シリーズ活用事例
介護記録をご家族に共有し、一緒にケアできる「家族公開機能」
社会福祉法人 元気の里とかち
ユニット毎にパソコン1台。正規職員には1人1台iPhone7を無料貸与。
法人理念は「利用者満足、尊厳の保持、個別支援の充実」
理事長 櫻井 博一様
介護職リーダー 及川 湖奈美様
介護現場における介護記録の共有を実現させるケアコラボには、さまざまな機能が備わっています。そのひとつである「家族公開機能」は、介護記録やバイタル、ケアプランなどご利用者の日々の様子をご家族に共有することができます。どのような効果が得られたのか、この機能を活用する現場のうれしい声を聞いてみました!
※「家族公開機能」とは
ケアコラボに入力した介護記録やケアプランを、そのままご家族へ公開できる機能のこと。
ご家族はスマホ、PC、タブレットから記録を確認し、いいね!やコメントを残せる。
記録ごとに公開・非公開を設定できるので安心。
日々を伝える「家族公開機能」で、ご利用者とご家族、そして職員が繋がる
―「家族公開機能」を導入したきっかけを教えてください。
記録をご家族に公開するというのは初の試みだったので試験的にひとつの施設で始め、日々のことや外出したときの様子を画像とともに記録、公開しました。
するとご家族からたくさんのコメントを頂けるなど、想像以上の効果を得ることができ、他施設でも使い始めることになりました。
「遠方に住んでいるなどご家族が面会に来れないということには理由があるはず、だから私たちが記録を公開することは当たり前」ということをケアコラボが気付かせてくれましたね!
現在コロナウイルス感染症の拡大下では、なおさらこの機能が活躍しています。
「様子を把握することができて安心」と、面会に来れない分ログインの回数やコメントが増えたようにも思います。
この機能を導入しようと思ったもうひとつのきっかけとして「職員の喜びに繋がるのでは?」と考えたんです。
公開したものに対して他職員やご家族から「いいね!」をもらえることは、ケアを認めて誉めてもらえるという自信にも繋がりますから。
ご家族から公開したケアに関して「あのときはありがとうございます」という言葉を頂けると、私たち職員を知ってもらえたという想いでうれしくなります!
専門用語は使用しない、ご家族が読んでわかりやすい記録で親近感を
―機能を導入する際、問題点などはありましたか?
普段記録上で使っている専門的な用語は「家族公開機能」では使用しないということには戸惑いも見られたようです。
臥床、離床、KTなど、ご家族が見て分からない用語に関しては「禁止ワード」として挙げたことで、ご家族様が読んで分かりやすいのはもちろん、「なぜこの言葉を使ってはいけないのか?」を考える“ケアの気付き”にも繋がっています。
私たちは利用者様の生活の延長をお手伝いさせて頂いているので、難しい言葉を使うと堅苦しく感じてしまいます。
家族でなくとも、家族のような親近感を持ってもらえるような言葉を選ぶきっかけにもなっていますね。
普段から分かりやすい言葉を使うことで、ご家族に口頭で説明する際もスムーズにできるようになりました。
また専門用語を知らない未経験職員へ指導する際の言い回しが、上手くなるという効果もありました!
ご家族とのコミュニケーションの場になり、介護の質の向上にもつながった
―機能を活用することで得られた効果を教えてください。
ご家族の想いやニーズをダイレクトに捉えることができるようになりました。
例えば、利用者様が体調を崩して食欲がないということを公開すると、ご家族より「風邪気味のときはみかんの缶詰を食べます」とコメントを頂いたり、認知症の症状を伝えると「自宅ではこんなことを試していました」と助言を頂くこともあります。
ご家族との関係が密になったように感じますね。
ある職員はコメント欄でご家族とやり取りをしながら、ケアプランを考えていたこともありましたよ!
―ご利用者自身に変化はありましたか?
写真を撮られることに慣れてきたのか、しっかりと表情を作られることが多くなりましたね(笑)。
車いす移動に介助を要していた方が車いすを変更したことで、自身での移動が可能になったケースがありました。その際ご本人より「元気になった姿を娘に見せてほしい!」と希望があり、動画を公開したこともあります。
そのほか利用者様の半生をアルバムに記録する「人生録」という機能があるのですが、なくてはならないコミュニケーションツールになっていますね。
ある認知症の利用者様から「夜間、暗くすると眠れないのでオレンジライトにしてほしい」という希望がありました。
職員は不思議に思っていたのですが、公開したところご家族より「昔山奥でランプ生活をしていたからかもしれない」とコメントを頂き、納得することができました。
ご家族が「人生録」に昔の写真をアップしてくれたことにより、馴染みのある生活スタイルを知ることができたほか、写真を見ながらご本人より昔の様子を伺うこともできました。
職員にベトナムからの留学生がいるのですが、言葉は難しくとも、写真を見ながらコミュニケーションを図ることもできているようです!
未経験の職員や勤務初日の職員にとっても「人生録」はコミュニケーションの取っ掛かりになると思います。
会話の引き出しをたくさん作ってくれていますね。
ICTと聞くと冷たい響きを感じるかもしれませんが、「家族公開機能」は現代において大事な役割を担うツールだと思います。
新しいことを始めるときに反対意見はあるかもしれませんが、チャレンジすることできっと何かが生まれるはず。ケアコラボさんがワクワクしたことを考えてくれるので、私たちも楽しくチャレンジできています(笑)!
ライターからひとこと
ご家族にご利用者の様子をお伝えする「家族公開機能」が、私たちの想像を超える物語を生み出していることには驚きの連続でした。
「人生録」もご利用者が歩んできた道やご家族と暮らしてきた日々を、私たち職員が改めて尊く感じるきっかけになるのではないでしょうか。
介護現場は、深刻な人手不足です。ただ「人が足りない、忙しい」ということをできない理由にするのではなく「この状況で何かやれることはないか?」とできるための方法を考えることが、きっと介護現場の可能性を広げてくれるはず。そんなワクワクする未来を想像させてくれる貴重なお話でした。本当にありがとうございました!
ライタープロフィール
山崎めぐみ
デイサービス、グループホームで介護職として勤務。その後特別養護老人ホームへ転職し、メンバーの教育やマネジメントを担当。
介護業界から、出版業界へ挑戦し、編集プロダクションへ就職。雑誌の編集業務と取材をメインに担当。現在は、ライター兼介護職のパラレルワークを実践中。
(保有資格:介護福祉士、ケアマネジャー)