シリーズケアコラボの視点
「記録をデジタル化したら、残業が減って給与が上がった」は本当? ―― 先進事例に学ぶ、ICT活用による処遇改善の取り組み
現在、「処遇改善加算」について、いろいろな情報が発表されています。
本当にICT化を進めることで、改善されることがある?
スタッフへの説明や、実際のICT化ってどうすればいい?
上記のようなご不安や迷いを抱えられていらっしゃる方も多いかと思います。
そこで本記事では、目前に迫った2026年6月の介護報酬期中改定に向けた国の方針や、活用すべき一時的な補助金の仕組みを整理し、今このタイミングで優先して取り組むべきアクションを具体的に解説します。
実際の導入事例として、ケアコラボを活用し「現場の負担を減らしつつ効率化を実現した」実例を基に、処遇改善加算や生産性向上について読み解いていきます。
処遇改善についての国の方針とは?
処遇改善加算については、図のような流れになっています。
2025年の賃上げ・職場環境改善事業から始まり、最終的に2026年6月に「処遇改善加算として恒久的な仕組みに再編される」流れとなっています。
補助金(国費)から介護報酬(処遇改善加算)に切り替わることで、ご利用者さんの自己負担分が発生することになります(※補助金は国費、加算は1〜3割自己負担対象)。
また就業規則改定やキャリアパスの整備など、職員の方々にも丁寧な説明が必要となります。
いきなり恒久的な処遇改善加算(介護報酬)に切り替わると混乱を招くため、ある程度生産性向上に取り組めるための“補助金”を準備し、段階的に取り組めるようにしていると想定されます。

現在(2026年5月)は、フェーズ1の補助金スキームとフェーズ2の処遇改善加算の拡充(期中改定)のちょうど狭間となります。
皆さまにおいては、補助金を申請しつつ、ICTの環境を整え、さらには2026年6月からの臨時報酬改定に合わせた諸対応に追われているかと思います。
厚労省の「令和8年度介護報酬改定について」のウェブサイトはこちら。
「3階建て構造」の複雑さ
2025年12月〜2026年5月の6ヶ月間の補助金は、「3階建て補助金」と呼ばれているように、“それぞれの要件を満たした場合に金額が上乗せされていく”構造となっています。介護職員の場合、最大1.9万円/月 の賃上げとなります。
この「3階建構造」はとても複雑です。補助金と期中改定の要件は、構造階数は同じでも内容が異なります。

図にまとめた通り、一時的な支援となる補助金と、6月以降恒久化される処遇改善加算では、それぞれの階での金額が異なります。
3階部分について
補助金(左図)の3階「4,000円」は、期中改定(右図)の3階「2,000円」と根本的に違うものです。
- 補助金3階:国費から支給(職場環境改善のための原資)
- 期中改定3階:各事業所が自前で実施する「定期昇給」分 ── 加算からの原資ではない
2階部分について
期中改定で新設される「Ⅰロ・Ⅱロ」(生産性向上等の上乗せ区分)の要件は、補助金の2階要件とほぼ同じです。
- 訪問・通所系:ケアプランデータ連携システム利用(誓約可)
- 施設サービス等:生産性向上推進体制加算ⅠまたはⅡ算定(誓約可)
- 共通:社会福祉連携推進法人所属
つまり「フェーズ1で補助金2階の要件を満たした事業所は、そのままフェーズ2のⅠロ・Ⅱロにも通じる」ので、いま準備することは無駄になりません。
すべて整えた場合に、最終的に最大1.9万円/月 の賃上げ という部分は一致していますが、要件も配分額も異なります(複雑ですね…)。
特に、期中改定後の3階は「事業所の定期昇給」が原資となるため、定期昇給が2,000円に満たない場合は最大1.9万円に届かない可能性があります。
2024年に「生産性向上推進体制加算」が新設されたときに、これからはずっとICTを利用しつつ効率化を求められるのだろうと感じていました。
人材不足は随分前から言われてきましたし、LIFEに始まりケアプランデータ連携システム、そして介護情報基盤など、国も整備してきたのでそれは当たり前かもしれません。
まさに【生産性向上】は、「それに取り組むべき」という方針を、国が強く打ち出してきたものだと感じています。
今、事業所が準備すべきことは?

2026年6月の臨時改定(厚労省では「期中改定」)は、どのメディアでも“異例”と報じるものです。2027年度の介護報酬改定を待たずして、諸業務が発生する事柄でもあります。
「今、準備すべきこと」として4つの項目を図に挙げています。
しかし、【生産性向上】という文言の中には数々の要件があり、そのために端末購入したりシステム選定を行ったり、様々なタスクが生まれていると思います。
予算や維持費も加味しなくてはならず、また現場スタッフの働き方が大きく変わるので、頭を抱えていらっしゃる管理者の方も少なくないと思っています。
事例で見る「生産性向上」の3つの型
そう憂いていても、今後も事業を続けていくには、何か動き出す必要があると思います。
よくよく考えてみると、これからの人材定着対策や、環境整備などにはいい機会なのかもしれません。
しかし、「どのように動き出し、どのように生産性が向上していると明示するのか?」。
ここでは、ケアコラボを導入いただいている法人さんの事例を見つつ、“どのように生産性向上を行うのか?”を紐解いていきます。
一緒に、少しでも安心材料を増やしていきましょう。
【事例1:事務負担の削減】 転記をゼロにし、月50時間の業務削減
まず一つ目は、ICT化により労働環境の改善をされた法人さんの事例です。
実例: 有限会社 聖(ケアタウン飛鳥)さま
変化: 紙への転記作業やグラフ作成を自動化。夜勤の記録時間を毎日1時間短縮し、月50時間以上の削減に成功。
賃上げへの直結: 削減した残業代を原資に、夜勤の休憩時間確保や勤務時間の適正化など、労働環境の改善を実現。


【事例2:情報の標準化】 「知っている前提」で申し送りを15分短縮
2つ目は、ICT化で情報共有時間を短縮し、残業を減らすことができた法人さんの事例です。
実例: 医療法人社団 健育会(ナースインホームひまわり)さま
変化: ケアコラボ内の機能「1dayシート」や「プロフィール機能」を活用し、訪問時の指示や注意点を集約。
成果: 申し送りを遡って探す手間が消え、アンケートでは8〜9割のスタッフが「残業が減った」と回答。


【事例3:外部連携の効率化】 ご家族が「ケアスタッフ」に加わる
3つ目は、ご家族とのやり取りをデジタル化し、連絡帳でのやり取り時間を削減できた法人さん等の事例です。
実例: 社会福祉法人 薫英会さま、株式会社 リライフさま、医療法人社団 健育会さま
変化: 記録をご家族にリアルタイム公開。写真・動画で「家では見せない表情」を共有。
成果: ご家族からの信頼感が高まり、逆に家庭での様子をコメントしてもらえるように。「ケアスタッフが1名増えた感覚」で、報告の手間が信頼に変わる。


ケアコラボユーザーの法人さんが実際に体験した「残業削減」「情報の透明化」「ご家族との信頼構築」という事例でした。
それぞれの法人さんを見ると、「加算を取るための義務」としてではなく「現場を救い、給与を上げるための攻めの投資」として、ケアコラボを導入いただいているのがわかります。
ICT化で何ができるのか?
誰の何の業務を減らすのか?
どう実現していくのか?
これらを検討する際の一助となれば幸いです。
まずは一歩、一緒に踏み出しませんか?
現在の補助金を恒久的な処遇改善加算へ切り替える際、ICT体制が整っているかどうかが事業所の経営体力を左右する、と言われます。
「加算のために記録をデジタル化する」
最初は、そんな義務感から始まるかもしれません。
ですが、ケアコラボをお使いの多くの法人さんが、その先にある「変化」を教えてくれました。
転記の時間が消え、利用者様と目が合う時間が増えたこと。
「申し送り」がただの報告ではなく、チームの「対話」に変わったこと。
ご家族に写真や動画が届き、「ありがとう」の質が変わったこと。
生産性を向上させる本当の目的は、業務を削ることではなく、ケアの本質に充てる時間を創り出すことです。
2026年の制度改定は、その努力が「給与アップ」という形で職員に還元される絶好の機会なのだと思います。
私たちが提供するのは、単なる記録システムではありません。
職員の皆様が「この仕事を選んでよかった」と胸を張れる、そのための経営基盤になりうると思っています。
生産性向上のための仕組みづくり、現場の負担軽減も、私たちは伴走し続けます。
お困りごとがある方や、ICTを導入して生産性向上にご興味がある方は、ぜひお気軽にお問合せください。