義務
ここが、今回の改正で最も誤解が生じやすい部分です。
ケアマネジャーの更新制の廃止は、2027年4月1日からではありません。公布の日から1年6か月を超えない範囲内において政令で定める日、つまり2027年12月25日までのどこかの日から施行されます。
▼ 何がなくなるのか
介護支援専門員証の有効期間そのものが廃止されます。あわせて、証の交付や有効期間の更新を受けるために受講することとされていた研修も廃止されます。
つまり、「期限までに更新研修を受けなければ資格が失効する」という仕組みがなくなります。
▼ 何が代わりに生まれるのか
厚生労働省令で定める者を除く介護支援専門員は、その資質の保持および向上を図るため、都道府県知事が行う研修として厚生労働省令で定めるものを受けるものとされます。研修そのものがなくなるわけではありません。
受講しない場合の担保も設けられています。都道府県知事は、正当な理由なく研修を受けていないと認めるときは受講を命ずることができ、その命令に従わない場合には、1年以内の期間を定めて介護支援専門員としての業務を禁止することができます。
また、都道府県知事は、指定研修受講管理機関に研修の受講管理に関する事務を行わせることができるものとされました。受講状況が制度として管理される形になります。
| 改正前 | 改正後 | |
|---|---|---|
| 資格の有効期間 | 5年 | なし(有効期間そのものを廃止) |
| 研修の位置づけ | 証の交付・更新を受けるために受講する研修 | 資質の保持および向上を図るため、法令上受けるものとされる研修 |
| 受講しなかった場合 | 有効期間の経過により資格が失効 | 都道府県知事が受講を命令。従わない場合は1年以内の業務禁止 |
| 受講状況の管理 | 本人と事業所が更新期限を管理 | 都道府県知事が指定研修受講管理機関に受講管理を行わせることができる |
| 事業者の役割 | 資格を失効させないためのシフト調整 | 従事状況の報告義務と、受講機会を確保する措置義務 |
| 義務を果たさない場合 | 規定なし | 勧告 → 公表 → 命令 → 指定権者への通知 |
▼ 事業者に生まれる2つの義務
ここが管理者にとって重要な部分です。
都道府県または市町村の条例により介護支援専門員を有しなければならないものとされている事業者・施設の開設者には、次の2つの義務が課されます。
1つめは、報告義務です。研修対象となる介護支援専門員を業務に従事させたとき、または従事しなくなったときは、その氏名などを、当該介護支援専門員の登録に係る都道府県知事に報告しなければなりません。
2つめは、措置義務です。研修対象の介護支援専門員を従業者として有しているときは、その資質の保持および向上を図るため、研修受講の機会を確保するための措置をとらなければなりません。
この2つには、段階的な担保がついています。報告をせず、または措置をとっていないと認められる場合、都道府県知事は期限を定めて勧告することができます。期限内に従わなかった場合はその旨を公表することができ、さらに指定事業者等については、正当な理由なく勧告に係る措置をとらなかったときに命令を出すことができます。命令に違反した場合は、指定権者である都道府県知事または市町村長に、違反の内容が通知されます。

▼ 管理者の実務はどう変わるか
これまでの管理は「失効させないこと」が中心でした。誰がいつ更新期限を迎えるかを把握し、研修日程に合わせてシフトを組む。この作業はなくなります。
一方で、従事状況の報告と、研修受講機会の確保が、事業者の義務として新たに生まれます。
「更新がなくなる=管理がなくなる」ではなく、「個人の更新管理から、事業者の受講管理へ」と軸が移る、という理解が必要です。
誰がどの研修をどこまで受講したかを、事業者として把握・記録できる体制になっているか。ここは早めに確認しておかれるとよいと思います。
6.【2028年6月まで】有料老人ホームの登録制と、特定施設の定義
▼ 登録制の対象は「住宅型」に限られません
まず押さえておきたいのは、この登録制が「住宅型有料老人ホーム」という区分に対して設けられるものではない、という点です。
登録の対象となるのは、「登録有料老人ホーム事業」を行う有料老人ホームです。ここでいう登録有料老人ホーム事業とは、介護等の供与が必要な状態が政令で定める要介護状態区分に該当する状態にある者などを入居させ、介護等の供与をする事業を指します。
つまり、入居者の要介護度と、介護等を供与しているかどうかで線が引かれます。具体的にどの要介護状態区分が対象になるかは、今後の政令で定められます。

▼ 登録の仕組み
登録は、有料老人ホームごとに都道府県知事から受けます。5年ごとに更新を受けなければ、期間の経過によって効力を失います。設備および運営については、都道府県が条例で定める基準に適合していることが必要です。
登録の基準としては、入居契約が書面(または電磁的記録)によるものであること、厚生労働省令で定める不当な条件を付さない契約であること、運営に関する重要事項を定めていること、設備および運営について都道府県の条例で定める基準に適合していることが挙げられています。
登録された内容は登録有料老人ホーム登録簿に記載され、都道府県知事は登録簿を一般の閲覧に供しなければならないものとされました。入居を検討する人や家族が、登録内容を確認できる仕組みです。
このほか、誇大広告の禁止、契約締結前における書面の交付および説明、報告徴収および立入検査、改善命令、事業停止命令、登録の取消しといった規定が設けられます。
▼ 特定施設の定義が変わります
介護保険法上の「特定施設」の定義も、あわせて見直されます。改正後は、登録有料老人ホームその他厚生労働省令で定める施設であって、地域密着型特定施設でないものが特定施設となります。
つまり、特定施設入居者生活介護を提供する前提そのものが、登録有料老人ホーム制度と結びつく形になります。現在特定施設の指定を受けている法人にとっても、無関係な改正ではありません。
▼ 登録制ではないホームにも、新しい義務が生まれます
見落とされやすいのが、登録の対象にならない有料老人ホームの側にも新しい義務が課される点です。
登録有料老人ホーム以外の有料老人ホームの設置者は、入居者が介護等の供与が必要な状態に至った場合であって、その入居者が登録有料老人ホームや介護保険施設などへの入居・入所を希望するときは、円滑に入居・入所ができ、必要な介護等の継続的な供与がされるよう、都道府県知事や登録有料老人ホームの設置者その他の関係者との連絡調整その他の便宜の提供を行わなければならないものとされました。
さらに、設置の届出の際に、入居させる者が該当する要介護状態区分などを届け出ることとされ、誇大広告の禁止や契約締結前の書面交付・説明、報告徴収・立入検査・改善命令・事業停止命令といった監督規定も設けられます。
「登録制の対象ではないから関係ない」という整理にはならない、ということです。
7.【2029年6月まで】登録施設介護支援という新しい類型
最も先の施行となるのが、登録施設介護支援・登録施設介護予防支援の創設です。
▼ どういう仕組みか
登録施設介護支援とは、登録有料老人ホームの居室において介護を受ける要介護者を対象に、その依頼を受けて行うケアマネジメントです。
入居する登録有料老人ホームの設置者から入居者の状況を聴き取り、本人・家族の希望を勘案して「登録施設サービス計画」を作成します。あわせて、事業者との連絡調整や、地域活動への参加援助なども行います。
介護給付として登録施設介護サービス計画費が、予防給付として登録施設介護予防サービス計画費が、それぞれ新設されます。
▼ 居宅介護支援事業所との関係
指定登録施設介護支援事業者または指定登録施設介護予防支援事業者としての指定を受けたときは、その指定を受けた時に、当該事業所について指定居宅介護支援事業者または指定介護予防支援事業者としての指定を受けたものとみなされます。ただし、厚生労働省令で定めるところにより別段の申出をしたときは、この限りではありません。
なお、指定の基準や報酬上の取扱いについては、今後の省令・告示で定められます。
今すぐ確認できること
- 自法人に有料老人ホーム(有料老人ホームに該当するサービス付き高齢者向け住宅を含む)はありますか。ある場合、入居者の要介護度の分布を把握できていますか
- 特定施設入居者生活介護の指定を受けている場合、定義の見直しが自法人にどう影響するかを確認しましたか
- 有料老人ホームの登録制に向けた担当者は決まっていますか
- ケアマネジャーの研修受講状況を、事業者として把握・記録できる体制になっていますか
- 居宅介護支援事業所をお持ちの場合、登録施設介護支援への対応方針を検討する時期を決めていますか
- 中山間地域・人口減少地域で事業を行っている場合、特定地域の指定がどうなるか、都道府県の動きを確認していますか
- 2027年4月に向けた準備と、それ以降の準備を、分けて整理できていますか
まだ決まっていないこと
今回の改正法は、多くの事項を政令・省令・都道府県の条例に委ねています。現時点で決まっていないのは、主に次の点です。
- 「2. 施行日は5つに分かれます」で示した、三段階目〜五段階目の具体的な施行日(政令)
- 登録有料老人ホーム事業の対象となる要介護状態区分(政令)
- 登録有料老人ホームの設備および運営に関する基準(都道府県の条例)
- 介護支援専門員が受講する研修の対象者・内容・頻度(厚生労働省令)
- 特定地域の指定基準(厚生労働省令、都道府県が指定)
- 登録施設介護支援の指定基準、報酬上の取扱い(省令・告示)
- 各項目の経過措置の詳細(改正法附則)
また、2027年度(令和9年度)の介護報酬改定の中身については、社会保障審議会・介護給付費分科会でテーマごとの論点整理が進んでいる段階で、まだ何も決まっていません。
法改正の内容と、報酬改定の内容は別のものです。混同せずに、それぞれの動きを追っていく必要があります。
まずは、現状の確認から
今回の改正は、3年がかりで段階的に効いてきます。
「2027年4月にすべて来る」と身構えていた法人さまにとっては、少し呼吸が置ける話かもしれません。一方で、すでに施行されている項目もあり、登録制のように準備に時間がかかるものは、改定対応と並行して進める必要があります。
まずは「うちの法人には、どの施行期日が関係するのか」を整理するところから、一歩ずつ進めていきましょう。
確定した内容については、必ず厚生労働省の公表資料をご確認ください。毎月更新している「2027年報酬改定ニュース」でも、続報をお伝えしていきます。
出典
介護保険最新情報Vol.1518「社会福祉法等の一部を改正する法律の公布について(通知)」令和8年6月25日 厚生労働省社会・援護局長/老健局長/社会・援護局障害保健福祉部長/こども家庭庁支援局長 連名通知
https://www.mhlw.go.jp/content/001715668.pdf
社会福祉法等の一部を改正する法律(令和8年法律第51号) 成立:2026年6月19日/公布:2026年6月25日