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介護のヒヤリハット事例集|転倒・誤薬などの事例と原因、再発防止策を解説

佐藤 ありさ 佐藤 ありさ

介護現場のヒヤリハットとは?

ヒヤリハットとは、重大な事故につながる恐れがあったものの、幸いにも事故や怪我には至らなかった「ひやっ」「はっ」とした危険な状況のことです。

ヒヤリハットと介護事故の違い

介護における「ヒヤリハット」と「介護事故」の大きな違いは、実際にご利用者へ怪我や精神的苦痛などの被害が生じたかどうかです。

ヒヤリハットは事故には至らなかったものの、状況によっては重大な事故につながる可能性があります。そのため、事故にならなかったからといって、そのままにするのではなく、記録や共有を行うことが大切です。

なぜヒヤリハットを記録・共有することが重要なのか

介護現場では、ハインリッヒの法則という考え方が用いられます。ハインリッヒの法則では、1件の重大事故の背景には、29件の軽微な事故と300件のヒヤリハットがあると労働災害における経験則です。

介護現場では、小さな気づきをその都度報告・共有して原因を分析し、再発防止策を考えることで、重大な事故を未然に防ぐことが期待されています。

ヒヤリハットを「事故にならなかったから問題ない」と考えず、事故防止につながる重要な情報として活用することが大切です。

ハインリッヒの法則の図

介護現場で起こりやすいヒヤリハット事例

介護現場で起こりやすいヒヤリハットにはどのようなものがあるのでしょうか。

  • どのような状況だったか
  • 考えられる原因
  • 再発防止策

の3点を整理しながら、それぞれご紹介します。

①転倒・転落に関するヒヤリハット

ベッドから立ち上がる際や、トイレに行く際などは、身体の状態によって転倒・転落につながることがあります。特に起床直後はふらつきが生じる場合もあります。筋力の低下や眠気、体調の変化なども転倒・転落につながる要因として考えられます。ご利用者の状態を確認しながら、必要に応じて声かけや見守りを行うことが大切です。 

②移乗・移動時のヒヤリハット

ベッド・車椅子間の移乗や、歩行器・杖を使用しているご利用者の移動時などにもヒヤリハットは隠れています。たとえば、車椅子からベッドへ移乗する際、車椅子のブレーキがかかっていなかったり、杖を使っているご利用者が杖を置く位置を誤ってふらついたりすることがあります。移乗前にブレーキ・フットレスト・車椅子の位置を確認したり、ご利用者の身体状況に福祉用具が合っているかなどを確認したりすることが大切です。

③食事・誤嚥に関するヒヤリハット

食事中にもヒヤリハットは隠れています。食事中のむせや姿勢の崩れ、食事形態の確認不足なども、誤嚥につながる可能性があります。たとえば、嚥下機能が低下しているご利用者に、適していない食事形態で提供してしまうと、誤嚥につながる恐れがあります。提供前に厨房スタッフと読み合わせをしたり、目視で確認したりすることで、ミスを減らすことが期待できます。 

④服薬・誤薬に関するヒヤリハット

配薬の際に、別のご利用者の薬を誤って渡しそうになることがあります。氏名や薬袋の確認が不十分だったり、配薬するご利用者を取り違えたりすることが原因として考えられます。配薬前に氏名や薬袋の内容を確認し、施設のルールに沿って複数人で確認するなど、確認方法を統一することで、服薬・誤薬に関するミスを減らすことが期待できます。

⑤入浴時のヒヤリハット

入浴前の体調確認が不十分なまま入浴し、入浴中に気分が悪くなったり、ふらついたりすることがあります。発熱や疲労、血圧の変化など、その日の体調によっては入浴が負担になる場合もあります。入浴前にご利用者の体調を確認し、普段と異なる様子がある場合は無理に入浴させないなど、適切に判断することで、重大な事故を防ぐことが期待できます。

介護現場で起こりやすいヒヤリハットのまとめ

介護現場でヒヤリハットが起こる原因とは?

介護現場でヒヤリハットが起こる原因は、一つとは限りません。ご利用者の心身状態や職員の確認・介助方法、環境、情報共有など、様々な要因が重なって発生する場合があります。

ヒヤリハットが起きた際には、「職員の不注意だった」と個人の責任だけで終わらせるのではなく、なぜそのような状況が起きたのかを多角的に考えることが大切です。

ご利用者の心身状態によるもの

ご利用者の体調や身体機能、認知機能は日によって違います。立ち上がり時にうまく力が入らず、膝折れして、転倒しそうになることも考えられます。また、普段は問題なく歩けているご利用者でも、体調不良や疲労などによって、いつもと同じように動けない場合があります。そのため、日々の様子を観察し、普段と異なる変化がないか確認することが大切です。

職員の確認・介助方法によるもの

確認不足や介助方法、業務中の思い込みなど、職員側の要因もヒヤリハットにつながることがあります。たとえば、車椅子のブレーキの止め忘れや、ご利用者の身体状況に合わない介助をしてしまうことなどが考えられます。また、「いつも一人で歩けているから」「このご利用者は転ばない」「いつもこの方法で問題ない」など、これまでの経験による思い込みも要因の一つです。ご利用者の状態をその都度確認し、思い込みだけで判断せず、必要に応じて介助方法を見直すことが大切です。 

環境や設備によるもの

介護現場では、床面の状態や物の配置、福祉用具など、環境や設備がヒヤリハットの原因になることもあります。たとえば、廊下に物が置かれていてご利用者の動線が狭くなっていたり、床が濡れていて滑りやすくなっていたりすると、転倒につながる可能性があります。気候や気温などによって環境が変化することもあります。その都度、危険な箇所がないか確認することが大切です。また、福祉用具や設備に損傷がないか、定期的な確認も必要です。

情報共有・連携不足によるもの

ご利用者の変化や注意点が職員間で十分に共有されていないことも、ヒヤリハットの原因になります。たとえば、口頭で一部の職員にしか共有されていなかったり、申し送りをしたものの記録に残っていなかったりすると、必要な情報が他の職員に伝わらない場合があります。実際に、ご利用者の状態や注意点について、職員によって把握している情報に差があると、介助方法や対応が統一されず、ヒヤリハットにつながる可能性があります。そのため、重要な情報は記録に残し、チーム全体で共有することが大切です。

ヒヤリハットが起こる4つの要因のまとめ

ヒヤリハットを事故防止につなげる3つのポイント

ヒヤリハットを報告することは、実際の事故を防ぐためにも重要です。ただ報告するだけではなく、起きたことを具体的に記録し、原因を分析したうえで対策を考える必要があります。ここでは、ヒヤリハットを事故防止につなげるための3つのポイントを紹介します。

事実を具体的に記録する

「誰が・いつ・どこで・何をしていたのか」など、発生時の状況を具体的に記録することで、分かりやすく伝えることができます。事実を正確に記録しておくことで、後から原因を分析する際にも役立ちます。 

たとえば「ご利用者がふらついた」という結果だけではなく、「14時頃、廊下を歩行中に右足がもつれ、壁に手をついて体勢を立て直した」など、実際に起きたことを具体的に記録します。記録する際は、原因を推測して書くのではなく、確認できた事実を残すことが重要です。 

原因を分析して対策を考える

発生した結果だけを見るのではなく、「なぜヒヤリハットが起きたのか」という要因を考えることで、具体的な再発防止策につなげることが期待できます。「職員の確認不足」だけで終わらせず、ご利用者の状態、環境、情報共有など、様々な視点から原因を分析することが大切です。

チームで共有し、対策を振り返る

介護はチームで行うものです。一人の職員だけで情報を抱え込まず、ヒヤリハットの内容や再発防止策をチーム全体で共有することが大切です。また、対策を実施した後も、「実際に効果があったのか」「ほかに改善できることはないか」などの振り返りをすることで、より安全な介護につなげることが期待できます。

ヒヤリハットを事故防止につなげる流れ

ヒヤリハットの報告・共有をしやすい環境を作るには?

事故を防ぐには、ヒヤリハットを報告した職員を責めるのではなく、気づきを安心して共有できる環境を作ることが重要です。では、職員がヒヤリハットを報告・共有しやすい職場にするには、どのような取り組みが必要なのでしょうか。

ヒヤリハットを報告しやすい職場環境を作る

「ヒヤリハット」は責任を追及するためのものではなく、事故を未然に防ぐためのものだということを、職員間で共有することが大切です。報告した職員を責めるのではなく、気づきを安心して報告できる環境を作ることで、ヒヤリハットの情報を事故防止に活用しやすくなります。

また、ヒヤリハットの報告が必要だと分かっていても、記入項目が多かったり、報告に時間がかかったりすると、職員が負担を感じてしまう場合があります。報告様式を見直し、必要な情報を簡潔に記録できるようにするなど、職員が継続して報告しやすい仕組みを整えることも重要です。 

情報をチームで共有し、事故防止に活用する

情報をチームで共有し、同様のヒヤリハットや事故を防ぐために活用することも大切です。共有方法には、紙の報告書や口頭での伝達のほか、ICTツールを活用して情報を記録・共有する方法もあります。職員間で必要な情報を共有しやすい方法を整えることで、ヒヤリハットを事故防止に活用することが期待できます。

ICTでヒヤリハットの「記録・共有」をもっとスムーズに

ここまで、ヒヤリハットを事故防止につなげるには「具体的に記録すること」と「チームで共有すること」が大切ということをお伝えしてきました。
ただ、現場の方からはこんな声もよく聞きます。

  • 忙しくて、報告書を書くのが後回しになってしまう…
  • 紙の報告書だと、ほかの職員がいつ読んだのか分からない…
  • 申し送りで伝えたつもりが、夜勤の職員まで届いていなかった…

記録も共有も、まずは「気づいたときに、その場ですぐに残せる」ことが重要です。

ケア記録システム「ケアコラボ」でできること

ケア記録システム「ケアコラボ」は、スマホやタブレット、パソコンから記録を入力でき、書いた記録はチームの職員にすぐ共有されます。

◆ 気づいたその場で記録できる

スマホから入力できるので、ヒヤリハットに気づいたら、その場で状況を残せます。「14時頃、廊下を歩行中に右足がもつれた」といった具体的な事実も、記憶が新しいうちに記録しやすくなります。

◆ 写真・動画で状況を伝えられる

廊下に置かれた物や福祉用具の状態など、文字だけでは伝わりにくいことも写真や動画で共有できます。

◆ チームタイムライン・申し送りで共有もれを防ぐ

記録は「チームタイムライン」に時系列で表示されます。口頭だけで終わらず、シフトで勤務時間が違う職員にも同じ情報が届くため、「人によって把握している情報が違う」状況を減らすことが期待できます。

ヒヤリハットを「報告して終わり」ではなく、チーム全体の気づきとして活かしていきたい施設の方は、ぜひ一度ケアコラボの資料をご覧ください!

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佐藤 ありさ

佐藤 ありさ

福祉系の専門学校を卒業後、介護福祉士として勤務。その後新規事業開発の仕事を経験。「これまでの経験を活かして、福祉の現場で働く方々を支援したい」 そんな想いから、2022年にケアコラボへ入社しました。 「こんなケアを実現したい」という想いを持つ一人でも多くの方に「ケアコラボ」を届け、その実現の一助となれたら嬉しいです。

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