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しまわない介護記録

  

シリーズしまわない介護記録

ケアの標準化と多職種連携の効率化を実現

介護記録の活用で得られる3つの成果

藤原 士朗

介護記録をしまったままにせず、職員同士はもちろん、医療職やご家族と介護記録を共有することで大きな成果が得られます。本記事では実践者の事例を参考にしながら、介護記録を活用することで得られる成果を全3回に分けて学びます。初回の本記事では現場に与える影響を見ていきます。

ケアプランをいつでも見えるようにするだけで価値がある

ユニットケアに代表されるように、現代のケアはチームプレーで提供することが基本となっています。施設では24時間365日の対応が求められるますので、職員間で助け合える状況を作っておくことはとても重要です。

チームケアの質を高めていくにはケアのものさしが職員間で共有されている必要があります。介助のテクニック、身体状態の判断基準、ご利用者ごとのニーズなどが共有され、担当が変わっても一定品質以上のケアを提供できることが求められます。

ケアの方針を統一するために、アセスメントをもとにケアプランを作成します。作成された紙のケアプランはバインダーに閉じられ棚や机の上に整理されて保管されます。そうなってしまうと、日々ケアプランを見直すことが難しく、ケアプラン通りにケアが実施される保証は低くなります。

わたしが以前聞いたことのあるケースでは、ご利用者の状態に応じて食事提供方法などを変更した場合、ケアプランを書き直すことは非常に手間がかかるため、申し送り用の業務日誌に書いて共有をされていました。このような共有方法では、その日に出勤していなかった職員さんは変更内容を見逃してしまうかもしれません。

ケアプランをクラウド上に保管して、スマホやタブレットからいつでも参照や変更できるようにすれば、常に最新のケアプランが職員間で共有されるようになります。ご家族と合意したケアプランがケアのよりどころとして常にアクセスできるようにすることで、ケアの標準化が進むと考えられます。

日々のケアが見えるとチームワークが高まる

職員の日々のケアが見える化されると、自身と他の人のケアを比較できるようになり、自身のケアを客観視する機会となります。見える化された介護記録に対し、施設長や理事長がその内容を推奨するコメントを投稿すれば、組織として何を大事にしているのかも伝わります。

ご利用者が時折見せる喜びの表情を見ることは、これまでその場にいた職員だけの貴重な瞬間でした。スマホを持ち歩いて瞬間を写真で切り取れるような環境があると、美味しそうにバナナジュースを飲む瞬間を職員同士でシェアすることができます。日常生活では当然のように行われている写真による記録を介護の現場に持ち込むだけで、今まで見逃していたご利用者の様子を皆で分かち合えるようになります。

そして共有された写真に対して、皆でいいねを押してリアクションをしたり、感想を言い合うことで、チームワークが高まります。上司にあたる職員がそのケアの内容を労ったり推奨することで、職員は何を基準に実施可否を判断すれば良いのか理解できます。利用者が標準的に提供しているサービス以外のことを希望されたとき、個人ごとの創意工夫を加えたケアを自信を持って提供できるようになります。

バイタルからチームごとのケアの差を知る

バイタルひとつとっても、ユニットごとに判断基準がずれている可能性があります。以下は実際のデータから作成した排便に関する統計情報です。

ケアコラボの排便記録では、便の状態を「なし/下痢/軟便/普通/硬便」の5種類で表現できます。とある施設の2019年10月の排便記録、利用者290名・記録数6982件について分析し、下痢、もしくは軟便の記録数が有意な差を持つユニットを見える化しました。

グラフ左側に位置するTeam5とTeam7は他のチームに比べ下痢状態の利用者が多いことがわかります。平均が25%程度が下痢判定なのに対し、Team5は50%も下痢状態で記録されています。これはチャルドール(下剤)の処方が多すぎるのかもしれません、もしくは、軟便と判断する基準ごとに異なっている可能性もあります。このような日常的な記録も分析して見える化することで、ケアの改善に活かせるデータとなります。

個人ごとのバイタルの推移を把握することは大事ですが、データベース化して分析をすると、今まで気づかなかったような知見が得られます。しまわない介護記録によって、記録の活用は大きく進みます。

職種を超えた連携をスムーズに

介護記録の見える化は多職種での業務を効率化できます。

火傷や外傷などを看護師に見せて判断してもらいたい時も、スマホで写真をパシャリと撮影して、記録を投稿するだけで瞬時に共有できます。看護師の所見をタイムリーに聞けることで、その後の対応もスムーズかつ効果的に実施できます。文字とイラストでの記録に比べると、表現力の違いは一目瞭然です。

看護師はケアコラボによってご利用者の状態をいつでも見られるようになります。机の上や棚から記録を漁ったり介護職員から聞き出すことなく、看護師は自分のタイミングでPCやスマホから過去の記録を簡単に閲覧できます。看護師の方は多くのご利用者の記録を一気に閲覧する状況が日常なので、ICT化の恩恵は大きいでしょう。

また、ご利用者を連れて病院に向かう際にも、スマートフォンを一台持っていくだけで医療証やバイタルの推移などを簡単に医師に見せることができます。紙の記録だと、棚にしまってある書類を慌てて持ち出す必要があります。急いだ結果、必要な書類を一部忘れたことは一度や二度はあるのではないでしょうか。

ケアマネにとっては、自身のケアプランを元に現場でどのように実行されているのかをいつでも確認できるので、現場での実践を踏まえたケアプランのモニタリング(PDCAサイクル)が可能となります。

ケアコラボを使えばこれまでよりも共有にかかるコストが大きく削減されます。結果、今まではしまって終わっていた介護記録が、関係者間で適切にタイムリーに共有されるようになり、効率化が格段に進みます。


藤原 士朗

2011年創業のシステム開発会社、ソニックガーデンの副社長を務める。ソニックガーデン社への介護記録システムの開発依頼をきっかけに介護の世界へ。社福のミッションに向かう力強さと、介護士の人間的魅力に惹かれて、ケア記録システム「ケアコラボ」を提供する法人を設立、代表取締役に就任。

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