令和8年6月の処遇改善加算の改定対応、届出を出したところで止まっていませんか。
令和8年6月時点で、上位の「ロ」区分の算定率はすでに約65%※。届出の期限はサービス系統で異なります。まだ間に合うスケジュールと、区分を分ける3つの要件を整理しました。
※第263回社会保障審議会介護給付費分科会 資料1(令和8年8月28日)より。令和8年6月サービス提供分の事業所台帳情報に基づく集計。
「始まってしまった制度だからこそ、まだ動ける余地があるうちに」。そんな思いで、今回の内容をまとめました。
📌 この記事の3つのポイント
- 1「ロ」区分は令和8年6月時点で算定率約65%。「イ」に留まるのは約2割
- 2区分を分けるのは令和8年度特例要件。ア・イはサービス類型で使える範囲が決まっている
- 311月分から算定するなら、居宅系は令和8年10月15日、施設系は令和8年11月1日が次の届出期限
💡 令和8年6月に、何が変わったか
まず、確定している事実を整理します。根拠は次の2本です。
- 告示:指定居宅サービスに要する費用の額の算定に関する基準等の一部を改正する告示(令和8年厚生労働省告示第87号)
- 通知:介護職員等処遇改善加算に関する基本的考え方並びに事務処理手順及び様式例の提示について(令和8年3月13日老発0313第6号)
1)対象が「介護職員」から「介護従事者」に広がりました
あわせて、これまで対象外だった訪問看護・訪問リハビリテーション・居宅介護支援/介護予防支援が、新たに加算の対象になりました(加算率は順に1.8%/1.5%/2.1%)。
2)加算区分が6区分になりました
加算Ⅰ・Ⅱがそれぞれ「イ」「ロ」に分かれ、Ⅰイ/Ⅰロ/Ⅱイ/Ⅱロ/Ⅲ/Ⅳの6区分になりました。訪問介護ならⅠイ27.0%(改定前より+2.5ポイント)/Ⅰロ28.7%(+4.2ポイント)です。
3)賃上げは三層構造です
「最大月1.9万円」の内訳は、3つに分かれています。
- 月1.0万円……介護従事者全体を対象とした引上げ分
- 月0.7万円……生産性向上や協働化に取り組む事業者の介護職員への上乗せ分
- 月0.2万円……定期昇給分
つまり、到達額に最も大きな差を生むのは0.7万円分、「ロ」区分を取るかどうかです。
4)「イ」と「ロ」を分けるのが令和8年度特例要件です
「ロ」区分の要件は、次のア〜ウのいずれかを満たすことです。
- ア)ケアプランデータ連携システムを利用していること
- イ)生産性向上推進体制加算Ⅰ又はⅡを取得していること
- ウ)社会福祉連携推進法人に所属していること
ア・イは、サービス類型によって使える/使えないが決まっています。
| サービス類型 | 使える要件 |
|---|---|
| 訪問・通所系 訪問介護、通所介護、通所リハ、認知症対応型通所介護 など |
ア |
| 施設・居住系 特養、老健、介護医療院、特定施設、認知症グループホーム など |
イ |
| 多機能系・短期入所系 小規模多機能、看護小規模多機能、短期入所生活介護、短期入所療養介護 |
ア・イのどちらでも可 |
見落とされやすいのが、3つ目の「どちらでも可」のグループです。小多機や短期入所をお持ちの法人は、生産性向上推進体制加算がまだ取れていなくても、ケアプランデータ連携システムの利用で要件を満たせます。ウ)はサービス類型を問いません。
事務負担への配慮措置として、申請時点では「加入し、利用する」「取得する」という誓約でも算定が可能です。ただしこれは猶予であり、令和8年度中に実際に対応し、実績報告書で報告することが前提になります。
義務ではなく、貴法人が選び取る区分の話です。ただし、選ばなければその分の原資は入ってこない区分でもあります。
📊 今、全国はどこまで進んでいるか
第263回社会保障審議会介護給付費分科会の資料によると、令和8年6月時点で、従来から対象だったサービス全体の算定率は95.8%。同じ分母で区分の内訳をみると、次のようになっています。
| 区分 | 算定率 |
|---|---|
| Ⅰイ | 8.3% |
| Ⅰロ | 39.3% |
| Ⅱイ | 11.3% |
| Ⅱロ | 25.8% |
| Ⅲ | 8.6% |
| Ⅳ | 2.6% |
| 合計 | 95.8% |
「ロ」区分が約65%(Ⅰロ+Ⅱロ)、「イ」に留まるのが約2割(Ⅰイ+Ⅱイ)です。なお、新たに対象となった4サービスの算定率は71.6%で、約3割がまだ算定していません。
この数字は事業所数ベースの算定率です。サービス別に見ると、Ⅰロは特養69.4%、老健59.0%に対して、訪問介護34.3%、通所介護35.3%、地域密着型通所介護19.6%。規模の小さい在宅系ほど、取れていないという分布になっています。
☝️ 今すぐ確認できること
※チェックは保存されません。ページを開き直すと外れます。
🗓 区分を上げる場合の手続きと期限
年度途中の区分変更は、変更に係る届出書(別紙様式4)+処遇改善計画書+体制等に関する届出書の提出が必要です。期限はサービス系統で異なります。
| サービス系統 | 届出期限 | 令和8年11月分から算定する場合 |
|---|---|---|
| 居宅系サービス 居宅介護支援・介護予防支援を含む |
算定開始月の前月15日まで | 令和8年10月15日 |
| 施設系サービス 短期入所、特定施設、認知症対応型共同生活介護、地域密着型介護老人福祉施設を含む |
算定開始月の1日まで | 令和8年11月1日 |
イ)の生産性向上推進体制加算のルートで「ロ」を目指す法人は、施設系にあたることが多いので令和8年11月1日のほうをご確認ください。ただし小規模多機能・看護小規模多機能は、イ)が使えるサービスですが、届出は居宅系(令和8年10月15日)です。
※期限・提出方法は自治体により異なります。必ず指定権者の案内をご確認ください。なお、実績報告書(別紙様式3)の様式が令和8年7月14日に差し替えられています。古い様式を使っていないかも、あわせてご確認を。
👀 要件が整っていない場合は
特例要件がまだ整っていない場合、そこから先は生産性向上・ICT活用の話になります。
以前ケアコラボの記事で、先進事例を3つ取り上げました。転記作業をゼロにして月50時間の業務削減につなげた法人さん、申し送りの集約で8〜9割のスタッフが「残業が減った」と回答した法人さんなど、特例要件を満たす取り組みが、どう現場の負担軽減や賃上げの原資につながったのかを具体的に紹介しています。
「記録をデジタル化したら、残業が減って給与が上がった」は本当?
──先進事例に学ぶ、ICT活用による処遇改善の取り組み
🌸 まずは、現状の確認から
まだ区分を上げられる余地があるなら、居宅系は令和8年10月15日、施設系は令和8年11月1日までの届出で拾えます。
なお、令和9年度(2027年度)の報酬改定については、社会保障審議会・介護給付費分科会で関係団体からの意見聴取が始まった段階で、まだ何も決まっていません。確定した情報が出てきたタイミングで、毎月1日に配信している「2027年報酬改定ニュース」にて、改めてお伝えします。
まずは「今、自法人がどこに立っているか」を確認するところから、一緒に一歩ずつ進めていきましょう。
出典
- 厚生労働省「令和8年度介護報酬改定について」
- 指定居宅サービスに要する費用の額の算定に関する基準等の一部を改正する告示(令和8年厚生労働省告示第87号)
- 介護職員等処遇改善加算に関する基本的考え方並びに事務処理手順及び様式例の提示について(令和8年3月13日老発0313第6号)/別紙1
- 第263回社会保障審議会介護給付費分科会(令和8年8月28日)資料1「介護人材確保に向けた処遇改善等」。算定率は令和8年6月サービス提供分の事業所台帳情報に基づく集計です