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導入事例

写真や動画つきの記録で、「ケアに対する解像度」が向上した

社会福祉法人 薫英会
群馬県北群馬郡吉岡町にて生活介護、障害者支援施設、就労継続支援B型、共同生活援助、特別養護老人ホーム、デイサービスなどを運営。
『人に向き合い、多様性を受け入れ、社会を調和する』をビジョンに掲げ、高齢者も若者も子どもたちも障害がある人も、互いに想い理解しあえる‘‘調和,,のある共生社会をめざす。
職員数は約150名。
障害者支援施設 薫英荘 施設長 大林 喬充様
導入前
  • 文字だけの記録では詳細な様子が伝えられなかった
  • 紙の記録を集めて会議の準備
  • 出来事に対して時間のみが記録され、流れが追いづらかった
導入後
  • 写真や動画を活用して表情や様子を撮影し、ケアに対する解像度が向上
  • スマホやモニターで同じ情報を見ながら会議
  • タイムライン上に時系列で記録が並び替わり、事故などの流れが追いやすくなった

「記録に出てこないケア」があることにもったいなさを感じた

― まずケアコラボ導入のきっかけを教えてください。

元々私は他業種から福祉の世界に転職しました。

以前の職場では、情報共有にグループウェアなどのツールを使っていたのですが、福祉の現場ではそのようなツールはなく、パソコン上にある介護ソフトに記録していたんです。
その記録は日々のケアなど「こんなに細かい視点で見ているんだ」と、ある意味カルチャーショックを受ける内容でした。

ただその反面、事故や食事をどれぐらい摂取したかなど、重要なことや引き継ぐべきものだけが記された無機質な文字の羅列のようにも見えたんです。
また、普段から職員同士で「〇〇さんが、こういう状況だった」や「~の時に笑顔がみられた」など話していたのですが、そのような“記録に出てこないケア”が見える化されていないことに「もったいないな」と感じていました。

この表に出にくい細やかなケアを記録として残しながら情報共有できればと考えた際、ケアコラボが頭に浮かびました。
以前「社会福祉法人・福祉楽団」さんがケアコラボを使っているという記事を見てから、興味を持っていたんです。

― お問い合わせの際、既にケアコラボに決めていただいている感じでしたよね。

福祉楽団さんの記事を読んだときに「これすごいいいじゃん!」ってなりましたよ。

使い方の周知はチームワークで乗り越えていった

― 記録ツールの変更は、職場環境にとって大きな変化だったと思います。移行に際しての苦労はありましたか?

当時申し送りは、ご利用者のことは従来の記録ソフトを使用し、職員間の連絡事項はノートに書いて共有していました。なので「職員みんなが新たなツールを受け入れることができるか」という多少の怖さはありましたね。

でも、私の独断で「やっちゃえ」と始めました(笑)。職員を信頼し、なんとかなるだろうと。でも私が知らなければはじまらないので、まずは自分でシステムを理解し、どのように導入ステップを踏んでいくかを考えるのが少し大変だったかな。

― 職員間にケアコラボを浸透させていくため、工夫した点はありますか?

まず、職員のなかで影響力のあるリーダー層の人たちを巻き込むところから始め、ケアコラボの機能やメリットについて説明をしました。
リーダーが理解してくれることで、他の職員に使い方や活用方法を伝達してくれたので、浸透できたのは、リーダー層をはじめとする職員みんなの頑張りのおかげです。

― スマートフォンの扱いが苦手な方もいると思うのですが、どのように伝達したのですか?

はじめに、各リーダーが誰と誰に教えるという風にグループ分けをしました。
とりあえずログイン方法から始めて、実際に使ってみる。そして記録はこんな形で入れるということを約1週間行いました。

― 大林さんからリーダー職の方、そして他のスタッフの方へという流れがスムーズだったことが分かります!

写真や動画つきの記録方法で、ケアに対する解像度が上がった

― 実際にケアコラボで記録が始まるというとき、職員の方の雰囲気はどうでしたか?

多分みんな「うまく使えるのか」「教えられたけど、どうやるの?」という不安はありましたね。
導入直後も使い方が分からないという声はありましたが、理解している職員が教えるなど、
ある意味コミュニケーションが多く生まれた、良い機会だったと思います。

― 以前はご利用者について、記録以外のところで話していたということでしたが、ケアコラボを導入したことで新たに生まれたコミュニケーションはありますか?

例えば導入前だと、行事などで「○○さんこういう表情してたよ」や「すごく楽しんでもらえた」という会話がありました。ただ当日に公休だったりした人は、実際の様子はカメラを使用して写真は撮影をしていたけれども手軽にはすぐに見ることが難しく、口頭での情景でしか分からないんです。

でもケアコラボを導入してからは、写真や動画で共有できるので、楽しんでいることが目で見て分かる。「こんな良い表情が見れるなら、日常のケアに繋げていっても良いのでは?」という話もでました。

ほかにも文章だけの記録だったものが、今では動画や画像もあわせて残すことで、記録、そしてケアに対しての解像度が確実に上がりました。

― 画像や動画でより詳細に情報共有できることで、ご利用者に対する支援の方法にも変化はありましたか?

そうですね。これは以前、ダウン症で心臓に疾患がある女性(以後、「Aさん」とする)の支援を行っていたときの話です。ある職員が「Aさんが日常の中でこういったものを見つめていた」や「こんな表情をしていた」という内容を画像とともにあげたんです。

こういった職員それぞれの視点でないと気付かない見え方というのは、今までだと記録にはあがりませんでした。ですが、徐々に他の職員にも波及し、ご利用者それぞれの個別性に目を向けた記録があがるようになりました。

― すごい!ご利用者の方に対する視点が、確実に増えたんですね。

それにより、職員同士の「この人はこういう風に接しているのか」とか「こういったことをやっていたんだな」という、画一的に決められたケアではない部分を知ることができたんです。

またご家族にもタイムラインの写真や動画を公開していたのですが、Aさんのお兄さん夫婦がとても喜んでくれたんですよ。Aさんは亡くなったのですが、最期までケアコラボの記録を見て「妹の普段見えない仕草を見ることができた」や「幼い頃好きだったものを覚えてくれていた」などのコメントを返してくれていました。

最期には「ケアコラボがあって本当に良かった」と言ってくれ、すごく嬉しかったですね。

― 私たちも嬉しくなるお話を、ありがとうございます。他の方の支援を知ることは、職場にとって大きな変化でしたか?

ケアコラボで情報を共有することで、職員それぞれのケアの見える化が進む。そこから施設全体の支援の方針や共通の判断基準などの方向性が醸成されるのではないかと感じています。

職員からも「導入して良かった」という声を聞き、安心しています。

ケアコラボの導入で組織の意識変化まで

― 現場での業務内容に変化を感じることはありましたか?

紙ではなく、スマホやモニターで記録を共有しながら会議を行うことが増えました。あと救急搬送が必要になる事故が起こった場合、今までは「何時に救急車を呼んだ」「何時にご家族へ連絡した」など一連の流れを記録していたのですが、ケアコラボはツリー状に記録ができるので、便利ですね。

職員自身も検索機能を使って自ら情報を収集するなど、ITリテラシーが上がっているなと顕著に感じます。

― ケアコラボの機能をさまざまな場面で活用していただいてますね。反対に活用が難しい場面はありましたか?

職員間でコンセンサスを必要としたりする深い議論には向いていませんでした。例えば「こういったことを考えているので、皆さんの意見を聞かせてください」と問いかけた場合、「私はこう思います」や「でもそれはこうではないですか」など、コメントが続いていくんです。

意見が出ることは良いことなんです。ただ、コメントのような文面だけだと背景や目的、ニュアンスがどうしても伝わりづらい難点がありました。
なので議論が深くなるのであれば、対面での会議を開いたほうがいいですね。

― なるほど。事故報告等の記録はケアコラボを使い、具体的な支援方法や対策に関しては会議を開くという感じですね。現場でも変化が表れているようですが、法人内でも組織としての変化はありましたか?

まずひとつの事業所にケアコラボを導入しましたが、今後他の事業所にも導入していく予定です。ケアコラボをきっかけにICTに対してのハードルが下がったとも感じます。
あとは何にしても「まずはやってみよう!」という雰囲気にしていきたいなと。

― ICTの導入を進められているんですね。ちなみに、ケアコラボ以外で導入したツールはありますか?

社内全体での情報共有手段として「Google Workspace」で、チャットやドライブ等を活用しています。ケアコラボをはじめに導入していたので、こちらの導入に関しても抵抗なく始めることができました。

「まずは、やってみる」という気持ちで始めてほしい

― 障がい者福祉の分野では、ICTの導入に関してまだ積極的ではないように感じます。ICTの導入に不安を抱えてる福祉事業者の方々に向けて大林さんからメッセージをお願いします。

障がい福祉事業は介護事業に比べ、ICTなどで遅れをとっていると思います。
まずはやってみることで、職員自身が自発的に新しい機能を活用したり、得意分野な職員さんが苦手な職員さんに使い方を教えるといった新しいコミュニケーションが生まれたりと、良い意味での起爆剤にもなります。

もしかしたら職員さんたちはICTを進めていきたいのかもしれないですよ!
私たちは決断し、根気強くバックアップ。それだけです。

ー勇気づけられる言葉を、ありがとうございました!

(企画:ケアコラボ 赤沼 取材:ケアコラボ 赤沼・佐藤 文:山崎めぐみ)

ケアコラボを導入いただいている事業者様の導入事例をまとめています。

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山崎 めぐみ

山崎 めぐみ

デイサービス、グループホームで介護職として勤務。その後特別養護老人ホームへ転職し、メンバーの教育やマネジメントを担当。 介護業界から、出版業界へ挑戦し、編集プロダクションへ就職。雑誌の編集業務と取材をメインに担当。現在は、ライター兼介護職のパラレルワークを実践中。保有資格は介護福祉士、ケアマネジャー。