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介護記録の電子化で現場はどう変わる?介護ソフト導入のメリット・導入手順・失敗しない選び方を解説

佐藤 ありさ 佐藤 ありさ

目次

こんにちは!ケアコラボの佐藤です。

介護・福祉業界の皆さま、「残業がなかなか減らない..」「人材が定着しない..」「離職率が高い..」といった課題に頭を悩ませていませんか?その原因は、もしかすると「手書きの記録業務」にあるかもしれません。

介護記録の電子化は、記録業務の効率化だけにとどまらず、ケアの質の向上や法人の競争力強化にも繋がる重要な「経営戦略」です。本記事では、介護記録の電子化がもたらすメリットや、ICTツール導入時のコストや現場定着への不安を解消する具体的な手順についてお伝えします。

紙の記録からケアコラボで電子化をして、パソコンで操作する写真

なぜ今、介護記録の電子化が必要なのか

深刻化する介護現場の人材不足と業務負担

介護・福祉業界における人材不足は年々深刻さを増しており、現場スタッフ一人ひとりにかかる業務負担は非常に高くなっています。中でも「記録業務」に費やす時間は長く、多いところだと1日あたり30分~1時間ほどの残業時間に繋がっていると、ケアコラボユーザーの皆さまからもよくお聞きします。限られた人員で質の高いサービスを提供し続けるためには、手書きによる記録業務を根本から見直し、電子化することでスタッフの負担を軽減することが急務となっています。

ケアコラボ導入前後の変化をお聞きすると、残業時間が50時間減少したという法人さまも。残業時間が減ることは、経営視点では人件費削減になり、現場スタッフの労働環境の改善や、ご利用者とともに過ごす時間を増やすことができます。結果として本来実現したかったケアの提供につながり、スタッフのモチベーション向上・離職防止の効果も期待できます。

厚生労働省が推進する「科学的介護(LIFE)」への対応

国が進める「科学的介護情報システム(LIFE)」へのデータ提出は、介護報酬の加算算定において重要な要件となっています。LIFEへのデータ提出はCSVなどの電子データで行う必要があり、紙媒体で記録している事業所では、入力作業のために膨大な二度手間が発生してしまいます。電子化された記録ソフトであれば、日々の記録データからスムーズに提出用データを作成できるため、業務負荷をかけずに加算の取得を目指せます。

紙媒体での運用における限界とリスク

手書きの記録には、「文字にクセがあって読みづらい」「記入漏れや誤字脱字が生じる」といった課題がつきものです。また、紙の紛失や破損による個人情報漏洩のリスクもあります。さらに、過去の記録を参照する際に、膨大なファイルの中から探し出す手間が発生し、緊急時に必要な情報を即座に取り出せないという運用上の限界も生じています。

他業界に遅れるICT化と事業所の競争力確保

一般企業でICT化が当たり前となる中、介護・福祉業界のアナログな環境は、若い世代の求職者から敬遠される要因の一つになりつつあります。「スマホやタブレットでスマートに働ける環境」を整備することは、採用活動における大きなアピールポイントとなります。業務効率化への姿勢を示すことは、スタッフの定着率向上だけでなく、選ばれる事業所としての競争力の確保につながります。

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介護記録を電子化する5つのメリット

記録業務の大幅な時短による「残業時間の削減」

電子化の大きなメリットは、場所を選ばずに記録業務が完結することです。スマホやタブレットを活用すれば、その場で記録を入力できるため、わざわざ事務所に戻る移動時間や、記憶を頼りに思い出す手間がなくなります。また、入力したデータを日誌や申し送り表へ自動で転記・連動されるソフトもあるため、同じ内容を何度も書き写す作業をなくすこともできます。これらの効率化により、業務時間内に記録を終えられるようになり、残業削減とワークライフバランスの改善が実現します。

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リアルタイムな情報共有で「ケアの質の向上」と「チームケア」を実現

タブレットやスマホで入力された記録は、すぐにソフト上で共有されます。離れた場所にいるスタッフや、多職種間でもリアルタイムにご利用者の状態を把握できるため、連絡ミスや情報伝達のタイムラグがなくなります。このことにより、朝礼・夕礼などの申し送り時間の削減にもつながります。
全員が常に最新の情報を元に行動できるようになることで、チーム全体の連携が強化され、結果としてご利用者へのケアの質が向上します。

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間接業務削減により「ご利用者と向き合う時間」が増える

記録などの間接業務が効率化されることで生まれた時間は、本来の目的であるご利用者へのケアに還元できます。ゆっくりと話を聞く時間を増やしたり、細やかな変化に気づく余裕ができたりと、心の通ったケアを実践できるようになります。業務に追われるだけでなく、ご利用者一人ひとりと向き合える環境は、スタッフのやりがい向上にも繋がります。

ペーパーレス化による書類の物理的な保管のスペース削減

法律で保存が義務付けられている介護記録は、年々蓄積され膨大な量になります。これらを保管するためのキャビネットや倉庫は、結果的に事業所のスペースを圧迫してしまいます。電子化することで物理的な保管場所が不要になり、空いたスペースをスタッフルームの拡張や備品置き場として有効活用できます。
また、コピー用紙やファイルなどの購入コストの削減や、ファイリングなどの事務作業時間を削減することにもつながります。

介護記録やご利用者の情報の紙で、キャビネットがいっぱいになっている写真

過去の記録の検索やデータ分析がかんたんに

「先月の発熱時の対応を確認したい」といった場合、紙の記録ではページをめくって探すのに時間がかかりますが、電子記録なら検索をすることで、すぐに情報に辿り着けます。また、体重や血圧の推移を自動でグラフ化したり、事故の発生傾向を分析したりすることも簡単にできるようになります。蓄積されたデータを視覚的に把握することで、根拠に基づいたケアプランの作成や改善に役立ちます。

ICT導入時の「壁」と具体的な解決策

【現場への浸透】導入のメリットを共有する

ICT導入やDXといった横文字もしかり、新しいソフトの導入に対して、現場からは「今のやり方をなるべく変えたくない..」という抵抗感が生まれることがよくあります。これを乗り越えるには、「なぜ導入するのか」を丁寧に伝えていくことが重要です。「残業を減らして早く帰れるようにしたい」「ケアの質をもっと高めたい」といった、スタッフ自身にとってのメリットを共有し、自分事として捉えてもらうことが浸透への第一歩です。
DXやICT導入を難しく捉える必要はなく、現場スタッフの負担が削減され、業務がラクになるということを理解してもらうことが大切です。

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【初期コスト】「補助金・助成金」の活用を視野に入れる

ソフト導入には、タブレット端末の購入費やソフトウェアの初期費用がかかりますが、国や自治体の補助金を活用することで負担を大幅に抑えられます。「介護テクノロジー導入支援事業」や「IT導入補助金」など、介護事業所のICT化を支援する制度は充実しています。導入検討の段階から、自社が使える補助金の要件やスケジュールを確認し、資金計画に組み込むのも良いでしょう。

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【運用コスト】「削減できる人件費」から逆算して考える

月額利用料などのランニングコストは一見すると負担に感じられますが、費用対効果(ROI)の視点で考えることが大切です。例えば、ICTツールの導入によりスタッフ全員の残業時間が減れば、支払う残業代は大幅に削減されます。「コスト」ではなく、将来の利益を生むための「投資」と捉えて判断することが大切です。

【操作性】直感的に使えるソフトを選ぶ

ICTツールに不慣れなスタッフが多い職場では、「使いこなせるか不安」という声が必ず上がります。この不安を解消する唯一の方法は、マニュアルを読み込まなくても直感的に操作できるツールを選ぶことです。文字が大きく見やすい画面、ボタン配置がシンプルな設計、選択肢をタップするだけの入力方式など、誰でも初日から使えるような「現場目線のUI」を備えた製品を選定しましょう。

現場スタッフがケアコラボという介護ソフトをかんたんに操作している写真

【災害時】データ消失リスクは「クラウド型」を選んで回避

「電子化すると停電や故障でデータが消えるのでは..」という懸念に対しては、クラウド型ソフトの採用が解決策となります。クラウド型であれば、データは事業所内のパソコンではなく、セキュリティの堅牢なデータセンターに保存されます。万が一、事業所が火災や水害に遭ったりパソコンが故障したりしても、データは安全に守られており、別の端末からすぐにアクセスして業務を再開できます。

失敗しない「介護記録ソフト」の選び方

誰でも使える「操作性(UI)」を最優先する

多機能なソフトは魅力的ですが、現場が使いこなせなければ意味がありません。選定時は、PC操作が得意な管理者だけでなく、ICTが苦手な現場スタッフも一緒にデモ画面を触ってみることが不可欠です。「入力ステップは少ないか」「ボタンは押しやすい大きさか」「画面遷移は分かりやすいか」など、現場感覚での使いやすさを最優先の基準に据えることが、導入の失敗を防ぐ最大のポイントです。

トラブル時の「サポート体制」の充実度を確認する

ソフト導入後は、操作方法の疑問や通信トラブルなど、予期せぬ事態が発生します。その際、電話がすぐに繋がるか、チャットで気軽に質問できるかといったサポート体制が重要になります。特に土日祝日も稼働している事業所の場合、平日の日中しかサポートがないソフトでは業務が止まるリスクがあります。自社の稼働時間に合ったサポートが受けられるか必ず確認しましょう。

安さだけでなく「機能と費用のバランス」を見る

コスト削減は重要ですが、「安さ」だけで選ぶと、本来の導入目的が達成できない場合があります。 例えば、月額費用が安くても、操作が難しくて現場スタッフが使わなくなってしまったり、トラブル時のサポートが不十分で業務が止まってしまったりしては、せっかくの投資が無駄になってしまいます。
「なぜソフトを導入するのか?」という原点に立ち返り、「スタッフがストレスなく使いこなせるか」「現場の課題(情報共有の円滑化や、ご家族との連携など)を解決できる機能があるか」という視点で、費用と得られる成果のバランスを見極めることが大切です。

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スムーズに電子化するための導入ステップ

【準備】プロジェクトチーム発足と目的の明確化

スムーズな導入のためには、管理者一人で進めるのではなく、現場リーダーを含めたプロジェクトチームを発足させます。まずはチーム内で「残業時間を月10時間減らす」「情報共有のミスをゼロにする」といった具体的な導入目的とゴールを設定します。この目的がブレてしまうと、ソフト選定や現場への説明において軸が定まらず、導入が形骸化する原因となります。

プロジェクトチームで介護ソフト導入について話し合いをしている写真

【選定】自社の課題・目的とマッチしているかを確認

ベンダーからの提案を受ける際は、単に機能の説明を聞くだけでなく、自社の抱える課題をぶつけて解決策を提示してもらいましょう。「今のこの手書きの記録は、ソフトで行う場合どのようにすると良いか」「この業務フローはどう変わるか」など具体的にシミュレーションを行います。複数の製品を比較検討し、自法人の運用に最もフィットし、目的に沿ったソフトを選びます。

【運用】まずは小さくはじめる

ソフト導入の失敗で多いのが、ある日から全ての記録を一気に電子化しようとして現場が混乱するケースです。まずはバイタル記録や食事量など、入力が簡単な項目から始めたり、特定のフロアやユニットだけで先行導入したりする「スモールスタート」をおすすめします。小さな成功を積み重ね、スタッフが操作に慣れてから徐々に範囲を広げることで、拒否反応を抑えてスムーズに移行できます。

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ICTツールを現場に定着させるコツ

ICT導入の目的と想いの共有

ソフトを現場に定着させるためには、操作方法の習得以上に「なぜやるのか」という目的の共有が重要です。単に「新しいツールを入れて楽にする」という説明だけでなく、「ご利用者にもっと良いケアを届けたい」という法人の想いやビジョンを伝えます。目的への共感が得られれば、多少の操作の難しさやトラブルがあっても、現場は前向きに取り組んでくれるようになります。

管理者から現場スタッフに法人の想いを共有して笑っている写真

現場の推進リーダーを決めて意見を吸い上げる

現場への浸透役として、スタッフの中からITに比較的強く、周囲からの信頼も厚い「推進リーダー」を選任します。リーダーには、現場で発生している使いにくさや不満、要望などを吸い上げて、管理者やベンダーへフィードバックする役割を担ってもらいます。現場の声を吸い上げて改善していく姿勢を見せることで、スタッフ全員が協力的な体制になります。

まずは申し送りやバイタル記録など一部業務から慣れてもらう

最初から長文の経過記録を入力しようとすると、フリック入力やキーボード操作に不慣れなスタッフは挫折してしまいます。まずは、数字を入れるだけのバイタル記録や、チェックボックスを選ぶだけの食事記録など、かんたんで効果を実感しやすい業務から電子化を始めましょう。「これなら自分にもできる」「計算しなくていいから楽だ」という実感を積み重ねることが大切です。

導入効果を可視化してスタッフに共有する

電子化によってどのような成果が出たのかを、定期的に数値でスタッフにフィードバックしましょう。「先月より残業時間が平均◯時間減りました」「ヒヤリハットの共有スピードが上がりました」といった具体的な成果を共有することで、スタッフは電子化の意義を再確認できます。自分たちの取り組みが成果に繋がっているという実感は、ソフト利用を継続する大きなモチベーションになります。


介護記録の電子化は、単なるペーパーレス化や業務時間の短縮といった「効率化」だけがゴールではありません。
現場の負担を取り除くことでスタッフに「心の余裕」が生まれ、その余裕がご利用者への「より良いケア」へと還元されていく。これこそが、電子化がもたらす最大の価値であり、選ばれる法人・事業所になるための第一歩だと考えています。

「ケアコラボ」は、ITが苦手なスタッフでも直感的に使える「使いやすさ」と、チーム全員で情報を活用できる「共有のしやすさ」に徹底的にこだわって開発しています。
「現場に定着するか不安.. 」「どのソフトが良いか迷っている.. 」というご相談はもちろん、「記録業務を改善して、ケアの質を高めたい」とお考えの方は、ぜひ一度お気軽にお問い合わせください!

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佐藤 ありさ

佐藤 ありさ

福祉系の専門学校を卒業後、介護福祉士として勤務。その後新規事業開発の仕事を経験。「これまでの経験を活かして、福祉の現場で働く方々を支援したい」 そんな想いから、2022年にケアコラボへ入社しました。 「こんなケアを実現したい」という想いを持つ一人でも多くの方に「ケアコラボ」を届け、その実現の一助となれたら嬉しいです。

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